セウォル号事故に関して、パク大統領が国民に向けた談話を日本語訳しました。
注意してはいますが、間違いがあった際には申し訳ありません。
+-+-+-+
【パク大統領 対国民談話】全文日本語訳
尊敬する国民の皆様
セウォル号沈没事故が発生してから今日で34日になります。
全国民が大切な家族を失った遺族の痛みと悲痛を共にしています。
国民の生命と安全に責任を持つべき大統領として、国民の皆様が受けられた苦痛に心からお詫びいたします。
国民の皆様、
この1ヶ月の間、国民の皆様が共に苦しみ、共に憤怒された理由をよく理解しています。
助けることも出来た学生たちを助けられず、
未熟な初動対応で多くの混乱があり、
不法過積載などすでに安全に多くの問題が予見できたにもかかわらず、
正せなかったことが悔やまれ、憤慨なさっているのだと思います。
助け出せなかった多くの学生たちや、
最後の家族旅行になってしまい一人残された子ども。
それに続く犠牲者たちの無念を涙で思い、
私も煩悶で眠れない日々でした。
彼らを守れず、
家族の旅路を守れず、
大統領として悲しみを感じます。
今回の事故に最大限の対処が出来なかった最終的な責任は、大統領である私にあります。
その高貴な犠牲が無駄にならぬよう、
必ずや大韓民国がふたたび生まれ変わる契機にいたします。
この度のセウォル号事故にて、海上警察は本来の任務を全うできませんでした。
事故直後、即刻的で積極的に人命救助活動を展開していれば、
犠牲を大きく減らすことが出来たはずです。
海上警察の救助業務は事実上失敗したのです。
その原因は海上警察が出帆して以来、救助・救難業務を事実上なおざりにし、
捜査や表面的な成長に集中してきた構造上の問題がそのままになっていたためです。
海上警察の体格は大きくなり続けてきましたが、
海上安全についての人力と予算をまともに確保することをせず、
人命救助の訓練もあまりに不足していました。
私はこのような構造的な問題をただそのままにしては、今後もまた新たな大事故を阻止することはできないと判断いたしました。
そこで苦心の末に海上警察を解体する結論を下しました。
今後、捜査・情報機能は警察庁に移行し、
海洋救助・救難と海洋警備分野は新設する国家安全庁に移行、
海洋安全の専門性と責任を大幅に強化いたします。
国民の安全に対し最終的に責任を持つ安全行政府も、自らの役割を全う出来ませんでした。
安全行政府の核心機能である安全と人事・組織機能を安全行政府から分離し、
安全業務を国家安全庁に移して統合し、
人事・組織機能も新設する総理所属の行政革新庁へ移管いたします。
そして安全府は行政自治業務にのみ専念するようにいたします。
海上警察を指揮・監督する海・水上府も責任を逃れることは出来ません。
海・水上府の海洋交通管制センターは国家安全庁に移行して統合し、
海・水上府は海上産業の育成と水産業保護および振興に専念するようにし、
各者が任された分野の専門性を最大限に活かす責任行政を行うようにいたします。
このような内容をこめた政府組織法改正案を近いうちに国会に提出するつもりです。
国民の皆様、
これまで政府は私たちの社会の非正常的な慣行と制度を変え、正常化するための改革作業を進めてまいりました。
この改革作業を急いで進め、
このような間違った慣行を予め断ち切れずに、国民の皆様に大きな傷みを与えたことが、胸に実に大きな悔恨を残しています。
この度の事故は長く積もってきた私たちの社会全般に広がっている、”仲間内文化"と民間癒着という非正常な慣行が、どれほど大きな災難を呼ぶのかを示してくれました。
平素、船舶審査と安全運航指針等、安全関連の規定が原則通り守られ、監督できていれば、この度の惨事は発生しなかったはずです。
海運士たちの利益団体である海運組合に船舶の安全管理への権限が与えられ、
その海運組合では退職官僚が慣行的にその席を占めてきました。
船舶の安全を管理監督すべき政府と、監督対象である海運士たちの間にこのような癒着関係がある限り、船舶安全管理がまともに行われることはないというのは致命的なことです。
20年経った老朽船舶を購入して無理に船舶構造を変更し、
積載総量を虚偽記載したまま基準値を遥かに超えた貨物を載せていたのに、
監督責任のある誰もが過った部分を正すことはしませんでした。
このような民間癒着は単に海運分野だけでなく、
私たち社会全般に数十年の間蓄積され、続いてきた痼疾的な病弊です。
今、政府が推進している非正常の正常化改革を必ずややり遂げ、
国民の生命を担保にお互いを見過ごし、目をつぶる民間癒着の輪を必ずや断ち切ります。
そして、今問題になっている官フィア(※官僚+マフィア)の問題を解決いたします。
まずは、安全監督業務、利権が介入する素地の多い許認可規制業務、
そして調達業務と直結している公職関連団体の機関長と監査職には、公務員を任命しないことにします。
別の機関についての就業もさらに厳しく制限することにいたします。
現在、退職公職者の就業制限規定はあるものの、
最近3年間の審査対象者のうち、制限を受けたものは7%だけであり、
規定の適用が足りないのが実状です。
この度の事故に関連がある海運組合や韓国船級は就業制限の審査対象に含まれてもいませんでした。
今後、このように就業制限の対象ではなかった組合や協会をはじめ、
退職公職者の就業制限対象機関数を今より3倍以上に大幅に拡大します。
また、就業制限期間を今の退職後2年から3年に伸ばし、
官フィアの慣行を防ぐために、公務員再任の際にこれまでの業務との関連性を判断する基準も、高位公務員の場合は所属部署ではなく所属機関の業務に拡大し、規定の実効性を大幅に高めるつもりです。
高位公務員については退職後10年間就業期間および職給などを公開し、
就業利益の監視制度をさらに導入します。
このような内容をこめた公職者倫理法の改正案を政府立法としてただちに国会に提出いたします。
そして、官僚たちの癒着の輪を断ち切ることは重要ですが、
今、別名「金英蘭法」とも呼ばれる「不正請託禁止法案」が国会に提出されています。
国会の速やかな通過を願います。
今私たち公職社会は閉鎖的な組織文化と無事安逸(※事なかれ主義)という問題を抱えています。
創意性に基づく21世紀の経済で生き残るには、私たち公職社会を根本的に変えるための改革が必要です。
私は官フィアの弊害を断ち切り、公職社会を根本的に改革するため、公務員の任用から退職に至るまで、開放性と専門性を備えた公職社会として革新しようとしています。
このため、民間専門家たちが公職により多く進出することが出来るよう、採用方式を画期的に変更します。
民間専門家の進出がより容易になるよう、5級公採と民間経歴者採用を5体5の水準に合わせ、最終的には過去の考試とまとめて画一的に選抜する方式ではなく、職務能力と専門性に従い、必要な職務別に必要な時期に専門家を選ぶ体制にしていきます。
現在、課長級以上の職位に民間専門家が入れるよう開放型充員制度を施行していますが、結局公務員だけが再選され、意味のない公募制度だという批判を受けています。
このような過った慣行は、現在、部署別に選抜委員会を置き、公募制度を施行しているためです。
今後は中央で別途”中央選抜試験委員会”を設置し、公正に民間専門家を選抜し、部署に送ります。
これと共に、公職社会の問題点として指摘され続けている循環補職制を改善し、業務の連続性と専門性を維持するにします。
専門性を持ち、国家と国民のために献身する公務員たちは、さらに自負心を持って働けるよう、インセンティブと共にさらによい与件を備える予定です。
国民の皆様、
この度の事故の直接的な原因は、船長と一部の乗務員の職務遺棄と、業体の無理な増築と過積載など、正常ではない私益追求でした。
