小笠原新島:東京ドーム20杯分に 出現から半年

毎日新聞 2014年05月20日 12時34分(最終更新 05月20日 20時21分)

出現から半年を経ても噴煙を上げ続ける西之島の新島。赤い部分は赤外線撮影で高温を示した場所を重ね合わせている。上が北=2014年5月17日、米国の地球観測衛星が高度約700キロの上空から撮影。リモート・センシング技術センター提供
出現から半年を経ても噴煙を上げ続ける西之島の新島。赤い部分は赤外線撮影で高温を示した場所を重ね合わせている。上が北=2014年5月17日、米国の地球観測衛星が高度約700キロの上空から撮影。リモート・センシング技術センター提供

 噴火活動による小笠原諸島(東京都小笠原村)の「新島」出現から20日で半年となる。溶岩などの噴出量は東京ドーム20杯分になることが、前野深・東京大地震研究所助教(火山地質学)のチームの分析で分かった。近くの西之島とつながった新しい陸地面積は元の西之島の3.5倍を超え、更に「成長」を続けている。

 昨年11月20日、西之島の南東沖で噴火活動による陸地の形成が確認された。流出した溶岩によって島は拡大し、12月には元の西之島(約20万平方メートル)と合体。海上保安庁によると、陸地面積は今年4月15日時点で約75万平方メートル、最も高い地点の海抜は70メートルを超えた。

 前野助教のチームは、国土地理院のデータや衛星写真などを使って、4月中旬までに噴出した溶岩などの総量を調べた。その結果、この半年間の噴出量は東京ドームの20倍の約2500万立方メートルに達し、これは、海底火山の噴火活動が1年以上続いて西之島が拡大した1973〜74年の約2400万立方メートルを上回っている。

 また、噴火当初の1日当たりの噴出量は10万立方メートル程度だったが、2〜3月は25万〜30万立方メートルに増え、4月前半は20万立方メートル程度になった。

 前野助教は「今回の噴火は、73年時の水深100メートル程度より浅い水深数十メートルで始まったために、島の成長も当時より速いと考えられる。噴火がいつまで続くかは予測できないが、面積は更に拡大するだろう」と話す。【千葉紀和】

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