旅客船「セウォル号」沈没事故が発生してから30日余り、これまで韓国社会では事故と関連してありとあらゆる無数の見解や対策が語られ続けた。無能で無気力な政府に対する非難や恨み、犠牲者に対する哀悼や責任者の処罰に劣らず、われわれが今後何をどのようになすべきかについての意見もちまたにあふれかえっている。
われわれの課題は、今やこれら数々の意見や対策をどのように整理し、いかに合理化して体系化するかという問題に変わってきた。政府のトップである大統領がこれらをいかに取捨選択し、どこに優先順位を置くか、また数々の政策をどこまで力強く進めていくかに社会の関心が向き始めているのだ。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は昨日(19日)発表した国民向け談話の中で、自らと政府が今後進めていく内容について語った。朴大統領が力を入れようとしている課題は▲災害に対して効率的に対応する政府組織の改編▲いわゆる「官フィア」(官僚とマフィア)と民間との癒着の根絶▲与野党に加えて民間人が参加する特別委員会など調査機関の設置▲犠牲者への補償-に要約できる。
大統領として実行可能なハード面については、今後やるべきことについてある程度整理はついているようだが、ソフト面では相変わらず課題が残っている。その第1は人事の問題だ。政府機関や組織を整備し、それに実質的な成果を出させるには、そこで働く「人間」がしっかりしなければならない。大統領が談話を発表したその日、多くの人の関心は政府の組織が今後どうなるかという問題よりも、誰が首相となり、また誰が安全関連の政策や業務のリーダーとなり、大統領を支える秘書官や内閣が今後どうなるかに集まった。つまり結局は「人間」によって組織改編の成果が左右されるという点を考えると、朴大統領が提示した構想はやはり不十分と言わざるを得ない。