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 2011年に経営破綻(はたん)した安愚楽(あぐら)牧場による和牛商法事件で、被害が拡大したのは消費者庁などが適切な対応を怠ったためだとして、出資者約1100人が30日、国に総額約55億円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こす。被害対策弁護団が19日、都内で記者会見して明らかにした。

 訴えるのは東京都、千葉、埼玉、群馬各県の被害者ら。栃木県と東海地方の被害者も別の地裁に提訴する予定だという。

 弁護団によると、同庁に対する情報公開請求で、これまでは公開が拒まれていた文書の開示決定が4月にあった。その文書によると、09年9月に発足した同庁は、同社から定期的に報告を受けるよう農林水産省から引き継ぎを受けていた。10年には、同社から報告の申し出があったのに、同庁は「不要」と答えていたという。

 弁護団の紀藤正樹団長は「消費者庁が調査をすれば牛の頭数不足に早く気付くことができ、被害拡大は防げたはずだ」と指摘した。