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 建築家・丹下健三(たんげけんぞう=1913~2005)が手がけた建物が、各地の自治体で悩みの種になっている。耐震改修工事が必要なものの、芸術性の高い独特の構造のため、費用がかさむ。資材高騰もあり、入札不調が続くケースも出ている。

 大型船をイメージした香川県立体育館(高松市福岡町2丁目)は1964年完成。ワイヤとコンクリート板による反り返った屋根の構造が影響し、耐震改修工事には特別な足場を組む必要があるなど工夫がいる。

 今春から工事開始の予定だったが、受注業者が決まらない。一般競争入札は昨年11月~今年2月の3回とも不調。予定価格を約5億7800万円から約8億1400万円に引き上げたが応札ゼロの状態だ。

 香川県建設業協会の森田紘一会長は、震災復興や公共工事増加などで技術者や重機が足りないことや資材価格の高騰が背景にあると指摘する。さらに「予定価格が低すぎる。特殊な設計なのだから、工事コストも割高になる」と説明する。

 県は今年度当初予算に関連工事費も含め10億3500万円を計上した。県教育委員会の担当者は「実勢価格を考えると、さらに上乗せが必要になるのでは」と気をもむ。