東京電力は21日午前、福島第1原子力発電所の地下水を汚染前にくみ上げて海に流す作業を始めた。地下水が放射性物質に触れて汚染水となるのを防ぐ狙い。放出水は基準値を大幅に下回り海産物などへの影響はないと評価されるが、風評被害対策が求められている。
始めたのは「地下水バイパス」と呼ばれる計画の一環。原子炉建屋の上流側に掘った12本の井戸からくみ上げた水を原発の前の海へ放出した。初日の放出量は560トン。水はいったんタンクにため、放射性物質の濃度が東電が定めた自主基準値を下回っていることを確認した。自主基準は国の規制よりも厳しく設定している。当面は1週に1度程度の放出ペースになるという。
福島第1原発の真下には地下水の大きな流れがあり、原子炉建屋の地下の破損部分から建屋内に1日に約400トンずつ流れ込み、汚染水に変わっている。地下水バイパスによって、建屋に流入する水は同数十~100トン程度減ると東電は見込んでいる。
東京電力、福島第1原子力発電所