偽史冒険世界―カルト本の百年 (ちくま文庫)
長山靖生の関連本
偽史冒険世界―カルト本の百年を読んだ人はこんな本も読んでいます
偽史冒険世界―カルト本の百年の感想・レビュー(21)
偽書、トンデモ説が国威高揚に利用されてきた歴史をまじめに辿った、傑作ノンフィクションです。なんとなくキナ臭い2014年現在、この本から学ぶべき態度があるような気がします。
「私たちは皆、心のどこかで本当の自分を求めている。この場合の『本当の自分』というのは『現実のあるがままの自分』とは別のものだ」「現実の自分を否定し、存在しない自分を『本当の自分』と考える心性。これを妄想と呼ばずして、何を妄想というのだろう」…ユーモラスに綴ってはあるが、重い問題提起の書。偽史にはまり込むひとたちはいつの世にも、どこの国にも存在する。歴史そのものが明確な正解を持たないのでやむを得ない部分もあるのだけれど、やはり想像と実証できるものは明確に分けるべきだろう。
近代日本で続々と生みだされた、日本神話・歴史の空説について、義経=ジンギスカン説、南方幻想(内容は雑多で支離滅裂)、日本民族バルカン半島起源説、日本ユダヤ同祖説、超古代文字、竹内文書の順に紹介した本(解説・鹿島茂)。まず、本書は、史料批判が不十分だ。そのため、事実の空白部分を、筆者の空想によって、言い繕っている(「だろう」「かもしれない」「気がする」)。くわえて、事実を分析する枠組みを用意していない。そのため、興味本位の解説にとどまっている。荒俣宏の劣化版。
「義経ジンギスカン説」をはじめとするトンデモ日本論や、オカルトな神話研究といった日本のアイデンティティをめぐる想像力が、帝国主義やアジア・南洋に対する植民主義的意識などのイデオロギーと結びついていたことを指摘する。引用されてる文献もいちいち面白い。いい仕事。
たいへん面白いです.トンデモをトンデモと笑い飛ばす,だけでは生産性はない.やっぱり,なんで人はトンデモに向かってしまうのかを考察せねば,トンデモの存在意義はだだ下がりでしょう.基本,人は見たいものを見,聞きたいことを聞く.そのパワーを正しい方向に向けて,素晴らしい洞察を得る人もいれば,珍説奇説を残して消える人もいる.まあ,ここにあげられている人たちは主に「日本(人)はいかにすごいか」を示すのを目標としたということろで,残念なコモノ感が漂ってしまいますが...
『鴎外のオカルト、漱石の科学』の筆者。オウム事件の林医師と面識があり、彼がなぜオウムに嵌ったのか、が、執筆の動機。義経ジンギスカン説・邪馬台国エジプト説・酒井勝軍・竹内文書などについて解説。
義経=ジンギスカン説、日猶同祖論、ムー大陸、神代文字といったトンデモ偽史の数々を論じた一冊。語り口は軽妙なエッセイ風だが、内容はかなり読ませる。偽史を単なるカルト文化と看做すのではなく、近代日本という国家成立の背後にあった、様々な思惑やコンプレックスの所産として読み解いていく。無論トンデモ学説のアホらしさも存分に賞味出来ます。『オデュッセイア』の元ネタは『平家物語』と『太平記』であるなんていわれても、どこから突っ込めばいいのか……。大塚英志の民俗学者三部作なんか好きな人は一読あれ。
今読んでいるみんな最新5件(1)
積読中のみんな最新5件(1)
偽史冒険世界―カルト本の百年の
11件
%
感想・レビュー: