パク大統領が謝罪 海洋警察を解体へ5月19日 12時07分
韓国のパク・クネ大統領は、先月起きた旅客船沈没事故について、多くの犠牲を出した最終的な責任は自分にあるとして謝罪するとともに、海洋警察を解体して安全対策や救助を専門に行う新たな機関を設立する方針を発表しました。
先月16日に韓国南部で起きた旅客船セウォル号の沈没事故では、286人の死亡が確認され、今なお18人の行方が分かっていません。
パク大統領は今回の事故について19日、国民に対する談話を発表し、「助けることができた生徒たちを救えず、初動対応に多くの混乱があった。最終的な責任は大統領である私にある」などとしたうえで、「国民の苦痛に対し心から謝罪する」と頭を下げました。
そして、「海洋警察は本来の任務を果たせなかった。事故直後に即座に、積極的に救助を行えば犠牲を大幅に減らすことができた」と指摘し、海洋警察を解体し安全対策や緊急時の救助活動を専門に行う新たな機関を設立する方針を発表しました。
また、船の安全を守ることができなかった背景には官と民の癒着があるとして、公務員のいわゆる天下りを大幅に制限するとともに、公職に民間の専門家をより多く採用するなどの制度改革を行うとしています。
そして、最後に友人を救おうとして犠牲となった高校生などの名前を挙げながら涙を流し、安全な国をつくる強い意欲を示しました。
今回の事故を巡っては、船長や船会社の責任に加えて、現場に到着した海洋警察が沈没するまでの間に船内の乗客の救助をほとんど行わなかったことや、誤った発表を繰り返したことなど政府の対応に批判が強まっており、来月初めに行われる統一地方選挙を前にパク大統領は対応を迫られていました。
分かれる市民の反応
パク・クネ大統領が旅客船の沈没事故について国民に謝罪し、海洋警察を解体する方針を示したことについて、事故現場近くで捜索活動を待っている行方不明者の家族らは記者会見し、「海洋警察が大きく動揺して捜索に支障が出ることは明らかだ。不明者の捜索について全く言及がなく、最後の1人まで救助しようと考えているのか」などと反発しています。
一方、市民の反応は賛否が分かれていて、ソウル市の60代の男性は「涙で大統領の気持ちが感じられた。海洋警察を解体して腐敗を無くさなければならない」と評価し、別の50代の男性も「解体は当然だ」と支持していましたが、40代の女性は「大統領は自分には責任はないと言っているようだった。涙は信用できない」などと談話への不満を述べました。
メディアの反応も分かれていて、大手紙の東亜日報が「大統領の涙に共感する」というインターネット上の声を引用して肯定的に伝えたのに対し、進歩系のハンギョレ新聞は「涙とジェスチャーでは誤りを覆い隠せない」と批判しています。
また、野党の新政治民主連合は、謝罪するのが遅く事故原因についても全容が解明されていないなどと指摘したうえで、「すべての責任を海洋警察に押しつけている。新たな機関を設立しても実効性がないものを作り出すのではないかという疑問がある」などと批判しています。
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