講談社ブルーバックスから『暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり』が2014年5月20日に刊行されました。
通貨制度などの金融・経済面を吉本佳生氏が、暗号数理などの情報技術面を西田宗千佳氏が担当して執筆しています。昨日の記事に続き、本書の内容のポイントなどを、質問に答えるかたちで吉本氏が語ります。前編はこちら。
--新しくビットコインを導入しなくても、従来の通貨で十分だと考えている人が多そうです。ビットコインには、なにか社会的なメリットがあるのでしょうか?
まず、「少額の国際決済」に使える通貨が、これまでは存在していなかったといえます。海外に数百円のおカネを送金したいと思って、国内での送金のように銀行間の預金ネットワークを使って送金しようとすると、最低でも数千円の手数料がかかります。事実上、少額の国際決済に使える通貨は存在しないのです。
クレジットカードを使って決済すればいいのですが、これは「金融」の力で国際決済をしているわけで、通貨の機能だけを使って国際決済を成り立たせているわけではありません。また、カード詐欺などの不正利用といったリスクがありますから、それなりに手数料がかかります。
ビットコインの機能面での最大の魅力は、少額の国際決済をきわめて安い手数料でおこなうことができる通貨だ、という点です。
--国際決済での手数料がやたらに高くなるのは、なぜですか?
その前に、国内決済の手数料をみると、もっとずっと安くしようと思えば、できます。その国のすべての銀行が中央銀行に預金口座をもっていれば、それを使って異なる銀行間での決済が簡単にできて、そのコストはとても安いからです。
国際決済の場合、国内決済で中央銀行が果たしている役割を果たす公的機関が存在しません。現実には、アメリカの大手銀行などがその役割を担うことが多いのですが、公的機関の代わりに強欲な民間銀行を使うしかないということで、コストがとても高くなります。
「良貨」になりうる3つの理由
著者=吉本佳生、西田宗千佳
講談社 / 972円(税込)
◎内容紹介◎
21世紀の「金融イノベーション」がはじまった! 「国家の後ろ盾がある法定通貨」は、完全無欠ではない。暗号通貨は、「欠点だらけの現行通貨」を革新する可能性を秘めている。
暗号がなぜ、おカネになるのか? 電子マネーやクレジットカードとどうちがうのか? 偽造される心配はないのか? ビットコインの背後に潜む数学や暗号技術と、経済へのインパクトをくわしく語る。
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