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   「美味しんぼ」問題/不安と風評の解消が重要だ(5月20日付)

 東京電力福島第1原発事故による健康影響の描写が物議を醸してきた「週刊ビッグコミックスピリッツ」の連載漫画「美味(おい)しんぼ」をめぐり、発行元の小学館は19日発売の最新号で「表現のあり方について今一度見直す」とする編集部の見解を掲載、次号からしばらく休載するとした。

 美味しんぼでは「福島の真実」と題したシリーズの4月28日と今月12日発売号で、主人公が第1原発取材後に鼻血を出し放射線被ばくと結び付けるストーリーが展開された。前双葉町長や福島大准教授など実在する人物が登場し、「今の福島に住んではいけない」などとするコメントも掲載された。

 これらの描写には科学的な根拠が示されていなかった。急性障害を引き起こすような高線量と県民が生活しているレベルの低線量での影響の区別も判然としていない。健康への影響に結び付けるには科学的な根拠をしっかりと示さなければ、不安をあおるだけになってしまう。

 低線量被ばくの影響については、はっきりと分からない部分もあるが、国連の専門委員会は「確定的な影響は認められない」としている。県全体が危険との印象を与えかねず風評を助長するなどとして、県や双葉町などが小学館に抗議した。

 編集部は見解で、残留放射性物質や低線量被ばくの影響についてあらためて問題提起するために作品を掲載したと説明した上で「多くの方々が不快な思いをした」ことについて「責任を痛感している」とした。問題提起の視点と表現の自由は尊重されなければならないが、配慮に欠けていたことは否めない。

 編集部は見解とともに賛否両論の意見を掲載した。重要なのは問題提起を「二項対立」の俎(そ)上(じょう)に載せてはならないということだ。人それぞれに違う放射線の受け止め方を対立の構図に仕立てれば、分断を生むということを県民は経験してきた。

 事故直後には線量をめぐる政府や専門家の意見の違いに翻弄(ほんろう)されながらもこの3年間、多くの市民、生産者らが放射線の影響を少なくしようと自ら除染や研究に取り組んできた。放射線リスクへの理解を深め、風評払拭(ふっしょく)の努力を続け、福島に住むと判断している県民は多い。

 県は県外避難者も含めて健康調査を続けている。それでも不安と折り合いながら生活を続けている人たちの声に政府をはじめ県や市町村、専門家が真摯(しんし)に耳を傾け不安解消に努めなければならない。信頼回復への努力が重要なのは当然だ。

 
   
 

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