(愛美)ああー。
やっと解放された。
何ておいしいんだろう。
(聖美)調子に乗らないで。
ひかりをアル中にするつもりはないわよ。
後は繁郎さん飲んで。
(聖美)何で勝手に離れを出たの。
逆に伺いますけどいつまで私を閉じ込めておくつもりだったの?
(愛美)出産マシンの次はおっぱいマシン?私だって外の空気が吸いたい。
人と会ってしゃべりたい。
おしゃれして出掛けたいわよ。
お金もらえるんですよね?今までの手間賃。
これから私そのお金で好きなようにやらせてもらう。
ひかりを連れてお散歩したりショッピングに行ったりするのもいいわね。
冗談言わないで。
叔母ちゃんがめいっ子連れてお出掛けするのに何の不都合がある?言い触らして歩こうか?「こちら姉が産んだ赤ちゃんでございます」「私じゃなくて姉さんの子です」って。
だいたい姉さんひかりのこと構ってる暇なんかないんでしょ?
(愛美)陽君。
やっと移植までたどりついたとこなんだから。
(繁郎)いいんじゃないかな。
外に連れ出してもらうくらい。
愛美さんのためにもひかりのためにも。
(波津子)バカねあなた。
表で授乳しているところでも人に見られてごらんなさい。
(繁郎)あっ…。
とにかく少し自由にさせて。
まずはウオーキングでもして産後ダイエットしなきゃ。
(泣き声)あっ。
どうした?ひかり。
どうした?どうした?どうした?どうした?ああ。
そうかそうかそうか。
よしよしよしよし…。
よしよしよしよし…。
いいわねひかりちゃん。
パパに抱っこしてもらって。
ねえ。
パパ。
はい。
おむつぬれてないか見てあげて。
ああああ。
よしよしよしよし…。
今替えるからな。
パパ。
結構うまいのよね。
おむつ替え。
(峻)母さん。
何か変だよ。
母さんがパパって言うの。
(愛美)何で?ひかりちゃんのパパに間違いはないでしょう?
(波津子)聖美さん。
突っ立ってないで座ったら?
(波津子)私の言うとおりにするしかないんじゃない?適材適所。
うまくやってちょうだいな。
(峻)ねえ。
本当に僕たちこのままここにいていいのかな?どっかでけじめつけなきゃいけないんじゃない?
(峻)ひかりちゃんは伯父さんと伯母さんが本当の子供としてしっかり育てる。
それで母さん納得したんだよね?私がいなかったらひかりが飢え死にしちゃう。
(峻)早い方がいいと思うよ僕は。
(愛美)峻。
あんたもし自分がひかりの立場だったらどう思う?
(愛美)実の母親に捨てられるんだよ?捨てるんじゃない。
(愛美)子供はそう思う。
でもひかりちゃんは…。
あんたなんかに分かりっこない。
親に捨てられた子の気持ちなんて。
ひかりちゃんには一生本当のことは知らせない。
施設で育った母さんとは違うんだ。
じゃあ私の気持ちはどうなるの?ついこないだまで私のこのおなかにいた子を…。
私の体から栄養を取って私が育てた私の赤ちゃん。
横取りされて平気でいられると思う?母さんはねあんたをお医者さまにしてあげたいの。
だから無理して言うことを聞いたのよ。
この家の人たちの。
でもやっぱりできない。
手放すことだけは。
つながってるのよ。
私とひかりは他の誰にも邪魔できない強い絆で。
生まれたあの子を一目見たら。
無邪気な顔で一生懸命おっぱいに吸い付いてくるあの子を見たら。
母親って女ってそういうものなのよ。
・
(チャイム)
(波津子)はい。
ただ今。
(結花)こんにちは。
(波津子)どなた?
(波津子)まあびっくりしたわ。
星川さんのお嬢ちゃまが一人でいらっしゃるなんて。
峻ちゃんがいつもお世話になってます。
(結花)お世話になってるのは私の方です。
(峻)おばあちゃん。
もういいよ。
後は僕がやるから。
あら。
おばあちゃんお邪魔だったかしら。
(結花)私は今日はお祝いに伺ったんです。
父の代理で。
(波津子)お祝い?
(結花)赤ちゃんのお誕生おめでとうございます。
(波津子)まあまあ。
これはご丁寧に。
(結花)お花は私からおばさまに差し上げたくて。
ああ。
今みんな病院の方に行っちゃってんの。
ちょっと待ってて。
陽の様子を見がてら呼んできてあげる。
(結花)いいんです。
そんなわざわざ。
(波津子)ううん。
ゆっくりしてらして。
誰に聞いたの?赤ちゃんのこと。
学校では誰にもしゃべってないのに。
(結花)病院は人の出入りが多いもの。
すぐに噂が流れるわ。
パパのクライアントにも患者さんがいるし。
ねえ。
女の子なんですってね。
峻君も抱っことかしてあげるの?・
(泣き声)あっ。
(峻)何?今赤ちゃんの声が。
(峻)ちょっと。
(結花)あっ。
いた。
赤ちゃん。
カワイイ。
(峻)母さん。
(結花)えっ?峻君のママ?
