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2014-05-21

21世紀出版界最大の”怪物”は角川歴彦氏やろ?彼の評伝って何で無いの?

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本日は時間がないので、小ネタ?でもないんだけどあっさりと。

この話題が世間をこの前騒がせましたね。

角川・ドワンゴ経営統合 アニメなど「ニコ動」で海外へ

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ130F6_T10C14A5MM8000/

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 「角川書店」で知られるKADOKAWA(東証1部上場)と、動画配信大手のドワンゴ(同)は経営統合する方針を固めた。来年春にも持ち株会社を設立して2社が傘下に入る。KADOKAWAは出版や映画ゲームなどのコンテンツ情報の内容)に強く、ドワンゴは若者に人気のインターネット動画サービスニコニコ動画ニコ動)」などを手掛ける。豊富なコンテンツと高いネット発信力を併せ持つメディアが誕生する。

で、いろんな解説記事出ました。

http://itnp.net/story/770

両社は「社風も近い。共通点サブカルチャーだ」(角川会長)という。確かに、今のKADOKAWAを支えているのはゲーム雑誌などだ。ドワンゴの「ニコニコ超会議」などの事業もコンテンツとして取り上げている。

 「ザテレビジョン」や「東京ウォーカー」などの雑誌部門を育てた角川氏からすると、川上会長経営方向性は極めて腑に落ちるのだろう。

 川上会長も「『KADOKAWAコンテンツドワンゴプラットフォームで世界に発信する』という見方の報道があったが違うと思う。両社ともコンテンツを作り、プラットフォームを運営している。だからこそ統合はうまく行くと思う」と両社の共通性を説明した。


たぶんそーやろーと思うのよ。

だが。

そもそも。 

なんで文芸の老舗、角川家の二代目…それも強烈な個性を持った兄、角川春樹の補佐役…そして何より、、1943年生まれの彼、角川歴彦氏が、「サブカルチャーの目利き」なのか??と。


角川歴彦はこんなにすごい

兄さん春樹も、とにかくどハデに動いて、いろいろ失敗もする一方、出版界ではありえないような大路線転換や大挑戦を行い、映画文庫大成功した…という話は知ってます。

横溝正史作品を復活させたなどなど。


しかし、角川歴彦氏もすごいわけで。

あっしが聞いた話では、「ザ・テレビジョン」「ニュータイプ」や「TOKYO WALKER」を成功させた雑誌屋

それもどこにもないジャンルを立ち上げるのよりある意味すごくて、既に老舗の、そのジャンルでは押しも押されもしないような雑誌(「TVガイド」「ぴあ」や「アニメージュ」か)に堂々新規参入して、そしてあっさりそういう老舗を抜き去って、チャンピオンになっちゃうという。

そして、伝説の追放と復帰劇。

http://wirelesswire.jp/management_theory_by_programmer/201405161357.html

歴彦は「ザ・テレビジョン」や「東京ウォーカー」、「コンプティーク」を仕掛け、情報誌事業で売上に貢献する一方、兄の春樹との確執が最高潮に高まった後、春樹によって角川書店を追放されてしまいます。


 これに反発した歴彦直下の独立部隊、角川メディアオフィスの社員のほぼ全員が辞表を提出し、角川と無関係の新会社メディアワークスを立ち上げます。このメディアワークスの立ち上げを担当したのが、佐藤辰男です。

 佐藤辰男角川歴彦の秘蔵っ子でした。彼が歴彦に売り込んだゲーム雑誌の企画書は「コンプティーク」として月刊誌になり、「マル勝ファミコン」といった攻略誌も担当しました。

 このマル勝ファミコン編集部には、当時まだ学生だった浜村弘一(後のファミ通編集長エンターブレイン社長)と塚田正晃(後のメディアワークス社長)が机を並べていました。

 

 佐藤辰男以下40名の怒れる社員たちは、メディアワークスで「電撃王」を創刊し、いきなり黒字化を達成します。

 さらに「電撃プレイステーション」へと快進撃は続き、「電撃文庫」の創刊でその地位を不動のものにします。

自分はこの「分裂騒動」を横目で見ていたが、実際上の影響はほとんど受けてなかった。

というのは自分は―今もそうだがー家庭用ゲームの最新トレンドは全然ついてけなかったったし、アニメも実際に見ることがあんまり無かったのだ。今もそうだが(原作)漫画だけで基本自足するタチだし、そして漫画は「集英社小学館講談社……そしてそれ以外が、なにか挑戦しては失敗してる」というイメージだったのだ。

じっさい文芸春秋とか宝島社とか新潮社漫画雑誌に挑戦しては失敗してた時代すよ??


それにそもそも、会社の揉め事で追放されたスター経営者やスター社員が「てやんでえ、俺がいたから会社がもってたんじゃねえか。俺が中心になって同じ業種の会社をつくれば、すぐに古巣はふっとぶぜ!!」てなことを考えて、成功した例はマレだ。

その数少ない例外がスティーブ・ジョブスアントニオ猪木、そして角川歴彦だったろう。

まあとにかく、電撃ナントカのざまざまな雑誌が、分裂劇のあとに創業して成功した、というのはとってもすげえことでありましょう。

そして角川春樹がちょっとASKA的なあれで一休みしたときに、流され王子は帰還する。

その後の物語は、また続いていくのだが…


いよいよ本題。なんでこの人はそんなにサブカルオタク文化)で成功したの?

