(2014年5月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
1979年に初めて欧州議会の直接選挙が実施されてから2009年の第7回選挙に至るまで、ほとんどの有権者は、欧州連合(EU)ではなく国内の問題を念頭に置いて投票してきた。欧州の集団的世論が存在する証拠は乏しい。型破りな政党はしばしば、国内選挙では主流派政党へ戻っていく市民が投じる抗議票から恩恵を受けてきた。
5月22~25日にEU加盟28カ国で実施される第8回欧州議会選挙では、極右、極左、反エスタブリッシュメント、反EUの各運動が過去最高の成果を出すと見られている。これらの政党は到底、次期欧州議会で多数派を占めるには至らず、各党の意見の相違が大きいため、議会運営に与えるインパクトは限定的だ。
とはいえ、彼らがフランス、英国、その他の国で第1党か第2党になれば、その過激な主張はこれらの国の国内政治論議に今以上に不健全な影響を及ぼすことになる。
このような状況下では、欧州の主流派の政治家は市民の支持を得るためにポピュリストの衣を借りようとする衝動に抗わねばならない。同時に、ポピュリズムの台頭が偶然ではないことも認識しなければならない。それは少なからず、今回の選挙で問われるEUのテーマの重要性を反映している。
2008年以降のソブリン債務危機、銀行破綻、景気後退は、債権国、債務国双方の有権者に、1つの国で起きること――そしてEUの政策立案者がブリュッセルかフランクフルトで決めること――が他のEU加盟国すべてに影響を及ぼすことをまざまざと見せつけた。これはユーロ圏内の18カ国と同様、ユーロ圏外の英国、その他9カ国にも当てはまる。
ポピュリスト政党に票を投じるつもりの人々がそうする理由は、1つには、EU、そしてEUを支持する旧来政党がほぼやることなすこと失敗したと考えているからだ。
30年間低下の一途をたどる投票率が意味するもの
だが、1979年の62%から2009年の43%まで着実に低下し続けた平均投票率が低いままであれば、ポピュリスト政党への投票の重みは特に大きくなる。欧州議会を支持する向きは、投票率は米国議会の中間選挙とほぼ同じであり、米国議会の民主的な資質を疑問視する人は誰もいないと指摘する。
それでも、30年間投票率が途切れなく下落する傾向は、欧州議会に対する市民の敬意を高めることは決してない。