9月27日(火)

 見沢知廉さん追悼の文章を来月発売の「群像」に書きました。
 ぜひ、読んでみて下さい。

 さて、10月3日はロフトプラスワンで見沢さんの追悼イベント、そして10月9日には新潟で「PEEP"TV"SHOW」の上映と「こわれ者の祭典」、そしてこわれ者の方々とのトークもあります。新潟近辺の皆さん、ぜひぜひ、万難を排して駆け付けて下さいね。もちろん新潟近辺からだけではなく、遠くからの御来場もお待ちしています。詳しくはこちらで。

 最近、縁あって「BAZRA」というバンドの鉄平さんと交流があるのですが、「SWITCH」というCD、とってもカッコいいのでオススメです。CUTTING EDGEから出ているはずです。私もコメントを書いたりしました。どこに使われているかは不明ですが。

 そして最近、BSNラジオ(TBS系列で新潟県全域をカバーしています)の「ハートセラピー」という番組に電話出演しました。近々放送されると思いますので、新潟の方はぜひ聴いてみて下さいね。「こわれ者の祭典」の月乃光司さんがやっている番組です。

 と、そんな感じでした。
 それでは、イベントなどで御会いできるのを楽しみにしています。



9月14日(水)

 昨日は見沢知廉さんが出演する予定のイベントがトリックスターであり、急遽こんなことになったので「見沢知廉追悼」の会となり、私も行き、なぜか出演までしてきました。

 鈴木邦男さんやPANTAさん、深笛義也さん、ロフトプラスワンの平野さんなど多数の人が集まり、見沢さんの話をしました。その中でも面白かったのは、見沢さんが某テレビ番組に出演した時のビデオと、平野さんが見沢さんから送られてきたという貴重な物の数々。生原稿とかアルバムとかいろいろあるのですが、その中でも特に衝撃だったのは「怒ったあとに聞くCD」と「猫と一緒に聞くCD」でした・・・・。見沢さん、なんでそんなCD買ったんだろう・・・。みんな面倒見のいい見沢さんにお世話になった話などしました。ここ数年、イベントなどずっとドタキャンしていた見沢さんですが、「まさかこんな形でドタキャンするとは思わなかった」という鈴木さんの言葉が胸に残っています。見沢さんが捕まる前の写真も見たのですが、大学生みたいな木村さんと妙にもっさりした感じの、でもまだ随分若い鈴木さんが一緒に映っていて、そんな三人の歴史を思うとなんとも言えない気持ちになりました。

 そして10月3日には、ロフトプラスワンで追悼イベントが行われます。私も出演しますので、是非見沢ファンの皆さん、一緒に見沢さんを追悼しましょう。
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「文学に殉死した作家・見沢知廉」 〜酒でも飲んで見沢知廉を語ろう〜

【出演】
鈴木邦男(作家)、木村三浩(一水会代表)、雨宮処凛(作家)、
深笛義也(作家)、切通理作(評論家)、佐伯紅緒(作家)、
土屋豊(映画監督)、PANTA(頭脳警察/予定)他、縁の人多数

【司会】
平野 悠(席亭)

10月3日 Open/18:30 Start/19:30
¥1000(飲食別)
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9月9日(金)

 見沢さんの御葬式はもう終わったみたいだ。

 見沢さんから預かっていた小説の原稿があるので、整理しようとひっぱりだしてきたら、見沢さんからの手紙が出てきた。解読不可能なほど汚い字なので、いつもちゃんと読もうとせずにそのままだ った。今日、頑張って読んでみたら、思わず泣きそうになった。
「俺もやっと小説本腰入れるんでこれからはやっと協力しあえるな」「(大切な)小説の時はペン入れ地獄があるからデビューの時みたいに血を吐いてふんばれよ」「シャブは絶対やるなよ! そういう噂がありそこまで名声いったんだから足すくわれないようにな」

 見沢さんがすごく心配してくれていたということを、今さら思い知って死ぬほど切なくなった。

 政治的な活動ということでも見沢さんから受けた影響ははかり知れないけれど、小説に関しての影響はもっと大きいかもしれない。「文学」という言葉を当たり前に口にする人は、見沢さんが初めて だった。そして本気で「文学」をやっている人も。その見沢さんの姿を見ていたから、私は小説や本を書くことで苦しくても、見沢さんがもっと苦しんで書いていたことを知っていたから乗り切れた部 分があった。血を吐いてまで書くことの覚悟が決まったのは、見沢さんの姿を見ていたことが本当に大きい。とにかく、見沢さんは本気で「文学」をしていたのだ。不器用すぎるほどの真剣さで。ある 小説のペン入れが苦しくて見沢さんはリタリン中毒になったと言っていた。本当に、死ぬほど不器用だと思う。そんな見沢さんを見ていて、私はたくさんの逃げ場を用意するようになった。だって見沢 さんのように生きていたら、絶対に死ぬと思ったから。そういう自分がひどく卑怯な気がするけれど、生の見沢知廉を見ていたことが、私にとって一番の、小説の勉強になった。「作家・見沢知廉」のファンだった私は、何時間でも見沢さんの小説の感想を言い、質問をした。見沢さんはいつもそれに丁寧に答えてくれた。その後文章を書くことなんてまったく想像していなくて、今後どうやって生きていこうか迷いまくっていた私にとって、そのことは後々すごく重要な意味を持った。

