2009年06月24日

アクションと語彙

 よくさあ。アクションでは派手な語彙を使え、って教えている人がいるけど。ボクも昔は派手な語彙を使うべきものだと信じていたけど。あれって半分は嘘だから。
 だって、派手な語彙ばかり使っていると、抽象的な形容表現だけになってしまいます。だから読んでいている方は、何が書かれているのか分からなくなってしまうのですね。
《悪例》
「どかーん!! ウルトラ凄い攻撃で憎い怨敵をブッ殺した」

 そのようなわけで、特殊な語彙はスパイス程度に抑えて使いましょう。すぐ飽きられてしまいます。それに、語彙をたくさん覚えるのは大変だろうしね。
 だから語彙はむしろ落ち着かせるくらいで。クールに。その方が、派手な語彙を使った時に際立ちます。

 ならば、何が大事なのかというと。結局は、内容を伴ってこその描写なんですね。文章として書いてある内容・情報でもって、緊迫した状況を作ってやらなくてはならない。
 ……てなわけで、ちょっくら自分でも書いてみる。派手すぎる語彙は使っていないはず。
「遂に王との謁見を迎える。王との距離が最も短くなる瞬間。ふたりを隔てる者はない。特使は叩頭しようとして、身を翻した。手には隠し持った懐剣を持っている。暗殺者は特使に化けていたのだ。不意を突いた隙に、まるで放たれた矢のような勢いで、刺客は王との距離を詰める。だが王の両脇に立っていた護衛兵たちは咄嗟に反応していた。既に抜刀していたふたりの護衛兵は、左右から刺客を斬りつける。辛うじて即死は避けようとした。だが両腕が切り落とされて、持っていた武器ごと宙を舞う。しかし刺客は駆ける足を止めなかった。結果、護衛兵たちは対応が遅れて、王の元まで刺客の侵入を許してしまう。腕ごと武器を失った刺客は、歯で王の喉笛にかみついた」

 といいますかね。派手な語彙をメインで使い、巧く書けた試しがないんですよ。ボク。
 むしろ、語彙メインでアクションを描ける方法なんて、世界のどこかに存在するのなら、誰か教えて欲しいなあ。マジで。

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