「機動戦士ガンダムUC」の元になった作品達

ガンダムUC」は完結後にOVA見ようと思ってたので、今になってネット配信を購入して消化しています。

ep2は完全敗北するフラグを立てるリディ少尉UCがすごい。

 

 

さて、この「ガンダムUC」という作品は徹底的に「ガンダムの三次創作」だなと思っていた。

そういった三次創作的なものを意図的に作って、それを今アニメに落とし込む一種のお祭り感がこの作品の存在意義なんだろう。

今回は関係ありそうな作品を色々と挙げてみます。

 

 

・シャアの反乱の後のウチュウセイキ

 

例えば基本的に関わりが深い作品は、時代背景的には「逆襲のシャア」の直後である事。

アムロ・レイVSシャア・アズナブルに完全決着をつけ、あの2人の男を「殺す(退場させる)」ための映画でもあった。

 

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア [DVD]

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しかしアムロ・レイシャア・アズナブルが居なくなっても続くしかなかった。

その後の作品としてクロスボーンバンガードが奮起した「F91」(とその続編漫画である「クロスボーンガンダム」シリーズ。この漫画にも無印には富野監督が関わっていた)

 

機動戦士ガンダムF91 [Blu-ray]

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あるいはリガミリティアとザンスカール帝国の、文字通り凄惨としか言いようがない戦争を書いた「Vガンダム」だった。

機動戦士Vガンダム DVDメモリアルボックス

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F91とVガンダムは「ジオン」から離れ、「地球連邦」も腐りきったという名目でほぼ弱体化させていた。

しかしその結果、無人で人間をオートで殺す「良心の傷まない殺戮兵器」であるバグや、残酷に人を轢き殺すバイク戦艦のような残虐なものである。

ツイッターで「UCがいくら感動的でも後の宇宙世紀世界は酷い事になる」みたいなネタが出てましたけど福井先生はたぶん分かった上で書いてる。

でなきゃ福井版∀ガンダムで「カイラスギリー」なんていうVガンダム時代の黒歴史の遺物が出てくるわけがない。

 

また小説として「逆シャア以後」を書いた作品として、「閃光のハサウェイ」「ガイアギア」が存在している。

UCのダグザさんら「エコーズ」ことマンハンターは、この2作品が元ネタだろう。

シャアがアクシズを落とそうとした結果、弾圧が激しくなったという事でもあるのだろうか。

ただ2作品の「マンハンター」は背景的にどうしようもない存在として敵側のキャラとして描かれていたが(「人狩り」だから仕方ないのだが)

UCのダクザさんはあくまで「いい大人」として味方よりとして描かれて死ぬまでバナージに手厳しくも道を示そうとしてたポジションだったのは違いと言えるのかも。

 

 

ガイア・ギア〈5〉 (角川文庫―スニーカー文庫)

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ガイアギアは、シャアのクローンのアフランシ・シャアが別の生き方を探るお話。

このシャアの記憶を受け継いだクローンをつくる「シャア・コンテニュー・オペレーション」が、もしかするとフル・フロンタルの元になってるのでは……という事は少なからず意識されていると思われる。

ただ、トミノ監督はガイアギアを文字通り「黒歴史」にしてるようでガンダムシリーズ的にも埋葬されてるのでフロンタルとシャアコンティニューオペレーションの関係は謎という事になっている。

 

ガイアギア自体は「ガイアギア サウンドシアター」で検索すると自己責任で今でも楽しむ方法があるかも……

 

このへんのガンダムシリーズはどん詰まってた。

その結果、トミノ監督は病んじゃってブレンパワードまで再起不能になるのだがそれは別の話。

今石監督を呼んで「Gガンダム」で完全なアナザーワールドを作らせたが、そうでもしなければウチュウセイキは今以上にパンクしてガンダムシリーズは閉じてた可能性も否定出来ない。

 

結局、戦おうとしたハサウェイは親不孝に死に、シーブックとセシリー、ウッソとシャクティ、アフランシとエヴァリーは「隠居して戦争から離れて暮らす」しかないというオチだった。

そうでもなきゃアムロカミーユ、シャアみたいに戦いの中でボロボロになるか燃え尽きるしかなくなるという結論でもありそう。

バナージとオードリーの顛末も「隠居」にやや近いか。だからUCはハッピーエンドっぽい話なのである。

 