角川歴彦が成功させたもの」というくくりは伸縮自在で、間違ってるのかもしれないけど

ロードス島戦記

ガンダムシリーズ(2作目以降?)」

ケロロ軍曹

新世紀エヴァンゲリオン

涼宮ハルヒ

など…らしい。

んでな。さすがにふつうの常識で考えると、1943年生まれのこの人が、そんな個別の作品をいい悪いとか分かったり、観てたりするとも思えない。ようは井上ナントカって人とか、そういう番頭さんや手代どんに優秀な人がいて、大旦那の角川歴彦がそういう人に自由にやらせてる、ってことなんだと思うのだが…

ただ、「いや、実際に歴彦さんは上のような作品をちゃんと見て、ああせいこうせい的な主張もしてるみたいだよ」という話も聞かないではないのだ。


だとしたら…すげえんとちゃう?

ま、本当に若い人材にこういう現場を任せて成功しました、ということだってすごい。


なもんで、そういう角川歴彦の歩み、兄との闘争、アニメやSF、ファンタジーライトノベル…に大カドカワの舵を切った決断。

そういった話を自伝でも評伝でも、がっちりと書いた本…ってもうあると思いきや、自分の知ってる限りではないのですよね。

角川春樹さん、兄さんのほうは

わが闘争―不良青年は世界を目指す

わが闘争―不良青年は世界を目指す

角川家の戦後

角川家の戦後

生涯不良

生涯不良

檻 (ハルキ文庫)

檻 (ハルキ文庫)

といろいろ書いたり、研究書があったりするのだが。ここで確かに、兄から観た弟・歴彦のことも書かれていてそれは貴重な資料だが、カドカワ経営と歴彦氏のことはもちろん分からないさ。


さらに、ものすごーく古い話だが雑誌宝島30」に、「角川家 地獄の家の秘密」というおどろおどろしいタイトルのルポが載ってた。書いたのは、今はとても意外なかたちで有名になっている岩上安身さんで…氏の個人サイトに、その古いルポがUPされている。

http://www.hh.iij4u.or.jp/~iwakami/kado1.htm




とまれ、実のところ自分の知識も圧倒的に不足していて、

「実は既に角川歴彦氏のすごさやその軌跡を徹底的に記した本は出ているよ」

という可能性も

「そもそも歴彦氏は、上のようなサブカルコンテンツの成功に関わってないよ」

という可能性もある。


まあ、そういう場合は教えてください、ということで。

 

以前から興味を持っていたのだけど、今回のドワンゴ・角川経営統合を機会に問題提起してみた(問題提起と書いてりゃどうにかなるっぽい、と最近学んだ(笑)


どこかの誰かが

角川歴彦はどんなふうに凄かったのか」

を全体の経営的にも、出版全体的にも、映画的にも、あるいはアニメラノベサブカル的にも語ってくれることを希望する…これはそういうひとへのお願いの文章でした。


追記 朗報!!ついに「角川歴彦評伝」が書かれる!!書き手大塚英志氏!!!

この記事にtwitterで反応をいただきました。

https://twitter.com/einee_kochi/status/468902085921357824

高知県映画上映団体ネットワーク ‏@einee_kochi 4分

@gryphonjapan 大塚英志が6月くらいから星海社サイト角川歴彦氏の評伝連載するそうです 角川ドワンゴ統合の際に出した予告編のようなものです→http://bit.ly/1o3jJge

リンク先に跳ぶと…

http://sai-zen-sen.jp/editors/blog/sekaizatsuwa/otsuka-%20essay.html

大塚英志緊急寄稿「企業に管理される快適なポストモダンのためのエッセイ

2014.05.17

星海社ウェブサイト最前線』において6月中旬の開始を予定している大塚英志氏の新連載『角川歴彦メディアミックスの時代』の公開に先駆けまして、大塚氏から緊急寄稿がありましたので急ぎ僕のブログを通じて公開いたします。タイトルは「企業に管理される快適なポストモダンのためのエッセイ」。

先日発表されたKADOKAWA・DWANGOの誕生が放つ巨大な重力から逃れて生きることは、ライトノベル漫画アニメゲームネットなどのただ中で生きている僕たちにとってはほぼ不可能な状況になることでしょう。だからこそ、僕たちはたった今、個人個人が真剣にこのKADOKAWA・DWANGO合併劇について考えるべきなのではないでしょうか。そういった意味で、この緊急寄稿は必読のテキストであると考えます。

また、新連載『角川歴彦メディアミックスの時代』では、「メディアミックス」の誕生の原点とされる80年代史と角川源義、春樹、歴彦の角川家三代の対比列伝を通じて、これからのメディア未来大塚英志氏があぶりだします。連載の開始を楽しみにお待ちくださいませ。

ああ、この記事のタイトルはてなブックマークホットエントリに上がっていたが、yタイトルが悪いよ(笑)まさか「評伝・角川歴彦」の予告編だったとは思わなかった。

ただ…長いな(笑)

gryphongryphon 2014/05/21 08:50 雨のせいで、逆に時間が空いてしまった(笑)。逆に書き残した話を書いていくうざい回になるかもしれないがご容赦を(笑)

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