この度の事故を起こした清海鎮海運は、去る1997年に不渡りを出したセモ海運の一系列社を引き受け、海運業界に進出した会社です。
17年前、3000億ウォン近い不渡りを出した企業が、再生手続きを悪用して2000億ウォンに至る負債を帳消しにしてもらい、捨て値で元の持ち主に売戻し、貪欲に利益だけを追求するうちに今回の惨事を起こしてしまったのです。
このようなことをこれ以上許してはなりません。
今後、企業が国民の生命と財産に大きな被害をもたらし、
貪欲に私益を追求して取得した利益は、全て回収し、被害者たちのための賠償財源に活用するようにし、このような企業は門を閉めさせます。
このため、犯罪者本人の財産だけでなく、家族や第三者に隠し持たせた財産まで探し出し、回収するよう定めた立法を迅速に推進するようにいたします。
この度の事故につきましては、国家がまず被害者たちに迅速な補償をし、事故責任者への求償権を行使する特別法案を政府立法として直ちに国会に提出するようにいたします。
そして、今回のあまりに大きな犠牲に遭った方々が不道徳な企業と犯罪者たちから被害補償を受けられるよう、二度と苦痛を受けることのないようにいたします。
万が一、求償権を行使できなければ、罪を犯した者や企業の過ちを国民の血税で食い止めなければならないという、情けない事態になってしまいます。
この度、清海鎮海運が問題になり、多くの国民たちが清海鎮海運の成長過程で各種の特恵や官民癒着があったことを疑っています。
これを庇護する勢力があったとすれば、それはやはり明白に明かし、そのような官民癒着によって二度と国民の生命と安全が脅かされることの無いよう、私たち社会全般の腐敗を暴き出すつもりです。
そのため、必要であれば特別に検査し、全ての真相を一つ一つ明らかにして、厳正に処罰します。
そして、与野党と民間が参加する真相調査委員会を含む特別法を作ることも提案します。
そこでセウォル号関連の全ての問題を与野党が共に論議してくれることを願います。
今回の惨事で数百人を捨てて逃げた船長と乗務員の無責任な行動は事実上の殺人行為です。
先進国の中には、大規模の人命被害を引き起こす重犯罪を犯した人物には数百年の刑を宣告する国家もあります。
私たちも今後、深刻な人命被害事故を引き起こしたり、多くの人に被害を与えた人物にはそのような厳重な刑罰を付加するよう刑法の改正案を提出するつもりです。
このようにして、今後大韓民国で、不当に利益を得る行為が利益になることが絶対に無く、大きな惨事の責任者が軽い処罰に終わることのないようにいたします。
国民の皆様、
この度の惨事で私たちは高貴な生命をあまりにも多く失いました。
この犠牲が無駄にならぬよう、大韓民国の改革と大変革を行うことが、残された私たちの義務だと考えます。
このような状況にあっても私たちが改革を遂げられなければ、大韓民国は永遠に改革を遂げられない国になるでしょう。
これまで国民と安全と災難を管理する機能がいくつもの機関に分散されており、迅速で一糸乱れぬ対応を取ることが出来ませんでした。
コントロールタワーの問題も発生しました。
このような問題を解決するため、国家安全庁を作り、各部署に分散していた安全関連組織を統合して、指揮体系を一元化し、陸上と海上で起きる全ての有形の災難に、現場を中心に対応できるような体系を作ります。
陸上の災難は現場の消防本部と地方自治体、災難所轄部署が迅速かつ効率的な対応が出来るシステムを作り、
海上の災難には海上安全本部を置き、西海、南海、東海、済州4つの地域本部を中心に現場の救助、救難機能を大幅に強化します。
各部署で管理している航空、エネルギー、科学、通信インフラ等の災難については、特殊災難本部を置き、積極的に対応します。
特に先端装備と高度な技術で武装した特殊機動救助隊を作り、