 それなのに私は、アホなことばかりしていた。当時人形作家見習いだった私に見沢さんが「三島人形」を注文してくれたことがある。私は頑張って作り、自分でも納得できる出来栄えだったその人形を、見沢さんに十万円というある意味法外な値段で売りつけた。今考えても、自分の馬鹿さ加減に泣けてくる。だけど見沢さんは喜んで、十万円をポンと払ってくれた。貧乏フリーター(というか今でいうとほとんどニート)に、その十万円がどれほど有り難かっただろう・・・。

 見沢さんっ、小説を書く時は血を吐いてふんばりますっ!
 そして、シャブはもう絶対やりませんっ!(見沢さんが書いていた"知人から聞いたシャブ体験談"って、実は結構私の情報提供も多いのだ。そういう意味では、少しは役に立ってたのか・・・)

追記
 見沢さんとマリスミゼルのライヴに行った時のこと。ライヴが終わり、楽屋でメンバーに見沢さんを紹介すると、メンバーの中に見沢さんを知っている人がいた。話が盛り上がり、メンバーが 「今度ゲリラライヴするんですよー」と言うと、何を勘違いしたのか見沢さんは、「ゲリラ?俺もしたことあるよ。イギリス大使館火炎瓶ゲリラ」とさらっと言った。メンバーはちょっと固まっていて、 話がまったく噛み合っていなかったことがとても面白かったことなどを思い出している。



9月8日(木)

 絶句です。
 見沢知廉さんがお亡くなりになりました・・・。
 ショックでショックで、呆然としています。
 見沢さんはこのサイトに掲示板があった頃、何度か書き込みもしてくれたので、その書き込みを見られた方もいるかもしれません。

 見沢さんの訃報を知り、見沢さんが与えてくれた影響の大きさを思い知りました。

 そもそも見沢さんと会っていなかったら私は今こうして文章を書いて生計を立てるという生活をしていないでしょう。見沢さんがいなければ右翼団体にも入っていなかっただろうし、それだったら「新しい神様」という映画もなかっただろうし、映画がなかったら本を出すこともなかったと思います。

 見沢さんとは20歳か21歳頃、移転する前のロフトプラスワンで会いました。その前から見沢さんの文章をよく読んでいたので、見に行ったのです。そして知り合い、これはいろんな所で言ってるのですが、「はじめてのデエト」が某右翼団体の集会でした。見沢さんからリタリンをもらった私は集会で思いきり覚醒し、その団体に入りました。それから「維新赤誠塾」という右翼バンドを組み、初ライヴに見沢さんは何万円もする「花環」を出してくれました。ライヴハウスにあまりにも不似合いな花環、という図の写真は、維新赤誠塾のCDの裏ジャケットにも使われています。維新赤誠塾のライヴにはよく来てくれて、当時まったくの無名だった私たちのバンドは、「BUBKA」や「BURST」という見沢さんの連載している雑誌で紹介して頂きました。この前、ここにも書いた「私が初めて載った雑誌」での対談も、対談相手は見沢さんでした。今から思えば相当お世話になり、そして見沢さんがいることによって相当いろんなことから守られていたのでしょう。当時の私は無知ゆえの怖いもの知らずでそんなことに気付きもしなかったのですが、二十歳そこそこのワケのわからない女がいろいろな政治団体やおかしなイベントやマスコミなんかに出入りしていてまったくの無傷でいられたのは、ひとえに見沢さんの力かもしれません。

 「新しい神様」では特効服姿で予告編にも出て下さり、その後、本を出版するにあたっては印税のことや出版社とのやりとりといったことを細かく教えてもらいました。

 ここ数年、体調が悪く、あまり御会いすることもなかったのですが、電話では話していました。最近は体調もよくなってきた感じで、「群像」にも原稿を書いたりしていて、完全復帰するものとばかり思っていました。

 見沢さんには、「AK47」や日本刀のレプリカを借りたままです。借りたまま返さずにいるDVDもあります。どうすればいいんでしょう・・・。



9月7日(水)

 書き下ろし二冊を書き終え、久々に清々しい気持ちの雨宮です。
 しかも今日、愛しのフセインからメールが来たし! だけど難しい英語で全然意味わかんないし!
 よく迷える中学生や高校生や大学生の読者の方から、勉強する意味や「雨宮さんは学校での勉強が役に立ってますか」と聞かれるのですが、そのたびにいつも、英語だけはしといた方がいい! と言って います。それは何故か。将来、外国人と恋に落ちるかもしれないからですね。もうひとつつけ加えると、英語ができないと外国で好きなものが食べられないという難点もあります。そういう意味ではいつも海外で悔しい思いをしてきました。「EYE」ナントカってメニューがあったので目ん玉のおどろおどろしいものを想像して違うものを頼んだら「アイフィレ」という目の下の一番美味しいステーキだったとか・・・。そういう場合、大抵ベジタリアンでもないのにベジタリアンメニューを注文していて食べたくもない葉っぱばかり食べています。

