大量のデータを収集・分析し、会社の「司令塔」となる組織を作る企業が増えている。そこで活躍する女性たちは、分析の専門スキルや、現場で培った業務知識はもちろん、生活者・消費者としての女性ならではのセンスを武器に、データを駆使して業績に貢献しているケースが多いようだ。データ分析の仕事は、女性社員にとっても新しい活躍の場といえる。
野村総合研究所の調査によると、データ分析の専門家がいる企業は8.3％。ヤフーのようなネット企業に加え、花王は「デジタルビジネスマネジメント（DBM）室」、大阪ガスは「ビジネスアナリシスセンター」といったデータサイエンティスト組織を持つ。また、結婚式場運営大手のエスクリは、CRM（顧客情報管理）システムで管理する顧客の詳細情報を分析する専門組織を、2012年に立ち上げている。
いずれの組織でも、データ分析官として女性を登用している。なぜか。
■経営に多様性を持ち込む
ネットイヤーグループの石黒不二代社長兼CEO（写真：村田和聡）
「データ分析ができる女性は企業にとって貴重な存在。生活者、消費者としての女性のセンスが加われば、データを読み取る深さが大きく違ってくる」。こう指摘するのは経済産業省の坂本里和経済社会政策室長（本記事最後の別掲記事を参照）。「特に消費者向けの事業に携わる企業にとって、女性データサイエンティストを登用する意義は大きい」と話す。
ネットなどデジタルマーケティングを手がけるネットイヤーグループの石黒不二代社長兼CEO（最高経営責任者）は、経営に多様性を持ち込むうえで女性データサイエンティストの登用が有効とする。「多くの日本企業の男性は、自分の成功体験から発想にバイアスをかけがち。先入観の無い女性の分析が、イノベーションにつながる」と話す。
女性にとっても、データサイエンティストという仕事には魅力がありそうだ。データ分析という専門スキルに需要がある限りは、出産などでキャリアが中断されても、元の職場に復帰する、または転職することも比較的容易だろう。
地道にコツコツ取り組むのをいとわない、コミュニケーションがうまいといった、女性に多いとされる気質も分析官には向いている。
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