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【社会】

「トイレにも行けない」「奴隷扱い」 福島第一また違法労働

2014年5月15日 07時08分

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 東京電力福島第一原発で、作業員らに労働基準法で許される十時間を超える事故収束作業をさせたとして、安藤ハザマ(東京都港区)の下請け企業が、福島県の富岡労働基準監督署から同法違反で是正勧告を受けていたことがわかった。安藤ハザマも適正に管理するよう指導を受けた。福島第一では昨秋、東芝やその下請け計十八社が同様の違反で是正勧告を受けたばかり。東電が元請け各社に適切な労働管理をするよう要請した後も、十時間を超える作業がなされていた。

 福島第一では、汚染水問題に足を取られ、苦しい対応が続いている。日々、大量に発生する処理水のタンク増設に迫られており、今回の違法労働の引き金となったとみられる。

 今後も、タンク増設などの作業日程はますます過密になる。

 関係者の話を総合すると、少なくとも今年一〜二月、溶接型タンクの増設作業で、作業員らに十時間超の違法労働をさせていたとされる。長いケースでは福島第一に十三時間半も滞在していた。休憩は、昼食時間の実質三十分ほどだけだったという。

 原発内の労働は被ばくを伴うため、一日の労働時間は労働基準法で、通常の八時間のほか二時間の残業の計十時間以内に制限されている。十時間には休憩時間は含まれないが、朝礼や打ち合わせ、待機時間など労働に必要な拘束時間は含まれる。

 作業員らによると、残業はタンクの納期が近づく月下旬に集中。「明日までに仕上げなくてはならない」「時間がない。(休み予定の日も)出てくれ」などと工程通りに仕上げるように言われた。中には、残業を減らすよう頼むと「要求に従わないならクビだ」と解雇された人もいるという。

 作業中に「トイレに行きたい」と言える雰囲気ではなく、現場で失禁してしまう人もいたという。ある作業員は、「休憩時間は昼に一時間あるが、休憩所までの移動や防護服の着替えを考えると、休みは実質三十分。残業を含めると作業は五、六時間休みなし。途中で疲れて休むと怒られた」と話した。十時間が近づくと線量計アラームが鳴るが、作業は続行したという。「人間扱いされていなかった。奴隷だと思った」

 安藤ハザマは「指導を厳粛に受け止め、このようなことがないよう再発防止策をしていきたい」とコメント。東電は「(元請けに)労務管理の徹底をお願いしているが、当社も元請けとともに労働者保護や就労環境の向上に引き続き努めたい」と話した。

(東京新聞)

 

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