 最近、私の中で事件がありました。
 元特攻隊の人から「遺書」が送られてきたのです。
 東京新聞で4月に「愛国のかたち」というインタビューに答えたのですが、その記者の方を通じて、「雨宮さんに是非読んで欲しい」と小冊子になった遺書が送られてきました。現在、その方は81歳。終戦間際に出撃したものの、天候不良のためか、戻られてきたという方でした。それからその方は「なぜ私は生還したのか」「特攻隊とはなんだったのか」「戦争とはなんだったのか」と常に自問自答し、イラク戦争や改憲ムードに包まれる現在の日本を危惧し、「日本国憲法を護る」ことを主張している方でした。
 東京新聞のインタビューで、私は過去特攻隊を神格化していたことや、「特攻隊員の年齢を超えた今、彼らを特攻死に追い込んだ側に強い怒りを感じている」ことなどを語りました。そしてなんとなく閉塞感の打開策のひとつとして改憲が支持されているように見えることや、「国を愛する心」が法律に盛り込まれることへのうさんくささなど。そのインタビューは一水会の機関誌「レコンキスタ」にも掲載されました。そんな私のインタビューを掲載するなんて一水会の懐の深さにまた驚きでした。でも一水会の木村さんも「安易な改憲」を危惧しているというようなことを言っていたと記憶しています。
 とにかく、そんなインタビューを読んで元特攻隊の方からの反応があったことが驚きでした。それと同時に、その方の話を聞いてみたいと思いました。元特攻隊員の方が、東京新聞に馬鹿丸出しのロリータ姿で載っている私にまで遺書を送ってくるほど、今の社会を危惧していることに胸を打たれました。勝手な責任感を感じています。それは過去、自分がやってきたことへの。

 ということで、ちょうどそんな私の過去の生き恥満載のドキュメンタリー映画、「新しい神様」が久々に上映されます。「PEEP"TV"SHOW」も同時上映、私と土屋監督、そしてゲストに作家の狗飼恭子さんをお招きしてのトークショーもあります。狗飼さんは私の小説「暴力恋愛」の解説を書いてくれた方でもあります。

 詳細は以下です。
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★9月11日(日)、UPLINK FACTORYにてイベント上映

16 : 00  開場
16 : 30  『新しい神様』上映
18 : 10  休憩
18 : 30  『PEEP "TV" SHOW』上映
20 : 10  トークイベント
     出演 : 土屋豊、雨宮処凛
     ゲスト : 狗飼恭子(作家)

料金=1,600円(ワンドリンク付)

UPLINK FACTORY
TEL. 03-6825-5502 / 渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F
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 皆さんの御来場、お待ちしています。

 関係ないですが、最近ニュースで小中学校の給食の鍋にアスベストが使われていたという報道があり、アホな学校だなーと思っていたのですが、よく見ると私の出身地でした・・・。しかも出身校っぽい・・・。しかもモロ私が通っていた時っぽい・・・。アスベスト給食を毎日食べていたおかげでこんなに元気になりました。



9月4日(日)

 9月1日の「PEEP"TV"SHOW」アンコール上映に来て下さった皆さん、ありがとうございますっ!
 ゲストに足立正生監督をお呼びしての貴重な日となりました。この日来られた方、かなりレアなものを目撃できたと思います。だって足立正生監督と言えば、「赤軍一PFLP・世界戦争宣言」ですよっ!!二十数年間ゲリラとして生きてきた方ですよっ。パレスチナ革命戦士ですよっ。大変興味があったのでゲリラ話を聞いたところ、「新宿の酔っぱらいがゲリラになれるかどうか試すためにゲリラになった」とのことで、そこで得られた教訓は、「ゲリラは飲んだくれじゃないとなれない」という素晴らしくシンプルな真理だったということです。刑務所話もたくさんお聞きし、足立語録もたくさん飛び出し、歴史を超えて何かと繋がった感がありました。
 国内で、そして様々な国でゲリラやテロリスト、革命家の方たちと御会いしましたが、彼らに共通して言えるのは、非常に「豪快さん」だと言うことです。なんかみんな適当で大らかで、そこが大変な魅力です。久々に本物のゲリラと出会い、なんだか燃えました。いいなぁいいなぁ。やっぱ男はゲリラ! との思いを強くしました。うおお、いつか私もゲリラになれるように頑張りたいと思います! って何を?

 「PEEP"TV"SHOW」毎週木曜日アップリンクXでアンコール上映していますので、まだの方は是非。9月11日にはアップリンクファクトリーにてイベントもしますっ。私も出演しますので遊びに来て下さいね。

 また、9月10日から名古屋のシネマテイクにてレイトショーが始まりますっ。
 詳しくはこちらで御覧下さい。。


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