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 「私は完全にだまされていた」

 佐藤博史弁護士は20日、片山祐輔被告を検事に引き渡し、その後、約2時間にわたって記者会見した。片山被告が2013年2月に警視庁などに逮捕された直後から弁護人になり、無罪を主張。ともに警察や検察を激しく批判してきた。

 「ただ、裏切られたとか、否定的な感情はわきません」。こうも強調した。

 片山被告からの電話が入ったのは19日午後9時半ごろ。「先生、申し訳なかった」。連絡が取れなくなって11時間。電話口の片山被告は事件への関与をすべて認めた。

 翌20日朝、宿泊先のホテルに迎えに行った。片山被告は夜まで缶チューハイをあおり、少し眠ったという。事務所に移り、話を聞いた。

 片山被告はPC遠隔操作事件への関与を詳細に打ち明けた。「真犯人」メールの送信についても、1カ月前に考案し、スマートフォンを秋葉原で購入したことを明かした。

 「愉快犯的な部分もある」。会見で佐藤弁護士は、片山被告の動機を分析してみせた。

 事務所で事件への関与を説明し終え、片山被告がスマートフォンの電源を入れると、母親からのメールが届いていた。「あなたが真犯人だったとしても受け入れる」。そんな文面を読み、片山被告が母親に電話をかけた。「悪かった、悪かった」。こう繰り返しながら、母親からのメールや電話の時だけ、片山被告は涙ぐんだという。

 佐藤弁護士は、再審無罪となった足利事件で弁護人を務めた。「片山さんが逮捕された当時、『真犯人』と思って接見した」という。「だが、片山さん(の説明)は自然で、怪しいそぶりをしなかった」と会見で説明した。