潜水艦のステルスペリスコープで水中からの水上監視が可能に
これは見つかりませんね…。
潜水艦の潜望鏡ってなるべく見つからないようにしなきゃいけないものですが、海面にひょっこり出ていたら、今のレーダー技術では発見も簡単になっています。が、イスラエル工科大学が開発しているステルス潜望鏡なら、水中に潜ったままで水上の様子が見えるようになりそうです。
「Stella Maris」(Stellar Marine Refractive Imaging Sensorの略、北極星の別名でもある)と名付けられたプロトタイプは、いわばヴァーチャル潜望鏡です。今月カリフォルニアで開催されたIEEEのコンピュテーショナル・フォトグラフィー国際会議で、イスラエル工科大学准教授のヤオヴ・Y・シェシュナー氏率いるチームが発表したものです。
従来型の潜望鏡は長い管を波間からニョキッと伸ばすのに対し、Stella Marisは水中に潜ったままで使います。内部にはピンホールをグリッド状に並べたものとガラスのディフューザー、そして鏡がセットで搭載され、デジタルカメラが捉える像を生成します。
水中から水上をただ見上げただけでは、その像は歪んでいます。そこで研究チームは、天体望遠鏡でよく使われているシャック・ハルトマン・センサーを参考にしました。シャック・ハルトマン・センサーでは、大気による宇宙の像の歪みを「ガイド・スター」の位置を使って修整しています。それに対しStella Marisでは、水による像の歪みを、太陽を「ガイド・スター」として使うことで修整しているのです。
つまり、太陽光がピンホールのグリッドを通り、ディフューザーに当たるとき、それは波の動きによってランダムに歪んでいます。その歪みをなくすための補正を水上の像全体に対してかけると、像の歪みも補正されるというわけです。下の画像左が修正前、右が修正後です。
「Stella Marisはヴァーチャル潜望鏡への革新的アプローチです。屈折された太陽の像を捉えることで、水の動きを計測できたのです。」とシェシュナー准教授はプレゼンテーションで語りました。
この装置がいつ世に出されるのかは発表されませんでしたが、このプロトタイプは現在フィールド試験中とのことです。軍事用だけでなく、自然環境調査にも応用できるのではとシェシュナー准教授は話しています。
source: Defense Update、ATS、Times of Israel
Andrew Tarantola-Gizmodo US[原文]
(miho)
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