PC遠隔操作:片山被告「引き返せなくなったのは自分」

毎日新聞 2014年05月20日 22時36分(最終更新 05月20日 23時35分)

弁護士事務所を出る片山祐輔被告(右)=東京都港区で2014年5月20日午前10時53分、竹内紀臣撮影
弁護士事務所を出る片山祐輔被告(右)=東京都港区で2014年5月20日午前10時53分、竹内紀臣撮影

 パソコン(PC)の遠隔操作事件で威力業務妨害罪などに問われ、一転して全事件への関与を認めた片山祐輔被告(32)が、動機について「(最初の事件が)意外と簡単にでき、『やったー』という気持ちになり、引き返せなくなっていった」と説明していることが分かった。弁護人の佐藤博史弁護士が20日、明らかにした。東京地検は同日、東京地裁が保釈の取り消しを認める決定を出したことを受け、被告を東京拘置所に再収容した。【島田信幸】

 ◇片山被告を再収容

 2012年10月に弁護士などに送られた犯行声明メールには「警察、検察をはめてやりたかった」と動機が記載されていた。被告は逮捕後も無罪を主張し「警察と検察は引き返せなくなった」と批判していた。

 だが、記者会見した佐藤弁護士によると、「私が真犯人です」と事件への関与を認めた被告は「引き返せなくなったのは実は自分だった。ポイント・オブ・ノー・リターン(引き返せない一線)を越えていた」と説明。「精神的におかしくなっていた」とも話した。遠隔操作ウイルスは自分で作成したと認めているという。

 また、被告は当初、裁判で有罪判決が出た場合に「真犯人」を名乗るメールを送り、「判決をひっくり返そう」と考えていたという。約1カ月前、プリペイド式のスマートフォンを東京・秋葉原で購入。PCも準備して「真犯人」メールの文面などを作成した。

 その後「心配する母親のために一日も早く裁判を終わらせたい」と考えて計画の前倒しを決め、送信予約機能を使って自身が出廷中の16日午前にメールが送信されるようスマホをセット。15日夕に荒川河川敷(東京都江戸川区)に埋めた。警察の尾行がないか確認したといい、「まさかばれると思わなかった」と話したという。

 誤認逮捕された4人に対し、被告は「大変申し訳ない」と謝罪の言葉を述べたが、佐藤弁護士は「どこまで反省しているのか分からないところがある。愉快犯のような部分があるので、(誰かが誤認逮捕されることを)リアルにイメージしていたのか……」と戸惑いを隠せない様子で語った。

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