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【福井】

廃炉か運転延長か、判断の時期迫る 「高齢」5基

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 原発の運転期間を原則四十年と定めた改正原子炉等規制法に従って廃炉にするか、定期点検より厳しい特別点検を行って運転延長するか−。「高齢化」した原発を抱える電力事業者が判断する時期が近づきつつある。県内では、計四基が対象の関西電力が「秋までに判断する」という方針を示し、一基が対象の日本原子力発電は判断する時期を「未定」としている。

 昨年七月に施行された改正原子炉等規制法は、原発の寿命を運転開始から原則四十年と定めた。ただし、特別点検を行って原子力規制委員会の審査に合格すれば、最大二十年の運転延長ができる。移行措置として、施行時点で運転開始から三十七年を超す原発の運転延長を選ぶ場合、特別点検の結果を添えて、二〇一五年四〜七月に延長申請しなければならない。

 特別点検には半年から一年ほどかかるとみられ、逆算すると判断する時期が迫りつつある。関西電力の場合は美浜1、2号機(美浜町)、高浜1、2号機(高浜町)の計四基が対象となり、八木誠社長は四月末の会見で「今年の秋までに検討したい」と述べている。

 一方、日本原子力発電は敦賀1号機(敦賀市)が対象。運転中の商業炉では最も古く、運転開始から四十四年余りたつが、判断時期は「未定」とする。旧原子力安全・保安院から四十年を超す運転の認可を受けた際に、運転期間を一六年末までと表明しており、運転延長できる期間は非常に短い。

◆新基準、特別点検 ハードル高く

 「運転延長か廃炉かの判断は、複雑な方程式を解くようなもの」と原発関係者は指摘する。

 四十年超の原発は、新規制基準の適合審査と特別点検の両方をパスしなければならない。比較的新しい原発でさえ、当初の予想を超えて適合審査が長期化し、電力各社は安全対策工事に多額を投じている。

 古い原発のネックは難燃ケーブルを使っていない点だ。新規制基準は「難燃ケーブル相当の性能」を求めており、取り換えには多大な費用がかかる。延焼防止剤を塗る方法もあるが、原子力規制委員会が認めるか不透明だ。大型の原発一基を新設するのに四千億円程度が必要とされるが、工事費用がこれを上回るなら廃炉を選ぶ可能性が高い。

 特別点検のハードルも高い。長年の使用で、炭素鋼などでできた原子炉容器がひび割れていないか、コンクリート製の原子炉建屋が劣化していないか、念入りな調査を求められる。延長期間は最大二十年だが、状態次第で希望通りの年数が認められない可能性も十分ある。

 このほか、二年後に控える家庭向け電力小売りの全面自由化や今後の電力の需給状況、火力発電用の燃料価格の変化など、考慮すべき要因は多い。

 (西尾述志)

 

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