好きだったけど、一度も告白せず、グループで飲みに行ったりするくらいの仲だった。
社会人になってから少しずつそういうことを学んで(どこで待ち合わせしたらいいのか、とかそのレベルから)、経験人数も人並みに重ねて自信が付いてきた。
初めて女友達とのその場限りのセックスをしたときは、「ああ、俺も大人になったんだな」と感慨深かった。
今回、ゼミの同期を飲みに誘ったのは、学生時代のリベンジという趣が多分に含まれている。
二人で居酒屋で飲んで、店を出たところで手を繋いだ。彼女は拒まなかった。
これはイケるなと思ってカラオケ行こうよと誘ったらいいよと言う。
ああ、これはもうあれだ、レールに乗った。セックスのレールに乗ったよ。
俺は適当に大学時代に流行った曲を歌って、彼女は「懐かしいねー」と笑っていた。
彼女が歌っているときにそっと太ももに手を乗せた。拒まない。肩を抱き寄せた。拒まない。
頭を撫でながらキスをしようとすると、彼女は「やめてよ」と言った。
「変わったねー、○○くん、見た目はそんな違わないけど、中身はぜんぜんだね」
カチンときていたが、俺は開き直って「うん、変わったんだ」と言ってもう一度キスしようとした。彼女はそれも拒んだ。
結局、キスもセックスもできなかった。手だけしか繋げなかった。
きっとイケメンならセックスできたんだろうなと考えて、俺は悲しくなった。