約束以上のことをしても、それほど評価は上がらない
この調査からわかったことの1つ目は、まったく当然の内容でした。被験者たちは、約束を破る人よりも、守る人を高く評価していたのです。ところが、もうひとつ意外なことが明らかになりました。約束以上のことをしてもらった場合でも、相手に対する満足度が増すわけではなかったのです。
次の実験では、被験者に40個のパズルを解くように指示し、1つ解くごとに賞金を払うと伝えました。次に、被験者に協力者を紹介しました。協力者は、きっかり10個のパズルを解くと約束しますが、実際に解くパズルの数は、5個(約束に満たない)、10個(約束どおり)、15個(約束以上)の場合があります。
この実験でも、被験者の喜びの大きさは、協力者が約束どおりにしてくれた場合と、それ以上に手伝ってくれた場合とで、例外なく変わらないことが明らかになりました。研究リーダーのひとりであるNicholas Epley氏は、次のような結論を導き出しました。
「約束した以上のことをするのは、労力を費やすに値する行動ではないかもしれません。約束以上のことをするよりも、約束を守ることに労力を割くほうが良いでしょう。この助言は、ビジネス分野にもあてはまります。企業は、約束した以上のことをしようとするよりも、まずは約束を破らないためにリソースを使うべきです」。
だからといって、約束以上のことをするのが悪いわけではありません。管理された研究室での実験だけでは、この結果があらゆる状況にあてはまるかどうかはわかりません。約束以上のことをするのが、何かを「大事に思っている」と相手に伝える良い方法であるのは確かです。とはいえ、約束をしたら、まずはきちんと実行することに力を注ぎましょう。何よりも大切なのはその点なのです。
Worth Keeping but Not Exceeding: Asymmetric Consequences of Breaking Versus Exceeding Promises|Sage Journals via Science Daily
Patrick Allan(原文/訳:梅田智世/ガリレオ)
Photo by 2jenn (Shutterstock).
- 「うまくいかないあの人」とみるみる人間関係がよくなる本
- 青木仁志|アチーブメント出版