2014-05-19
伽藍とバザールの「伽藍」ってなんだろう。
Linuxの開発モデルを初めて紹介した歴史的エッセイとして有名なThe Cathedral and the Bazaarは、山形浩生氏が「伽藍とバザール」として翻訳している。The Cathedral and the Bazaar: Japanese
オープンソースの開発モデルを従来型のカテドラル(大聖堂)モデルと対比して解説した。
Linuxの開発モデルでは、正式な文書もなければ、開発ロードマップも、技術的な設計書もない。皆無である。そして、そのような開発方法がうまく行く筈がないという風に広く信じられていた。特に、オペレーティングシステムのような精緻で組み立てる必要があると考えられているものが、そのようないい加減な方法で出来る訳がないと考えられていた。中央集中的に作る以外ありえないと当時は考えられていた。
Linuxの開発モデルは、素人の大学生が作った、ちょっとした遊びのプログラムを、インターネットに公開すると、誰にも命令されない変な人たちがよってたかって勝手に改良をしていき、その改良をLinusが適宜取り込んでいくと言う、計画も何にもない、場当たり的なものであった。
Eric Raymondは、その驚きをCathedral and Bazaarというエッセイにまとめた。
Linuxの開発モデルはまさにバザールのように、人々が集まってくることによって価値が生じる。多くの人が集まれば、バグの修正は問題ではなくなる。素早くリリース、しょっちゅうリリースことにより迅速に発展していく。なんでもかんでもオープンにする。
このような開発方式は従来型の開発とはまったく相容れないものであった。そしてそれが衝撃だったのである。
そして、その方法をNetscape社は、受け入れる実験をした。それが1998年のNetscapeのソースコードの公開と言う事件である。企業がオープンソースを発見した年として記憶されている事件である。
さて、そのような影響をもったEric Raymondのエッセイなのであるが、山形浩生氏の翻訳によって日本でも広く読まれた。
Cathedral とは
英語の辞書を引いてみると、大聖堂という訳語は出てくるが、「伽藍」という訳語は出てこない。伽藍とは大きな寺院、寺の建物のことだ。
まあ、大聖堂と伽藍は、宗教的建物という意味では似ていなくもないが、Eric Raymondが上記の論文を書いたときに仏教建築の「伽藍」の建設方法を意識して書いたとは考えにくい。多くの英語版の読者が大聖堂という意味ではなく、伽藍として理解するとも考えにくい。
日本では「伽藍とバザール」というタイトルが広く知られているので、カテドラル(大聖堂)モデルのことを伽藍モデルと呼ぶ人が多い。せめて大聖堂モデルと訳されていたら、もう少し中央集中的な開発モデルというイメージが出たのではないだろうか。
個人的には、「大聖堂とバザール」という翻訳が正しいと思っている。いまさら言ってもしょうがないけど。とほほ。
大聖堂(だいせいどう)とはキリスト教の宗教建築の種別のひとつ。語義には教派によって差がある。日本のカトリック教会では「カテドラル」との片仮名表記も頻繁に用いられるが、日本の他教派ではこれはあまり用いられない。
伽藍(がらん)は、僧侶が集まり修行する清浄な場所の意味であり、後には寺院または寺院の主要建物群を意味するようになった。サンスクリット語のsaMghaaraama (सँघाराम) の音写で、「僧伽藍摩(そうぎゃらんま)」「僧伽藍」が略されて「伽藍」と言われた。漢訳の場合は「衆園(しゅおん)」「僧園(そうおん)」などと訳された例があるが、通常「伽藍」とのみ呼ばれる。
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