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2010.08.1(日)  
vol.81 アンニョンハセヨ!!

 暑い毎日が続いています。札幌の7月はPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)、サッポロ・シティー・ジャズ、音楽好きにとってはたまらない季節です。そして大通公園でのビア・ガーデン(夏祭り)も、多くの市民・観光客で毎日にぎわいを見せています。短くても爽やかな夏を濃密に過ごす、これが札幌の魅力です。でも、今年は少し蒸し暑い日が多い気がします。地球温暖化・気候変動の影響か。心配です。
 7月25日から27日まで、韓国の大田(テジョン)広域市に行ってきました。同市と「姉妹都市提携」関係を結ぶ準備のためです。
 大田広域市は、韓国のほぼ中央に位置する人口約150万人、韓国第5の大都市です。ここにソウルの首都機能を移転する政策が採られており、特に高度な科学技術の研究機関が集積している学術都市でもあります。韓国科学技術院(KAIST) と呼ばれる大規模研究施設があり、そこから多くの研究者・技術者が輩出されて韓国の目覚ましい科学技術革新と近代産業を支えています。視察時には、Online電気バスの実験が繰り返されていました。
 
 韓国は近くて遠い関係といわれ、交流がいまひとつ進んでいませんでした。それは100年前の日韓併合から日本の敗戦、そして戦後処理の不十分性について、さまざまな場面で日本の歴史認識が問われ、国家間でのくすぶりを解消できていないからです。そんな中で、問題を残したまま経済のグローバル化が先行しました。そして映画「Love Letter」や「冬ソナ」などで戦後世代による精神文化の共有化が図られました。しかし、それでも、まだまだという感じが否めません。
 ご承知のように6年前、札幌市と大田広域市は経済交流促進のための覚書を締結し、この間、IT等の技術交流や文化交流が継続されてきました。今年日韓併合100年を迎えるにあたり、私は新たな日韓関係を形成して行くためにも、札幌市と大田広域市との間で、より緊密な関係を形成して行くことがよいと判断しました。ヨム・ホンチョル市長との会談の際、私は次のような話をしました。
 「日本と韓国の間にはちょうど100年前に不幸な事態があった。この問題についての歴史認識については異なる見解があるが、私は抑圧された側の歴史認識を共有したいとの立場である。国家間の問題を乗り越える力は市民にこそ存在する。札幌市と大田広域市が姉妹都市提携をすることは、新たな日本と韓国の100年を築く上でも意義深いものと信ずる。」
 これに対してヨム市長は賛意を表明し、10月中に札幌で調印をすることを約する旨の話をされました。
 札幌にとって20年ぶり、そして5番目の新しい姉妹都市が誕生します。いまや、年間約10万人もの韓国からの観光客が札幌を訪れる時代になりました。姉妹都市誕生を契機に、更なる市民交流に拍車がかかることを期待したいと思います。

 ところで、札幌市にはほかに4つの姉妹都市があります。米国ポートランド市、ドイツのミュンヘン市、中国の瀋陽市、ロシアのノボシビルスク市の4つです。
一月ほど前の6月下旬にはノボシビルスク市との姉妹都市提携20周年ということでノボ市に行ってまいりました。また瀋陽市とも今年提携30周年に当たり、相互訪問が予定されています。
 なぜ姉妹都市が札幌にとって必要なのか考えてみました。もちろん姉妹都市は親善友好を目的としているわけですから、それ自体が平和的で価値のあるものです。異文化との交流は寛容な社会を生み育てる大きな力を持つものと私は考えます。異民族の異文化と交流することは、異なる立場、異なる考えに寛容になる文化を育む。そしてその精神作用は、決して外国人に対しての関係だけではない。同じ日本人同士でも同じ道産子同士でも、人はそれぞれ異なる価値観を持っていることに気づき、互いに排除ではなく寛容な精神を育む力となる。異なるものを理解し認め合うことで新しい価値を発見する、新しい文化を形成する動機が生まれると私は思います。多文化共生の知恵は、平和な社会と新たな創造性あふれる社会を約束すると思います。韓国・大田(テジョン)広域市との姉妹都市関係が札幌市のため札幌市民のために有益なものとなりますよう、期待しております。カムサハムニダ!!

2010年8月1日 札幌市長 上田 文雄






 
   
 
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