集団的自衛権:3分野閣議決定で溝…与党協議

毎日新聞 2014年05月20日 23時23分(最終更新 05月21日 01時19分)

安保法制を巡る自民・公明両党の主な主張
安保法制を巡る自民・公明両党の主な主張

 自民、公明両党は20日、「安全保障法制の整備に関する与党協議会」の初会合を開き、集団的自衛権の行使に当たらない「グレーゾーン事態」から対象3分野を順に検討することで一致した。ただ、3分野パッケージでの閣議決定を目指す自民党と、慎重な公明党の溝が初日から露呈した。【高本耕太、高橋恵子】

 会合では、自民党の高村正彦副総裁が座長に就任。公明党の意向に配慮し、3分野を(1)武力攻撃には至らないグレーゾーン事態(2)国連平和維持活動(PKO)などでの自衛隊の権限拡大(3)集団的自衛権の行使を含む武力行使−−の順に議論することを確認した。

 自民党の石破茂幹事長はその後の記者会見で、3分野は「一つのものだろう」と述べ、早期にパッケージでの閣議決定に持ち込むことに強い意欲を示した。

 これに対して、協議会の座長代理に就いた公明党の北側一雄副代表は会合後、記者団に「我々はそんな認識ではないし、今日もそんな発言は全くなかった」と述べ、パッケージ論に強く反発した。

 安倍晋三首相は、閣議決定について「スケジュールは期限ありきではない」としているが、今国会中の閣議決定をなおあきらめていないとされ、遅くとも秋の臨時国会前には閣議決定させたい意向とみられる。

 政府・自民党は公明党の理解を得やすいグレーゾーン事態と、「駆け付け警護」などのPKOの2分野で議論を急ぎ、さらに集団的自衛権の「限定容認」を公明党にのませれば早期の閣議決定に持ち込めるとみている。自民党幹部は「前の二つがすぐ済み、集団的自衛権で短くても濃密な議論ができれば閣議決定できる」と語る。

 一方、自民党が前のめりになっていることに、公明党は反発を強めている。来週の与党協議では政府側が、対応が必要としている具体的な事例リストを示すが、同党幹部は「個別の事例を詳細に検討し、個々の法整備を具体的に議論する」と強調した。

 自民党にも「与党幹部がわざわざ集まって、法整備の必要性にマルかバツかをつけるだけで、後は政府に丸投げなんて通るはずがない」(党関係者)と公明党に理解を示す声がある。

 実際、集団的自衛権の行使容認だけでなく、グレーゾーンや国際協力の2分野も従来の安保法制からの転換で、過去には国会や政府内で論議を呼んだ。それだけに詳細に検討すれば、自公の主張が割れて議論が長期化する可能性がある。

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