ここから本文です
[PR] 

<大阪遊園地跡地>風俗ない約束の5年…計画見直しで経過

毎日新聞 5月19日(月)15時1分配信

 大阪市の土地信託事業で経営破綻した遊園地「フェスティバルゲート」(同市浪速区)の跡地を巡る問題は、市と、跡地を所有する大手パチンコチェーン「マルハン」(京都市)が今月14日、契約を結び直し、パチンコ店を含む商業施設を建てることが正式に決まった。破綻から10年。この間、韓流テーマパークなどの構想が浮かんでは消えた。問題は収束するが、地元は複雑な心境を抱いている。

 「甘い契約」。橋下徹市長は今月8日の定例記者会見で、マルハンと、市交通局との交渉を振り返り、こう切って捨てた。

 マルハンは2009年、約14億円で跡地を購入。当初はボウリングやカラオケなどの娯楽施設を造る予定だったが、「レジャー人気の落ち込みが顕著で白紙にした」(同社広報担当)。昨年7月には韓国のスターがコンサートを開く日本初の「韓流テーマパーク型商業施設」計画を発表し、今秋開業予定との触れ込みだったが、今年に入って「日韓関係悪化によるブーム低迷で運営が困難」(同)として、見直しを市に連絡した。

 市とマルハンとの契約では、土地売却から5年間はパチンコなど風俗営業は禁止するとの内容が盛り込まれていた。マルハンがパチンコ店を含む施設への計画見直しを市に打診したのは、期限が切れる今年3月。これに市も応じた。

 橋下市長は会見でマルハンに対し、「日韓情勢は言い訳」とした上で、「禁止期間が過ぎ、もうけが重要と考えるのはいいが、誠実に対応してほしかった」と複雑な胸の内をのぞかせた。

 市幹部の間では、マルハンが契約期間の5年間が過ぎるのを待っていたのではないかとの見方もある。これに対してマルハンは、変更された二つの計画について「実現に向けて誠実に取り組んできた」と説明する。

 市交通局幹部も「公務員は、性善説に立つ職員が多い。元々、契約は履行してくれるものだと思っている」と説いた上で、「新施設にパチンコ店が入るのは残念だが、前に進めたい。止まっていたら誰も幸せにならない」と打ち明けた。

 跡地は市南部の観光地、新世界の一角。地元住民からもさまざまな声が上がる。近くで飲食店を営む女性(66)は「韓流施設ができず残念」と話した上で「家族連れや観光客が集まれる施設にしてほしい」。近くの薬局経営、山本盛雄さん(59)は「空き地のままでは、暗くて治安も悪い。何でもいいから、人の集まる施設を早く建ててほしい」と望んだ。【山下貴史、重石岳史】

 ◇フェスティバルゲート

 大阪市交通局の車庫跡地の再開発として、市が土地を提供し、信託銀行が建設・運営する土地信託事業の方式をとり、1997年に開業。建物の合間を縫ってジェットコースターが走るなど、都市型遊園地として人気を集めたが、入場無料の一方、経費がかさみ、2004年に経営破綻。負債380億円のうち市は200億円を負担した。その後もテナントの退店交渉が進まず、落札企業との契約が保留になるなど跡地利用が進まなかった。

最終更新:5月19日(月)15時1分

毎日新聞

 

PR

ブラジルワールドカップ特集

注目の情報