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吉田調書と東電の隠ぺい

 朝日新聞が、福島第一原発の事故当時の所長、吉田昌郎氏の政府事故調での調書を入手。その調書に基づく連載が今日の朝刊から始まった。記事によれば聴取時間は正味28時間に及ぶ。事故当時の現場責任者であった吉田所長の調書は、事故の事実関係を知るうえでテレビ会議の記録と並ぶ最重要資料だ。

 吉田所長は福島原発事故の原因究明や再発防止のためには、真実を語り記録に残す必要があると考えて、聴取に応じたものと思われる。

 今日の記事でも、吉田氏の調書で述べていることでも、東電の公式見解では都合の悪い事実には触れていないと指摘。具体的には事故発生4日目の3月15日午前6時ごろ2号機から衝撃音があり、吉田所長は「第一原発構内での待機」をテレビ会議で命じたが、誰かの指示で大半の職員は福島第二原発まで避難。東電本店はこの場面を「録音していなかった」として、吉田所長の命令内容を隠し、報告書にも記さなかったという。

 また吉田氏は「清水社長が撤退させてくれと菅さんに言ったという話も聞いている」と証言しているという。

 実際海江田経産大臣から「清水社長が撤退したいと言ってきている」と連絡があったのが3月15日午前3時ごろ。清水社長を呼んで撤退はありませんよと止めたのが4時過ぎ。東電本店に乗り込んだのが5時半ごろ。そこで会長、社長を含む東電幹部を前に撤退せずに頑張ってほしいと強く発言し、同時に政府東電統合対策本部を東電本店に立ち上げることを宣言した。2号機の衝撃音は私が東電本店にいた午前6時ごろ。今考えると一番厳しい時だった。

 福島原発事故については多くのことが未解明である。事実を知るためにはまず、テレビ会議の記録と吉田所長の調書を公開すべきだ。徹底した事故の解明がないまま、「安全性が確認されたから再稼働させる」とは絶対に言えないはずだ。

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