http://leanuxnyc.co/nyc/safe-fail-not-fail-safe-dr-alicia-juarrero/
1 comment | 1 point | by WazanovaNews 約3時間前 edited
NYで開催されたThe LeanUX15 Conferenceに招待された哲学者のAlicia Juarrero教授の講演。原題は "Safe-Fail, NOT Fail-Safe" ですので、「失敗しないように安全にするのではなく、安全に失敗すること。」という内容です。
まずは、カヌーと急流下り用のラフトを例えに比較しています。
カヌーは細身のすっきりしたデザインで、穏やかな海や川面を快適進めるように設計されているが、そもそも急流や波が高いときは舟をださないというのがベストな戦略。つまり、失敗しないように安全にする前提で、成果がでるように最適化されている。
一方のラフトは、ずんぐりとした形状。極力ひっくり返らないようにそのかたちにしているが、複数のメンバが激流の状況にあわせて、チームワークよく漕いでいかないとうまく進めない。しかし、水をかぶってびしょぬれになって、蛇行しながらも、周りの状況に柔軟に対応することで、どんな流れでもどうにか舟を進めることができるように設計されている。つまり、安全に失敗する仕組み。
教授は、
「失敗しないように安全にする。」という考え方は、安全のために障害が起きないようにすることに努め、完璧でなければいけないという考えを生み、実務者が「97%までしか無理だから目標達成がムリ。」と判断すれば、その仕組みはサイロの中に閉じこもって孤立することを指向してしまう。
と警告。
「安全に失敗する。」という考え方は、ラフトのように見た目がすっきりしなくなる可能性はあるが、現実世界では激流のような障害は避けられないので、外部環境に順応して生き残るという意味では最適であるとし、大きな組織も生き残るためには、
小さなサブシステムを包含し、それらが緩く結合することで、環境に対応して柔軟に学び/成長していくかたち。
が、必要だとしています。
結論としては、学術の世界では「安全に失敗する選択をした弾力性のあるものが生き残る。」という生物学の考えは、見た目がすっきりしてないし、時間がかかるけれども、(理論的にすっきりしていることを思考する?)物理学やエンジニアリングの考えをレプレースしていくとしています。
現実の組織やソフトウェアの世界で起きていることとの共通点も多く、示唆深いものがあります。
世の中の流れがこうなっていくときに、自分が「失敗しないように安全にする」につながるアクションや指示をしてしかっていないか、「安全に失敗する」仕組みづくりに取組めているか、自問してみましょう。
#組織