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政治
【歴史戦 第2部 慰安婦問題の原点(1)後半】軍医論文ヒントに「完全な創作」世界に増殖 誤りに謝罪しながら訂正せず
そして、錯誤の連鎖はこれにとどまらず、「千田が事実として書いた嘘が増殖していった」(天児)のだ。例えば、慰安婦を強制連行された「性奴隷」と認定した1996(平成8)年2月の「クマラスワミ報告書」には、オーストラリア人ジャーナリスト、ジョージ・ヒックスの著書『慰安婦』が引用されているが、天児によると「索引には参考文献がたくさん並んでいて立派な学術書のようだが、千田の本とそれを孫引きした著者のものばかり」だという。吉田清治の名前もある。
この本には7カ所「ドクター・アソウ」の名が出てくるが、千田の著書を引用する形で「最も健康な慰安婦供給源への基礎をおくのに手助けした」と書いたり、「上海の慰安所の主唱者」と記したり、およそデタラメな記述が多かった。
さらに『慰安婦』には、麻生が撮った写真が無断掲載されていたため、天児はヒックスに「著作権侵害だ」と手紙を出したが、なしのつぶてだった。
天児は法的手段に訴えることも考えたが、弁護士は「日本弁護士連合会はあなたと立場が違うから弁護できない」と断られた。日弁連は、慰安婦は「軍事的性奴隷」であり、「軍の強制は明白」との立場を取っているからだ。
吉田と千田という2人の作家が扇情的に書きつづった創作作品は、当事者や関係者の「それは違う」という異議をかき消し、事実として世界に広まった。それには、検証も確認もせずに彼らを持ち上げ紹介してきたメディアが果たした役割も大きい。(敬称略)
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