 

・非トミノガンダムワールド

 

ともあれ「逆襲のシャア」から「Gガンダム」の時期というのは、ある種の空白期になっている。

子供向けでは今は亡きボンボンコミックの「SDガンダム」の影響が強く、あるいはオタ向けではサイバーコミックスなんてのもあった。

 

で、F91はクロスボーンバンガードをジオンに続く敵として設定しようとしたけど、F91に近い時期の話ではジオン残党の亡霊に縛られていた。

 

機動戦士ガンダムF90 (Dengeki comics―Gundam comic series)

機動戦士ガンダムF90 (Dengeki comics―Gundam comic series)

 

 

 

「F90」と「シルエットフォーミュラ91」

あるいは中盤にジオン残党が湧いて来てザクやドムなどで襲ってくるSFCゲームなどはジオンの亡霊に魂を縛られたものがあるといっても仕方ないだろう。

 

 

クロスボーンガンダム」がこの辺に比べて飛びぬけてるのは、「シーブック」と「セシリー」のその後(キンケドゥさんとベラ・ロナ艦長)とパン屋になって平和に暮らすまでの顛末が書かれてるからだろう。

なんだかんだでクロスボーンバンガードは義賊的な宇宙海賊になったけど、それもトビア(≒長谷川先生)に丸投げするって事でシリーズ的にも決着がついている。

 

ちなみに「ジオン亡霊」といえば、「0080」「0083」「08小隊」のOVA群もそれに近い。特に0083

ジオン残党は古きガノタを揶揄ってたのかもしれないけど、そんな彼らに感情移入しちゃったという皮肉。

要するに縛られていたのは「ニュータイプ」じゃなくて「ジオン」だった。

まぁ0080とか好きですけどね、あれはあれで。

 

 

ガンダムUC」の商売的な売り方は、「0080」「0083」「08小隊」をもう一度……みたいなものもあるんだと思う。

なんだかんだで大成功だろうしね。

ただこれらOVAは戦闘作画などで一定の評価を受けつつも、アムロ・シャアが死んだ後のどうしようもないウチュウセイキからは目を背けた作品である事も否めない。

 

CCA以後のトミノ的なウチュウセイキは色々とどん詰まってたけど、一年戦争の後付けばっかやってたバンダイに対してシャア・アムロの死後に向き合ってたのが長谷川先生や福井先生くらいというのが現状の認識だと思う。

あるいは「黒歴史に埋葬されなかった」というものか。

 

トミノミネバ・ラオ・ザビガンダムZZでフェードアウトさせたけど、ミネバを救済しようとした漫画が2作ある。

一つは長谷川先生の「ガンダムVSイデオン」のクロスオーバー二次創作だった「逆襲のギガンティス」では、ジュドーにミネバを救わせている。

(どうでもいいけど長谷川せんせーは、ジュドー好きよね。木星爺さんにしちゃうし)

 

今だとこれに掲載されてる模様。

もう一つは独自のガンダム世界を築いていた松浦まさふみ先生の「ムーンクライシス」

 

 

こちらではミネバはメイファ・ギルボードという偽名を使っていたが、戦争を止めようとする良心派に育った事や最終的に主人公(タクナ)に保護されてジオンの呪縛から解き放たれている。

ミネバの顛末がヒロイン性の強い理由としては「逆襲のギガンティス」「ムーンクライシス」「UC」共にヒロイン性が強いのは、ザビ家の呪縛やハマーンとシャアから少なくとも大事には思われてた事が大きいのだろう。

 

ただ逆襲のギガンティスはイデオン二次創作でもあるし

ムーンクライシスは多分、クロボンや閃ハサと違って「GジェネレーションF」に出れなかった事が尾を引いているのかもしれない。

 

SDガンダム GGENERATION-F

SDガンダム GGENERATION-F

 

 今やるとテンポが悪くて辛いけど、ガンダム原作再現系としては完成系に近い一作。

あとクロボンはこれも。

 

第2次スーパーロボット大戦α(通常版)

第2次スーパーロボット大戦α(通常版)

 

 

