Financial Times

米国が中国軍人5人を「サイバー窃盗」で起訴エスカレートするオバマ政権のキャンペーン、中国政府からの報復の恐れも

2014.05.21(水)  Financial Times

(2014年5月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

今から1年足らず前、バラク・オバマ米大統領が習近平・中国国家主席を迎え、カリフォルニアで8時間の首脳会談を主催した後、ある米国政府高官は、サイバー窃盗に対する米国の懸念が今、両国の「関係の中心課題」になったと発表した。

 それから数時間内に、エドワード・スノーデン氏が香港のホテルの部屋から、自分が米国家安全保障局(NSA)に関する一連のリークをしたことを明らかにし、その過程でハッキングに関して中国に圧力をかけようとするオバマ政権の取り組みを劇的に損ねた。

 米政権は19日、米国企業から企業機密を盗んだ容疑で中国軍のメンバー5人の起訴を発表し、主導権を取り戻そうとした。ペンシルベニア州西部地区のデービッド・ヒクトン検事正は「これは21世紀の強盗だ」と述べた。

企業機密を盗み、自国の国営企業に流す組織的取り組み

起訴された中国軍関係者の顔写真を掲載したFBIの指名手配犯のページ

 今回の起訴――米連邦捜査局(FBI)の最重要指名手配犯のページにも中国軍関係者の写真が掲載された――は、中国政府が「商業的に重要な情報を盗むための組織的作業」(米政権)をすることを阻止する米国の作戦の劇的なエスカレートを意味している。

 「本政権は、米国企業を違法にサボタージュし、自由市場の運営において公正な競争の完全性を損ねようとする国の行動を許容しない」。エリック・ホルダー米司法長官は19日、こう述べた。

 だが、中国人ハッカーの名前を公表して恥をかかせようとするうえで、オバマ政権が直面する難しい問題は、NSAの活動に関するスノーデン氏の情報漏洩が中国側に、米国に対して報復する武器を与えてしまうかどうか、だ。

 「これは民間企業から盗むことをやめるよう中国に一段と圧力をかける方法のように見える」。ファイア・アイのチーフ・セキュリティー・ストラテジストのリチャード・ベイトリック氏はこう話す。「だが、中国から報復を受けるリスクがある」

 オバマ政権はこうした起訴状を出すことで、過去数年訴え続けてきた主張を強調している。

 すべての国が諜報を行っていることは、米国政府高官も…
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