(2014年5月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
堀江貴文氏が過去について語りたくないと思っていることは明らかだった。証券取引法違反で有罪となり、長野県の刑務所で21カ月間を過ごしたことに話が及ぶと、かつてライブドア株式会社の社長だった同氏はスマートフォンに手を伸ばし、画面をスワイプしたりスクロールしたりし始めた。
あなたはあの会社を一から立ち上げ、時価総額80億ドルの企業に育て上げた、その会社が倒れたことで、ほかの起業家たちはがっかりしたのではないだろうかと尋ねた時も、日本で最も注目されたホワイトカラー犯罪の犯人は、リッツ・カールトン・ホテルのラウンジでコーヒーテーブルの下に手を伸ばし、紙ナプキンで靴を磨いていた。
「昔を振り返るのが好きな性質ではないんです」。堀江氏はようやく口を開いた。「何か革新的なことをやろう、世界を変えてみようという時には、それなりの困難がつきものですよ」
41歳の堀江氏には、見返してやるという気持ちがみなぎっている。このインタビューを東京の六本木で行っていること自体、その1つの表れだ。証券仲介業からレンタカー事業、DVDレンタル事業までクモの巣のように事業を広げていたライブドアの本社は、ここからさほど遠くない六本木ヒルズ森タワーにあったのだ。
六本木で起業グルとして再出発
そして今、堀江氏はこの六本木で、起業グルとして再出発を図ろうとしている。SNSという自分の会社を介していろいろな事業を推進する傍ら、ほかの人々が持っている大きなアイデアをYouTubeのチャンネルやツイッターのアカウント(フォロワーの数は100万人近い)、自身のウェブサイト「horiemon.com」を通じて紹介しているのだ。
堀江氏はこう語った。自分の出版帝国を作ったことで、「僕はもう、朝日とか読売とかテレビ局とか、自分がコントロールできないところに頼る必要がないんです」
堀江氏は現在、シンガポールの複数の投資家が持つ約100億円の資金にアクセスできる状況にあり、今後数カ月間でさらに資金を調達したいと述べている。そうした投資家の中には、堀江氏のかつての仲間で、インサイダー取引で有罪となった村上世彰氏も含まれているという。
支援しているベンチャー事業の中には、元Jリーガーが営むチョコレート豆腐事業や、著名人同士のやり取りを見ることができる一種の立ち聞きアプリを開発中の株式会社7gogo(ナナゴーゴー)などがある。堀江氏はこのアプリで、あのレディー・ガガと日本のJポッププリンセス、きゃりーぱみゅぱみゅとの対話をセットしようとしているそうだ。