関西電力:「別途積立金」全額取り崩しへ 赤字補填で

毎日新聞 2014年04月26日 07時10分

 関西電力が、経営安定化のために過去の黒字の一部を積み立ててきた「別途積立金」1500億円全額を取り崩し、赤字を補填(ほてん)する方向で調整に入ったことが25日、分かった。30日に発表する2014年3月期決算は連結で980億円、単体で950億円の最終(当期)赤字になる見込みで、その穴を埋める。

 実施すれば別途積立金の取り崩しは12年3月期から3年連続となり、ピーク時に6400億円あった別途積立金は底を突く。ほかに大きな積立金はなく、経営体力が著しく弱くなるため、関電は資本増強や電気料金再値上げを視野に対応策を検討するとみられる。

 積立金の取り崩しは6月下旬に開く株主総会で決議を得たうえで実行する。別途積立金は使用目的を縛られないため、原発停止による火力発電の燃料費増加で経営が悪化した関電は、12年3月期に2200億円、13年3月期に2700億円を取り崩して赤字を穴埋めしてきた。財務体質を示す自己資本比率(連結ベース)は13年3月末時点で過去最低の16.5%で、14年3月末はさらに低くなる見通しだ。

 関電が収支改善の頼みとする原発の再稼働はめどが立っていない。このため、外部から資金を取り込む増資か、電気料金の再値上げで収支を改善するかの検討を本格化させることになりそうだ。【吉永康朗、浜中慎哉】

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