トップページ社会ニュース一覧厚木基地騒音訴訟 夜間飛行差し止め命令
ニュース詳細

厚木基地騒音訴訟 夜間飛行差し止め命令
5月21日 14時21分

厚木基地騒音訴訟 夜間飛行差し止め命令
K10046110411_1405211537_1405211540.mp4

神奈川県の厚木基地の周辺住民が航空機の騒音被害を訴えて、国に飛行の差し止めや損害賠償を求めていた第4次厚木基地騒音訴訟で、横浜地方裁判所は騒音被害の違法性を認め、国に自衛隊機の夜間と早朝の飛行の差し止めと過去の分の損害賠償を命じる判決を言い渡しました。
基地の航空機の飛行の差し止めが命じられたのは全国で初めてです。

第4次厚木基地騒音訴訟では、基地の周辺住民およそ7000人が在日アメリカ海軍と海上自衛隊の航空機の騒音被害を訴えて、基地を管理する国に対し、損害賠償と夜間などの飛行の差し止めを求めていました。
21日の判決で、横浜地方裁判所の佐村浩之裁判長は「基地周辺の住民が受けている被害は、健康または生活環境に関わる重要な利益の侵害であり、当然に受け入れなければならないような軽度の被害であるとは言えない」として騒音被害の違法性を認めました。
そのうえで「特に騒音による睡眠妨害は健康被害に直接結びつく相当深刻な被害と言えるもので、住民による飛行の差し止め請求には理由が認められる」などとして、国に対し、午後10時から午前6時までの間、防衛大臣がやむをえないと認める場合を除き、自衛隊機の飛行の差し止めを命じる判決を言い渡しました。
また、過去の分の損害賠償についても命じました。
基地の航空機の飛行の差し止めが命じられたのは全国で初めてです。
一方、米軍機の飛行差し止め請求については、「国が米軍に対して厚木基地の使用を許可するなどの権限は存在しない」などとして住民側の訴えを退けました。

裁判所前の原告の人たちは

裁判所の前には原告の人たちが集まり、判決の内容が伝えられると、大きな拍手と歓声があがりました。
神奈川県大和市に住む原告の76歳の男性は「これで一歩前進ですが、米軍機については一切触れていないので、うれしさ半分、悲しさ半分です。これからもう一回、立ち上がっていきたい」と話していました。
また、相模原市に住む原告の46歳の女性は「賠償が認められたことに加えて、行政訴訟で、自衛隊機の夜間と早朝の飛行の差し止めが命じられたのはすごくよかったと思います」と話していました。

原告弁護団「防衛行政に影響」

今回の判決について、原告の弁護団は「航空機訴訟で差し止めを一部認めたのは、わが国始まって以来のことであり、今後の防衛行政に大きな影響を与えると思います」と話していました。

在日アメリカ海軍司令部は

判決について、神奈川県横須賀市にある在日アメリカ海軍司令部は「判決の内容を詳しく承知していないので、現時点ではコメントを差し控えたい」と話しています。

訴訟これまでの経緯

厚木基地の航空機の騒音被害を巡っては、昭和51年の最初の提訴以来、これまで3次にわたって裁判が行われてきました。
裁判所は、いずれも騒音被害の違法性を認め、国に周辺住民への損害賠償を命じた判決が確定しています。
しかし、住民たちは第1次の訴訟の判決が確定してから、およそ10年たっても「事態は全く改善されていない」として、平成19年、今回の第4次の訴訟に踏み切りました。
原告の数は、平成18年に、国が住宅の防音工事の費用を助成する区域を20年ぶりに拡大したことなどから、基地がある神奈川県大和市と綾瀬市、それに周辺の東京・町田市など、8つの市で合わせておよそ7000人に上り過去最大の規模となりました。
住民たちは、損害賠償と共に夜間などの飛行の差し止めを強く求めてきました。
第1次と第2次の訴訟で、住民側は、民事訴訟で飛行の差し止めを求めましたが、裁判所は自衛隊機の運航は「公権力の行使」にあたるため民事訴訟には適さず、また、米軍機には「国の支配は及ばない」として訴えを退けてきました。
このため住民側は、自衛隊機の運航や米軍機への滑走路の使用許可は防衛大臣の権限だとして今回初めて行政訴訟でも飛行の差し止めを求め、裁判所がどのような判断を示すのか、注目されていました。

[関連ニュース]
k10014611041000.html

[関連ニュース]

  自動検索

海上自衛隊 哨戒機の夜間飛行を初公開 (5月16日 4時08分)

このページの先頭へ