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母が弱み 片山被告自滅「私が真犯人」

大勢の報道陣が待ち構える中、弁護士事務所を出る片山祐輔被告=20日(共同)
大勢の報道陣が待ち構える中、弁護士事務所を出る片山祐輔被告=20日(共同)

 4人が誤認逮捕されたパソコン(PC)遠隔操作事件で無実を訴え、音信不通になっていた片山祐輔被告(32)が、ついに自作自演を認めた。20日、都内で身柄を拘束。保釈を取り消され、東京拘置所に勾留された。早期の裁判終結を願う母親を気遣い、河川敷にスマートフォンを埋めて「真犯人メール」を送信したが、捜査員にすべて見られていた。「自分はサイコパス(うそつき)」と言う片山被告がもくろんだ完全犯罪は、あっけなく崩壊した。

 片山被告の自作自演ゲームは、あっけなく終わった。「すみません。私が犯人です。荒川の河川敷にスマホを埋めたのは事実。それが分かり、もうダメだと思いました」。音信不通からほぼ半日の19日夜、佐藤博史弁護士に電話で伝えた。20日朝、宿泊したホテルから弁護士事務所に戻った。「逃走中」に缶チューハイ5缶を飲んでおり、東京地裁の係官に同行を求められた際には、体調が悪そうな様子だったという。

 16日、片山被告の東京地裁公判中、「真犯人メール」が報道機関などに送られた。片山被告は「送信者は私ではない。真犯人には自首してほしい」と訴えた。

 しかし前日の15日、片山被告が自宅を出た後、江戸川区の荒川河川敷を約2時間歩き、何かを埋める様子を、自宅からマークした捜査員は見逃さなかった。その後、見つかったのはスマホ。真犯人メールと同じ文面が残され、片山被告のDNA型が検出された。

 捜査当局は、保釈後の片山被告を徹底マーク。片山被告の方も相当、警戒していたという。埋めたスマホは、身元証明がなくても買えるプリペイド式。「全く足がつかないもの」(関係者)を秋葉原で購入した。このときは、「まさか警察が(行動確認で)いるとは思わなかった」。当局の執念に万事休すとなった。

 佐藤弁護士は行動の背景を「母親を安心させたかった」と、指摘。「いつになったら平穏な日が来るの」と聞かれ、「1日も早く裁判を終わらせたい」と思ったという。本来、予約送信による「真犯人メール」は、実刑判決で収監された瞬間に使うシナリオとして温めていた。「しかし、母の言葉があり前倒しした」(佐藤弁護士)ことが、オウンゴールの引き金となった。佐藤弁護士は「最後までだますつもりだったのではないか。天は見ていたということだ」と、話した。

 明日22日の公判(非公開)で、片山被告は起訴事実を認める。事務所で母親と電話で話し、「私には分かっていた。出てくるのを待っている」の言葉に涙ぐんだという。「私はサイコパス。平気でうそをつける」。そう話した片山被告の「素顔」だったか。母が支払った保釈金1000万円は没収の見通し。結局迷惑を掛けることとなり、片山被告は後悔していたという。【中山知子】

 ◆真犯人によるメール 16日午前11時40分ごろ、報道関係者や弁護士ら20人以上にメールは届いた。差出人名は小保方銃蔵となっており「あ。真犯人です。お久しぶりですね」で始まり、「片山氏がテレビ番組に出ているのを見てかわいそうになったから」と、書かれていた。片山被告の自宅や職場のPCを遠隔操作ウイルスに感染させ、PC内に保存されていた情報を見て被告を犯人に仕立てる細工をしたと説明。真犯人しか知り得ない「秘密の暴露」だとする内容も、記していた。さらに、「警察・検察は片山氏に1億円ぐらい補償して」と、挑発するような文言もあった。

 [2014年5月21日8時48分 紙面から]

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