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無罪主張が一転「私が真犯人」再び勾留
5月20日 17時56分

無罪主張が一転「私が真犯人」再び勾留
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パソコンの遠隔操作事件で、これまで無罪を主張してきた元会社員、片山祐輔被告が一転して「私が真犯人で、一連の事件はすべて自分の犯行だ」と認めました。
片山被告は保釈を取り消され、20日午後、東京拘置所に勾留されました。

パソコンの遠隔操作事件では、インターネット関連会社の元社員、片山祐輔被告(32)が威力業務妨害などの罪に問われていて、ことし3月に保釈され、裁判では一貫して無罪を主張してきました。
しかし、弁護団によりますと、19日夜、片山被告が一転して「私が真犯人です」と述べて一連の事件はすべて自分の犯行だと認めたということです。
片山被告は保釈を取り消され、20日午後1時すぎ、再び東京拘置所に勾留されました。
弁護を担当している佐藤博史弁護士によりますと、片山被告は今月16日に真犯人を名乗る人物から報道機関などに送られたメールを自分が送ったことも認めているということです。
そして、メール送信に使った携帯電話を河川敷に埋める様子を捜査員に目撃されていたことを知り、これ以上言い逃れできないと考えて、みずからの関与を弁護士に打ち明けたということです。
一連の事件では、無関係の男性4人が誤って警察に逮捕されましたが、片山被告は「大変申し訳ないことをした」と謝罪のことばを口にしたということです。
ただ、そのときの印象について佐藤弁護士は「通りいっぺんのことばで済む話ではなく、どこまで心から反省しているのか分からない。愉快犯的なところがあり、どこまでリアルなものとしてイメージできているか分からない」と話しています。
今後の裁判については「みずからの関与を洗いざらい話すべきだ」と伝えたところ、片山被告は了承したということで、これまでの無罪主張を撤回し、起訴された内容をすべて認める方針だということです。
片山被告の次の裁判は22日に予定されていて、改めて被告に認否の確認が行われる見通しです。
これまで一貫して無罪を主張してきた片山被告がどのようなことばで事件への関わりを説明するのか注目されます。

弁護士に「自分が犯人でした」

佐藤博史弁護士は会見で片山被告が犯行を認め、再び身柄を拘束をされるまでのいきさつを詳しく説明しました。
片山被告は19日、真犯人を名乗る人物から報道機関などにメールが送られたことを受け、午後2時に弁護団とともに裁判を打ち切るよう求める会見を開く予定でした。
しかし、午前10時すぎにメールを送ったのは被告自身だとみて捜査当局が調べているとの報道を佐藤弁護士から電話で伝えられたあと連絡が取れなくなり、午後2時の会見の場にも現れませんでした。
再び連絡が取れたのは19日午後9時半ごろでした。
片山被告から佐藤弁護士に電話があり、この中で「先生、すみません。自分が犯人でした」と一連の事件が自分の犯行だったと打ち明けたということです。
この電話の中で、片山被告は真犯人を装ったメールを送った携帯電話を河川敷に埋めたのを把握されていることを知り「もうだめだと思い自殺を考えている」と伝えました。
佐藤弁護士は被告が連絡を絶っていた日中に都内の公園や山の中などをさまよい歩き、首をつったり電車に飛び込もうとしたりして死のうとしたが死にきれなかったと話したため思いとどまるよう説得を続けたということです。
片山被告は東京・新宿区のホテルに泊まって一夜を過ごし、20日午前7時すぎに迎えに来た佐藤弁護士と落ち合ったということです。
その後、港区内の弁護士事務所に移動して、これまで隠していた一連の犯行の詳細について佐藤弁護士に説明したということです。
そして、午前10時すぎに身柄を拘束するため事務所に来た東京地検の検事に「すみません」と話し、改めて自分が真犯人だと認めたということです。

捜査員の行動確認が決め手に

今回、片山被告による「真犯人メール」の自作自演が発覚する決め手となったのは、警視庁の捜査員による行動確認でした。
弁護士によりますと、片山被告も荒川の河川敷に携帯電話を埋めたことについて「まさか警察に掌握されていると思わなかった。そのことで犯人と名乗ることになってしまった」と話していたということです。
保釈中の片山被告が不審な行動を取ったのは今月15日。
遠巻きに片山被告を見ていた捜査員が、江東区の自宅から東に4キロほど離れた荒川の河川敷に向かったのを確認しました。
およそ2時間にわたって河川敷に留まり、何かを埋める姿が確認されたということです。
片山被告の不審な行動を把握した警視庁は、通りがかりの人が地面を掘り起こさないように監視する措置を取りました。
翌日の午前11時37分、ちょうど片山被告が裁判に出廷中に報道各社などに真犯人を名乗るメールが届きます。
片山被告が何らかの行動を起こしたと考えた捜査員が、片山被告がいた場所を確認したところ地面に穴が掘られ、透明な袋に入った携帯電話が埋められているのが見つかったということです。
携帯電話を解析したところ、メールと同じ文面が全文残され、送信した形跡もあるのが確認されました。
片山被告は、自分の一連の行動を捜査員が目撃したことなどが報道されたことを知り、「もはや言い逃れができないと思った」と説明しているということです。
警視庁と東京地検もメールを送信したのは片山被告本人と判断し、20日、保釈の取り消しに発展しました。

「事件全体の検証を」

一連の事件の取材を続けてきたジャーナリストの江川紹子さんは「きょうの展開はびっくりした。片山被告がなぜみずから新たにメールを送るような稚拙な行動に出たのか疑問に思う。被告自身も自分の心がコントロールできていないと思うので、彼の心の状態も含め、今後、しっかりと解明してほしい。また、被告が有罪になっても警察によって誤って逮捕された人が出た事件であることは変わらないので、今後、一連の事件全体を検証してほしい」と話しました。
さらに「私は有罪と無罪の両方の情報が必要だと考え、これまで意識的に片山被告の無罪につながるような情報も発信していたが、バランスを欠いていた部分があったかどうか今後考えたい」と話しました。

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