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 半年ぶりの日本公演(朝日新聞社など主催)のために来日し、その後体調を崩していた元ビートルズのポール・マッカートニーさん(71)が、東京・国立競技場での公演に続き、21日の東京・日本武道館、24日の大阪・ヤンマースタジアム長居の両公演についても取りやめ、全公演中止が決まった。招聘(しょうへい)元のキョードー東京が20日、発表した。

 チケットの払い戻しは22日から6月9日まで購入先で受け付ける。キョードー東京は「早期再来日公演の実現に向け、アーティスト側と協議していく」としている。

 ポールさんは来日後の16日に体調を崩し、ウイルス性炎症と診断された。関係者によると、滞在先のホテルで静養中で回復には向かっているが、長時間のステージでの演奏は困難との判断に至ったという。

 ポールさんは「国立競技場に続いて、今後の公演も中止することは、僕にとっても非常に残念です。みなさんにまた近いうちに会えることを信じています」などとコメントを出した。

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ポール・マッカートニーさんは日本ツアーの公式フェイスブックなどでコメントを発表した。内容は次の通り。

 昨年11月、ここ日本で素晴らしい時を過ごして以来、また演奏できることをとても楽しみにしていました。国立競技場に続いて、今後の公演も中止することは、僕にとっても非常に残念です。日本のファンの皆さんからの愛、励ましのメッセージと理解に感謝しています。

 みなさんにまた近いうちに会えることを信じています。

 愛を込めて

ポール

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■「元気になって戻ってきて」

 ポールさんの体調回復を祈り、24日の大阪公演を待っていた関西のファンは「元気になって戻ってきて」とエールを送った。

 昨年の大阪公演でポールさん(71)の自画像を描き直接手渡したというスロベニア出身の画家、レオン・テラシマさん(39)=大阪市中央区=は「今年はステージで歌うポールの絵を渡したかった」と嘆いた。「ポールはほとんど休んでない。昨年は水も飲まずにライブをこなしていたが、疲れがたまっていたのだろう。ゆっくり休んでほしい。次回、待ってます」

 ビートルズのコピーバンドが出演し、全国からファンが集う大阪市北区のライブハウス「キャバンクラブ大阪」の安次富(あじとみ)健太店長(29)は、昨年11月の大阪公演の際は店を休んで会場に駆けつけた。「すばらしい内容だった。ポールにはなによりも体調を優先して、元気に長生きしてほしい」

■誰よりも悔しいのは本人では

 《ポールさんと親しい音楽評論家・湯川れい子さん(78)の話》 誰よりも悔しいのはポール本人ではないでしょうか。今回の日本公演、特に日本武道館のコンサートに向けては、相当入念にリハーサルを重ねてきたと聞いています。だからこそ絶対に出演しようと、最後の最後まで頑張ったのではないでしょうか。でも公演中止になっても、日本のファンは大騒ぎせず、ポールの体調を心配してくれる。ファンに愛されているんだということを改めて知ったのではないでしょうか。元気で私たちの前で再び歌ってくれることを心から祈っています。