月末が近づくと人事や経理の担当者は、従業員の給与計算に多くの作業時間を取られることになる。ある調査によれば、従業員1人当たりの処理時間は約28分。「この作業を1クリックで終わらせる」というのは、freeeの佐々木大輔氏だ。同社は19日、「クラウド給与計算ソフト freee(フリー)」のβ版を公開した。
2013年3月にリリースした「クラウド会計ソフト freee(フリー)」の利用アカウントはおよそ1年で約7万事業者となった。同社の次なる一手が「中小企業の給与関連業務を簡単に」だ。従業員が入力した勤怠情報に基づき、給与額や税額の計算、税務署や社会保険事務所への提出書類までが1クリックで完成する。
佐々木氏によると、多くの中小企業における給与計算作業は、給与計算や税務の知識を持つ担当者や経営者が、従業員の勤怠情報をまとめたExcelと電卓を片手に、手計算で管理しているという。従業員数が約40人まで増えたfreeeの場合も、さまざまな計算式を埋め込んだ半自動化したGoogleスプレッドシートを使って処理していたそうだ。
同社が従業員数5〜30人の会社の経営者300人を対象に調べたところ、給与計算には1従業員当たり約28分、給与関連事務全体では毎月205分がかかっているという。クラウド給与計算ソフト freeeは、この作業負担を減らすことを狙った。
まず、従業員のアカウントを作成し、勤怠情報は従業員自身に入力させる。このデータは、給与計算の担当者もチェックでき、未入力や入力ミスの修正を行える。これ以降の集計――給与計算、明細発行、振り込みデータの作成などの作業は「1クリックで」完了する。生成した給与額などの会計データは、そのままクラウド会計ソフト freeeに連携できる。
クラウド給与計算ソフト freeeは、2014年後半に正式版をリリース予定(β版は無料で利用可能)。正式版では、3ユーザーまでの基本プランが月額1980円、従業員1人につき月額300円の追加料金で提供する予定だ。
佐々木氏にクラウド会計ソフト freeeの利用状況について聞いたところ、「新規利用者をターゲットにスタートしたが、今では既存の会計ソフトからの乗り換えユーザーが半数くらい存在する。最近では、中小企業の経営者が税理士の紹介業者に対して『freeeに対応した税理士』を指名することも増えていると聞く」とのことだ。
「クラウド給与計算ソフト freeeは、クラウド会計ソフト freeeと連携可能だが、給与計算単体で使える。給与計算は複雑で、法改正への対応が求められるうえに、絶対に計算を間違えてはいけない作業。Excelと電卓を使った手計算からの乗り換えが大いに期待できる。決算処理の次に大変だといわれる給与業務を1クリックで終わらせ、創造的ではない部分をITの力で解決したい」(佐々木氏)
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