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【経済】

クロマグロ「回復望めず」 太平洋漁獲規制「不十分」

 日本が大量に漁獲、消費している太平洋のクロマグロは、乱獲が原因で依然として過去最低レベルの状態にあり、昨年合意した漁獲規制だけでは資源回復は望めないとした報告書を、日米などの科学者や政府関係者でつくる国際機関「北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)」が二十日までにまとめた。

 資源管理機関の「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」は昨年十二月、各国が二〇一四年の未成魚の漁獲量を〇二〜〇四年の実績と比べ15%以上減らすことで合意した。だが、ISCは「現在の規制や管理措置が完全に実施されたとしても、回復は期待できない」と明言、さらなる漁獲量削減の必要性を指摘した。メジマグロやヨコワと呼ばれる未成魚の消費削減の声が強まるなど、家庭の食卓にも影響が出る可能性がある。

 ISCによると、一二年、太平洋のクロマグロの産卵能力がある親魚の量は推定二万六千三百二十四トンで、一〇年の推定値よりもやや多いものの、依然として漁業が始まる前の6%未満と過去最低レベルにある。また、新たに群れに加わったゼロ歳魚の量も極めて少なかった。

 将来予測からは、未成魚の漁獲量の削減率が〇二〜〇四年水準比50%未満では、親魚の量がさらに減って過去最低になる可能性が高く、50%削減したとしても二四年までに資源が十分に回復する可能性は極めて低いとの結果が得られた。

 ISCは、資源をこれ以上、悪化させないためには、年齢が高い魚を含めた漁獲量全体の削減を検討する必要があるなどと指摘した。

 報告を基に、日本などWCPFC加盟国は九月に開かれる委員会などで漁獲規制の強化を検討する。日本は既に15%削減では不十分だとして一五年以降の未成魚の漁獲量を50%減らすことを決めており、今後、関係国に一層の削減を働き掛ける方針だ。

 <太平洋のクロマグロ> 太平洋の温帯域を中心に分布し、体長が約2・5メートルになる最大のマグロ。高級トロの材料として高値で取引される。ホンマグロとも呼ばれ、日本近海でも古くから漁獲されてきたが、近年は漁獲量の減少が著しい。メジマグロ、ヨコワとも呼ばれる未成魚が、巻き網漁で大量に漁獲、消費されたり、いけすで飼育して太らせる「蓄養」目的で捕られたりしていることが問題だと指摘されている。クロマグロは大西洋にも分布するが、近年は別種、または別亜種だとの見方が有力になっている。

 

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