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2014.5.19 MON
INTERVIEW BY KEI WAKABAYASHI
テイラー・マクファーリン|Taylor McFerrin
伝説的ジャズシンガー、ボビー・マクファーリンを父に、アメリカン・ニグロ・スピリチュアル解釈のパイオニア、ロバート・マクファーリンを祖父に持ち、ブルックリンを拠点に、プロデューサー、作曲家、ピアニスト、DJ、ライブ・ミュージシャンとして活動。デビュー前にも関わらず、アポロ・シアター、ブルー・ノート、ラジオシティ・ミュージック・ホールやリンカーン・ジャズ・センターと言った由緒ある会場でライヴを行い、エリカ・バドウ、ザ・ルーツ、ナズ、タリブ・クウェリなどの前座を務め、ロバート・グラスパーやホセ・ジェイムズらと共演。フライング・ロータスから直接アプローチを受け、〈Brainfeeder〉からのリリースとなったデビュー・アルバム『Early Riser』には、グラミー賞ノミネート・アーティストの他、ロバート・グラスパー、サンダーキャット、マーカス・ギルモアといったジャズの新時代を担う面々が集う。
Flying Lotusが主宰するレーベル「Brainfeeder」が放つ新星、R&Bとジャズとヒップホップとエレクトロニカを縦横に横断する才人テイラー・マクファーリン。そのファミリーネームから40歳以上の音楽ファンであれば、ぴんとくるかもしれない。そう、ジャズ界の大物ボビー・マクファーリン(「ドント・ウォリー・ビー・ハッピー」、知ってる?)のご長男だが、ソロとして初のアルバムとなる「Early Riser」を聴けば、「オヤの七光り」なんて批判も出るべくもない「ホンモノ」であることがたちどころにわかる。
サンダーキャット、ロバート・グラスパー、マーカス・ギルモア等々、「ジャズのニューチャプター」を代表するイノヴェイターたちがこぞって参加する最新作を、ぼくらはいったいなんて呼べばいいだろう? 言葉を置き去りにして、加速度的に進化を遂げる、新しいジャズの旗手に話を聞いた。
──こんにちは。お忙しいところすみません。これ、いまブルックリンですか?
そう。
──ずっとブルックリンにいるんですか?
そうだね。2000年からだから10年以上。
──生まれがそこではないんですね。
生まれたのはサンフランシスコで、13歳までそこで育って、そこからミネアポリスに家族と移って、大学はボストンだった。で、いまはニューヨーク。
──ブルックリンの音楽シーンはとにかくアツいですよね。色んなシーンがあると聞いてますが、テイラーさんは、どういったシーンと関わりが深いんですか?
わかんないな。色んな人とともだちだけど、シーンとの関わりというとよくわからないなあ。今回のアルバムに参加してる人たち、ってことになっちゃうんだけど。どこのシーンと繋がってるというよりは、仲のいいともだちと繋がってるって感じだね。
──2006年に最初のEPを出してから、すでに8年近く経ってるわけですが、初めてのアルバムを出すのに、なんでこんなに時間がかかったんでしょう?
なんでだろうね(笑)。最初のEPを出した後は色んなバンドに参加したりTK Wonderっていうヴォーカリストと一緒に活動したりしてたんだ。同時にソロのパフォーマンスもたくさん声がかかるようになってたしね。ライブのほうに力を入れていた時期があって、その間、ずっと何かをレコーディングしようという思いはあったけれど、どういう方向性でやるのがいいのか決め切れずにいたという感じかな。最初のアルバムだからということで、アイデアがありすぎたということもあるかな。歌も全部歌いかたったんだけど、自分が望むレベルに達してなかったと思う。ソロアーティストとしてやるには、もっと真剣に取り組まないとダメだってずっと思ってたね。ソロで世に出る準備があらゆる意味で出来てなかったってことなんだろうね。この2年は、プロダクションのレベルを上げるべく友人たちの仕事を手伝ったりしてきたんだ。
──歌を歌うっていうのは、いわゆる歌モノをやりたい、って意味ですか?
ぼくが子どもの頃から聴いて育ったのはスティーヴィー・ワンダーだったり、シュギー・オーティスだったりプリンスだったりしたんだだけど、彼らは自分で楽器も歌もプロダクションも全部やるみたいな人だったわけで、ぼくもソロとしてやるからには、同じことをやりたかったってことだね。この間、人のプロダクションを手伝うところをかなり真剣にやってきたので、その延長線上にアルバムが出来るといいかなと思ってたんだ。
──楽器は全部弾くんですね。
メインの楽器はキーボードだけど、ギター、ベース、ドラムも演奏するよ。キーボードを弾くのと同じレベルではないけどね。ぼくの音楽の中心にあるのはシンセサイザーなので、キーボードがぼくのメインだね。もっとも、コンピューターをつかってプロダクションを練り上げていくという意味では、メインの仕事はプロデューサーということになるかもしれないね。素材を集めてひとつにしていくという作業だからね。
──最終的には、初めてのアルバムとして「Early Riser」ができあがったわけですが、方向性をどういうふうに決めていったんですか?
初めてのことだからどうやってアルバムというものを完成させるのか、そのやり方もよくわからなかったから、この3年の間、ずっとアルバムの原型になるものをつくってはやり直してという作業をしてきたような気がするんだ。そのなかでつくった数ある曲のなかに、次第に自分がしっくりくるような曲がいくつかみつかるようになってきたような気がして、それらを集めてみるとそこからストーリーをつくり出せるように思えてきたんだ。だからゆっくり時間をかけてかたちになっていったという感じかな。
そこから今度は仲のいいミュージシャンを呼んで手伝ってもらうようにしたことで、だんだん最終形態に近づいていったんだ。最後の1年は、すべてが加速していった感じだったから、それ以前の3、4年と較べると、はるかにたくさんの仕事をしたように、今となっては思うね。ある時点で、完成形が見え出したことで、何にフォーカスをすべきかが明確になっていったよ。
大ボスのFlyLoをはじめ、Captain Murphy、Thundercatなどレーベルの顔役が集結。史上最大スケールで開催されるレーベルパーティ【BRAINFEEDER 4】がいよいよ今週金曜日に迫ってきた。テイラー・マクファーリンは、アルバムリリース後、初のショーということで、ジャズ界のファーストコールドラマー、天才マーカス・ギルモアを帯同。一夜限りの特別なステージを披露する。そのほか、FlyLoお墨付きの日本人DJたちによる、DJセットも聞き逃せない!(イヴェント詳細はこちらから)
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