あと新約Zのせいで黒歴史化されてる印象がある「ZZ」だけど、マリーダ=エルピープルのクローン(プロトゥエルブ)である時点でアレも黒歴史化されてるわけではないのでしょう。

 

 

ほんとはこの作品こそスパロボでバナージやオードリーと共演した方が燃えるんだけど、プル役の本多知恵子さんが鬼籍にはいられたので……ご冥福をお祈りします。

 

・そしてターンエーの風が吹く

 

そして、ごちゃごちゃになったガンダムをいっぺん「リセット」したのが∀ガンダムですね。

 

 

この作品、「黒歴史の開示」シーンなどから「G」「W」「X」などの映像も使われているが、今にして思えば本当に埋葬したかったのは「マフティー」「クロスボーンバンガード」「リガミリティア」「ザンスカール」「メタトロン」「マハ」などのシャアとアムロがくたばった後の諸々ではなかろうか。

勿論その中には「ジオン」と「地球連邦」も混ざる。

ジオンの象徴だったザクが、ボルジャーノンなんて名前を付けられてジオン以外の組織に使われるくだりなんかも「リセット後」だから出来るジョークと言えるだろう。

余談だけど、あの作品の最萌キャラはカプル。異論はないね。

 

ROBOT魂[SIDE MS] カプル

ROBOT魂[SIDE MS] カプル

 

 

で、トミノは色々リセットして、それでも戦争は起こるけどたくましく生きて行こうとする人々を書いた。

その一方でノベライズとして2作が出た。

いつの間にかガンダムノベライズの大本になってたスニーカー文庫の佐藤版と

 

ターンAガンダム 1 角川文庫―スニーカー文庫

ターンAガンダム 1 角川文庫―スニーカー文庫

 

 

そしてUCへ繋がる福井版である。

 

ターンAガンダム 月に繭 地には果実(下) (講談社BOX)

ターンAガンダム 月に繭 地には果実(下) (講談社BOX)

 

 

福井版∀ガンダムは、例えばターンエーとターンXが戦争を起こした「前史」だったり、ターンエーの持つイデオン的な超スペックなども掘り下げられている。

ユニコーンガンダムサイコフレームでとんでもない事になるのも、少なからずターンエーを意識してる部分もあるのだろう。

そしてUCも、いずれ月の光の蝶によって「黒歴史」になる事を想定しているのは間違いない。

 

 

・いけいけ、ぼくらのガンダム

あれから10年以上たった今、ガンダムは色んなゲームが出て生き続けている。

 

 

色んなガンダムが、モビルスーツがカタログスペックを無視するお祭り。

ゲッターロボVSマジンガー」の頃からあんまり変わってないが、いつの時代もクロスオーバー的な共演は(リスクは大きいけど)人気はあるものである。
ガンダムUCもそれに取り込まれる事を想定した作風なのだろう。
UCでは「ラプラスの箱」を巡る闘争の頃にはアムロもシャアもハマーンも死んで居る。
だが、ゲームではバナージやフロンタルがアムロやシャア、ハマーンとと共闘したり敵対したりする事も最初から想定済みなのだろう。少なくともOVAアニメ化した時点では。

UCのアニメ自体も「今の作画技術で、あのMSをいっぱい動かそうぜ」みたいなお祭り企画っぽさもある。
モブMSが楽しみという層もゲットしてるのもその事が大きいのだろう。

実はこの辺、モブMSのお祭り感覚は最近2期が決定した「ビルドファイターズ」に近い作風なのかもしれない。
あっちはアナザー中心の傾向があるのも、UCで宇宙世紀MS中心のお祭りだからだろう。

 

 

こういったお祭り傾向がコンテンツ的にどうなっていくかは分からないけど、良く考えたら古のSDガンダム時代も原作の時代背景無視のお祭り騒ぎみたいなもんだったのでこういうもんだろう。
ある意味、UCは改めて現状の宇宙世紀ガンダムを統括するという意味で「2回目のターンエー」であるのかもしれない。
ユニコーンの風も吹く。

でも結局楽しければそれでいいのです。ジェガンかっこいいしね。

 

あ、「この作品が足りない!」とかいう突っ込みあったら教えてください。まだ足りない気もするのがガンダムのおっかないところ。