大飯原発運転差し止め:福井地裁判決、再稼働判断に影響も
毎日新聞 2014年05月21日 23時20分(最終更新 05月21日 23時20分)
◇福井地裁判決、大飯原発運転差し止め判決
原子力規制委員会では、田中俊一委員長の定例記者会見中に判決の一報が入った。田中委員長は「司法の判断について申し上げることはない。従来通り、我々の考え方で審査をしていく」と述べ、判決とは別に大飯原発の安全審査を続ける意向を明らかにした。
判決は、耐震設計の元になる最大の地震の揺れ「基準地震動」の想定など、審査に関連する点にも言及したが、田中委員長は「科学技術的な知見を踏まえて判断する」と述べ、審査への影響を否定した。
規制委は設立以来、あくまで規制基準をクリアしているかどうかを審査するだけで、「再稼働の是非は判断しない」としている。原子力規制庁幹部は「(上級審で覆されない限り)事業者が再稼働の判断ができなくなるということではないか」と述べ、判決が関電の判断に影響する可能性を示唆した。
関電による大飯原発の地震想定の甘さは、規制委の安全審査でも指摘されてきた。
関電は2013年7月の申請当初、大飯原発の基準地震動を福島原発事故前と同じ「700ガル」とした。だが規制委は、関電が大飯原発の震源の深さを他の原発よりも深い「4キロ」としたことを問題視し、3キロにするよう求めた。また、北海道や鳥取県で起きた、より大きなタイプの地震を新たに考慮することも要求した。
再稼働を急ぎたい関電は規制委の指摘を受け入れざるを得ず、今年5月、基準地震動を856ガルに引き上げたが、規制委は「大飯は震源が近いため、さらに余裕を保つ必要がある」として、いまだに了承していない。【酒造唯、鳥井真平】