2014.5.20 01:54

米が中国軍当局者をサイバー攻撃で摘発 中国外務省は「捏造」と抗議

 米連邦大陪審は米企業に対するサイバー攻撃で商取引上の秘密を盗むスパイ行為をしたとして、身柄を拘束しないまま中国軍当局者5人を起訴した。ホルダー司法長官が19日発表した。5人は原子力発電や太陽光発電、金属産業に関連する情報を盗んだ疑いが持たれている。

 米企業に対するサイバー攻撃で、米政府が外国当局者を起訴するのは初めて。異例の対応で中国発のサイバー攻撃への強い姿勢を示した。

 中国外務省の秦剛報道局長は「米国が捏造した」と抗議し、起訴の撤回を要求。サイバーセキュリティー問題に関して設置された米中の作業部会の活動を中止すると表明した。サイバー問題をめぐる米中の応酬が激しくなりそうだ。

 ホルダー長官は声明で、外国政府による米企業への攻撃を「容認しない」と述べ、今回の起訴がサイバー攻撃の阻止に向けた「画期的なステップ」になると強調した。

 起訴された中国軍当局者は、いずれも上海に拠点を置く中国軍の「61398部隊」のメンバー。米当局は以前から同部隊がサイバー攻撃に従事しているとみて活動を注視してきた。

 サイバー攻撃の被害を受けたのは5企業と1団体。東芝傘下の原子力関連企業ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)やアルミ大手のアルコア、鉄鋼大手のUSスチールといった米国を代表する有力企業と労働組合が含まれている。

 起訴された中国軍当局者の一人は、中国政府系企業との交渉を担当していたWH幹部の電子メールなどをハッキングし、機密情報を盗み出した疑いがある。(共同)