集団的自衛権:各社で世論調査結果に違い その理由は

毎日新聞 2014年05月21日 19時53分

 集団的自衛権の行使問題に関する報道各社の世論調査結果に違いが出ている。回答の選択肢や質問の仕方が影響したとみられる。

 毎日新聞の17、18日の調査では、集団的自衛権の行使について賛成が39%、反対が54%。同じ調査日の共同通信は賛成が39.0%、反対が48.1%。産経新聞・FNNは「全面的に使えるようにすべきだ」が10.5%、「必要最小限度で使えるようにすべきだ」が59.4%、「使えるようにすべきではない」が28.1%となった。

 賛否の二択で聞いた毎日新聞と共同通信でいずれも反対が賛成を上回ったのに対し、三択で聞いた産経新聞・FNNは容認が約7割になった。

 集団的自衛権は法律上の概念で、具体的な内容が理解しにくい。こうした場合、「必要最小限」といった中間的な選択肢に回答が集まる傾向がある。5月9〜11日の読売新聞の調査は「全面的に使えるようにすべきだ」が8%、「必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ」が63%、「使えるようにする必要はない」が25%だった。 産経新聞・FNNも読売新聞も「必要最小限」を含んだ回答が最も多い。「限定的に認めるべきだ」を含め選択肢を三つにした4月の毎日新聞の調査でも「限定的」が44%で最も多かった。一方で、二択で聞いた3月調査では賛成が37%、反対が57%だった。

 中間的な選択肢に回答が集まる状況は政府の説明不足にも一因がある。「限定的」などの条件付きで容認する層は、政府の説明次第で積極的な賛成にも反対にもなりうる層と言える。

 4月18〜20日の日本経済新聞・テレビ東京の調査では、質問で集団的自衛権を「アメリカなど日本と密接な関係にある国が攻撃されたとき、日本が攻撃されていなくても反撃する権利」と説明し、賛成が38%、反対が49%だった。4月19、20日の朝日新聞の調査では「日本が攻撃されていなくても、日本への攻撃とみなして、一緒に戦う権利」と説明し、賛成が27%、反対が56%だった。当然という印象がある「反撃」と「戦う」で表現が異なることが差異につながった可能性がある。

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