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» 2014年05月21日 08時15分 UPDATE

頭の痛い問題:任天堂「不振」を加速させる米国での“埋められぬミスマッチ” (1/3)

任天堂のゲーム機「Wii U」が、世界最大のゲーム市場の米国で深刻な販売不振に陥っている。銃を対人で撃ち合う米国で人気のゲームにソフトが出せていない“ミスマッチ”が主な要因だ。

[産経新聞]
産経新聞

 任天堂の据え置き型ゲーム機「Wii U(ウィー・ユー)」が、世界最大のゲーム市場の米国で深刻な販売不振に陥っている。銃を対人で撃ち合う米国で人気のゲームにソフトが出せていない“ミスマッチ”が主な要因だ。ただ、これらのゲームは銃の乱射事件が起きるたびに規制の声が強まるなど「銃社会・米国」を象徴している。家族で遊ぶゲームを得意とする任天堂は積極的に参入しにくい分野で、Wii U不振との狭間で苦悩する。3年連続で営業赤字を計上した任天堂に巻き返しの秘策はあるのか。

日本の50倍……米で人気“撃ち合い”ゲーム

 米国と日本では文化の違いもあり、ヒットするゲームに大きな相違がある。

 米国では家庭用ゲーム機を遊ぶ人もPCゲームからの移行が多く、ゲームが「子供のおもちゃ」の扱いを受けることが多い日本と異なり、「大人の趣味」として認められている。

 そんな米国で最も人気のあるジャンルが、リアルな戦場を舞台にプレイヤーの視点(1人称視点)で銃などを撃ち合う「ファースト・パーソン・シューティング(FPS)」だ。熱心にゲームを遊ぶ「コアゲーマー」に人気があり、インターネットを通して対人戦を楽しんでいる。

 FPSの頂点に立つのが米アクティビジョンの「コール・オブ・デューティー」シリーズで、ほぼ毎年新作を発売し、世界で1500万本、米国だけで1千万本程度を販売している。

 一方、日本では同シリーズの販売は30万本程度にとどまり、「戦争」や「銃」が身近な米国と、そうでない日本との違いがもっともよく現れているジャンルといえる。

 ただ、米国でもこれらのゲームが銃社会を助長しているとの批判がある。人を撃ち殺す過激な描写があるため、購入には年齢制限がつけられる場合が多い。このため、リビングで家族が集まって遊ぶのを理想とする任天堂がFPSに及び腰になるのも無理はない。

 ところが、任天堂のライバル、ソニーの据え置き型ゲーム機「プレイステーション4」はFPSのゲームを豊富にそろえ、米国での販売は絶好調。約1年先に発売したWii Uを販売台数で抜き去った。

 平成27(2015)年3月期の黒字化を目指す任天堂にとっては米国での販売回復は不可欠で、ニーズと販売ソフトの“ミスマッチ”が頭の痛い問題になっている。

yd_nin1.jpg 最大市場の米国で人気の撃ち合いゲームを出せず、マリオで挑む任天堂
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