全国どこでも、どのような災害であっても直ちに投入できるようにし、
軍や警察特攻隊のように常なる反復訓練を通じ、”ゴールデンタイム”の危機対応能力を画期的に高めるつもりです。
国家安全庁のこのような機能を実質的に補うため、
安全関連の予算事前協議権と災害予報に関する特別交付税の配分権限を与える予定です。
安全庁を災難安全専門家を中心に新たな組織にするために、
選抜を公採にて行い、循環補職を厳格に制限して、
国民と専門家が共に公職社会を変えていく示範部署として発展させていくつもりです。
全国の志ある専門家と国民の皆様には、
積極的に参加してくださいますようお願い致します。
今後、国家安全庁が新設されれば、
国民の皆様と災難安全専門家たちの提案を広い範囲で集め、”安全革新マスタープラン”を作っていくつもりです。
そして、11年間進展のなかった国家災難安全通信網の構築事業についてすみやかに結論を下し、災難対応組織が全て一つの通信網の中で一糸乱れず対応し、強固な共助体制を持つようにいたします。
尊敬する国民の皆様、
これまで随分悩み、関係者たちの意見を聞き集め、
今日、国民安全のための対策と国家改造の全般について申し上げるまで、
煩悶と苦悩が連続する日々でした。
今回のセウォル号事故は私たちの歴史に消すことのできない痛々しい傷として記録されるでしょう。
けれども、この度の事故を契機に本当の”安全な大韓民国”を作れば、
新しい歴史として記録されることもあります。
その甚だ重要な責任が私たち国民全てに与えられていると考えます。
私たちは国家的に困難な時には、
その度に一つに団結して危機を克服し、底力と経験を身につけています。
今、挫折から抜け出し、良くなっていかなければなりません。
大韓民国を正し、新しくしなければならないのです。
私は過去と現在の過ちと非正常を正し、
新しい大韓民国を作るため、私の全ての命運を掛けるつもりです。
皆様に約束した経済改革3カ年計画と非正常の正常化、
公職社会の改革と腐敗のあぶり出しを強力に推進していきます。
私たちの前に置かれた問題はたやすく解決できることではありません。
ですが、中断したりはいたしません。
国民の皆様と共に力を合わせ、
今日より良い明日を作り、
子どもたちに誇れる大韓民国を必ずや作っていきます。
今回のセウォル号事故で、1名でも生命を救おうと生業を差し置いて駆けつけてくださった漁業の方々、民間潜水士たち、各界の自発的な寄付や現場を訪ねてくださった多くのボランティアの方々がいらっしゃいました。
幼い妹に救命胴衣を着せて脱出させ、行方不明になった故クウォン・ヒョッキュ君、
着ていた救命胴衣を脱いで友だちに与え、
また別の友だちを助けるために水の中へ飛び込んで死亡した故チョアン・チャウン君、
セウォル号の沈没事実を一番最初に119に通報していながら、
肝心の本人は帰って来られなかった故チェ・ドッカ君。
そして、教え子たちのために最後の瞬間まで最善を尽くした故ナム・ユンチョル、チェ・ヘジョン先生、
最後まで乗客の脱出を助けて生を終えた故パク・チヨン、キム・ギウン、チョン・ヒョンソンさんとヤン・デホン事務長、
民間潜水士の故イ・カンウクさんの姿に、大韓民国の希望をみました。
私はこのような方々こそ私たちの時代の本当の英雄だと考えます。
今後、犠牲者の魂をたたえ、安全と重要性を立て直すため、追慕碑を建立し、
4月16日を国民安全の日に指定することを提案します。
改めて今回の事故で犠牲になった方の冥福を祈り、
遺族の皆様に深い慰労の言葉を申し上げます。
ありがとうございました。
+-+-+-+
翻訳:yujina@twitter
(※)部分は訳者が挿入した注釈です。
翻訳時に参照した原文はこちらです
http://joongang.joins.com/article/441/14716441.html?ctg=1000