(愛美)結花ちゃんね?その節はお父さまに大変お世話になりました。
峻君のママって仕事でよそに行ってたんじゃ?戻ってきたの。
赤ちゃんを面倒見る人がいないっていうから。
ひかりちゃん。
お姉ちゃんにご挨拶は?ひかりでちゅ。
よろちくね。
うわぁ。
ちっちゃい手。
このお洋服お手製ですか?私が作ったの。
これもこれも全部そう。
すごい。
カワイイ。
(愛美)ねえ。
ねえ。
ひかりちゃんの笑った顔峻君に似てない?あっ。
そうなのよ。
私も時々はっとしちゃうの。
あまりに峻によく似てて。
カワイイ。
伯母さん。
(結花)あっ。
お邪魔しています。
いらっしゃい結花ちゃん。
ありがとう愛美。
もういいわ。
お父さまからお祝い頂いたそうで。
何かひかりちゃんおとなしくなっちゃった。
さっきまであんなににこにこしてたのに。
きっと眠くなっちゃったんでしょ。
(結花)あっ。
そうだ。
このお花は私からお祝いに。
あっ。
ひかりちゃん。
ママこんなに奇麗なお花頂いたわよ。
それじゃ私はそろそろ。
どこ行くの?私がべったりくっついてたらこの子どっちがママか分かんなくなっちゃう。
赤ちゃんの面倒を見てお掃除洗濯おさんどん。
姉さんに恩返しするために一生懸命やってますって星川先生によろしく伝えてちょうだいね。
(結花)古風ですてき。
お勉強はかどりそうね。
(結花)何でこの前はお部屋見せてくれなかったの?別に。
(結花)何か見せられないものが隠してあるとか?やっぱり何か秘密がありそう。
このおうち。
(峻)あっ。
ちょっと。
勝手に開けるな。
(峻)こっちは母さんが使ってるんだ。
母さんちょっとだらしないところがあるから。
(結花)赤ちゃんのにおいがした。
(峻)えっ?赤ちゃんっていうか峻君のママのにおいなのかな?さっき思ったのよね。
優しいにおいだなって。
でもおばさんが入ってきたら病院のにおいで消えちゃった。
だからひかりちゃんもむっとしたのかも。
赤ちゃんだって嫌がるわよね。
消毒薬のにおいのするママなんて。
(峻)もう気が済んだろ?帰ってよ。
(結花)私まだ約束を果たしてもらってないんだけど。
(峻)うん?
(結花)言ったでしょ。
私がテストで1番に返り咲いたら結花って呼んでくれるって。
(峻)僕はそんなこと…。
(結花)私そのために寝ないで猛勉強したのよ。
呼んで。
ねえ。
呼び捨てにして。
(結花)いいわ。
今日は許してあげる。
好きなの。
峻君のそういう困った顔を見るのが。
峻君?知ってるだろう?僕の父親がどんな男か。
殺されて当然の男。
殺されても誰も文句が言えない。
誰にも同情されない。
僕はそういう男の息子なんだ。
母さんが刺さなかったら僕が代わりに殺してた。
僕はそういう人間なんだ。
分かったら二度と僕に近づくな!
(愛美)じゃあこれと。
(従業員)はいはい。
(愛美)後はバナナも奮発して買っちゃう。
だからこれ1個おまけして。
(従業員)えっ…。
かなわねえなぁ。
もう押しが強くて美人の奥さんには。
いいよ。
いっぱしに青春してんじゃん峻のやつ。
ひかり。
そろそろおなかすくころだよね?こっちも満タン。
夜中に騒がなくていいようにたっぷりあげとくね。
(愛美)はいはいはいはい。
げっぷ出まちたか?
(げっぷ)おお。
出た出た。
(愛美)出ました。
はい。
良い子さんね。
(愛美)ちょっと幸せな気分。
パパがいてママがいて赤ちゃんがいて。
こういうの初めてなんだもん。
繁郎さんは前にも姉さんと陽とこんなふうに。
ちょっとやけるな。
聖美。
ホントにいいって?何が?君がこの部屋でこういうことをさ…。
いいんじゃない?何も言ってなかったし。
本当はどう思ってるのか知らないけどね。
繁郎さんはどうなの?うん?パパだって楽しいに決まってまちゅよね。
聖美の君への仕打ちはひど過ぎたよ。
君がしてくれたことの重さを考えたらさどんなに感謝したってし足りないのに。
だから愛美さんとひかりは僕が守らなきゃいけないと思った。
いや。
陽が大事なのは僕だって同じだよ。
だけど聖美の場合はその思いが強過ぎてさ。
(愛美)安らぎの場所になってあげる。
私たちを守ってくれる?その代わりに。
男の人には必要でしょう?つらいことを忘れてほっとできる優しい休息の場が。
姉さんは陽のことだけ考えてればいい。
あなたの本当の家族はこっちだって思えばいいのよ。
ねっ。
パパ。
(諏訪)生着しましたよ。
思ったより早かった。
今日の時点で白血球値1,000。
これで一安心です。
陽の体に根付いたってことですよね?ひかりの臍帯血が。
(諏訪)陽君自身の造血幹細胞となって健康な血液をつくり始めた。
やっぱり抜群に相性がよかったようです。
ひかりちゃんの臍帯血は。
(百合子)そうでなきゃ困りますよね。
尋常でない手を使って手に入れた臍帯血ですもの。
心配なのはGVHD。
いわゆる拒絶反応ですがこれも今のところうまいこと抑えられてる。
そろそろクリーンルームから出て少しずつ体を慣らしていきましょう。
ホントですか?そのうち外泊もできますよ。
あの子がうちに?そうなれば退院は目と鼻の先ってことになる。
じゃあ学校にも?桜の季節には間に合わないかもしれませんが4月の末か5月くらいには。
(百合子)スズランが咲くころじゃありません?スズラン?
(百合子)ええ。
毎年母屋のお庭にたくさん咲きますよね。
白くてちっちゃくて清楚なお花なのに毒があるんですってねスズランには。
(諏訪)おいおい。
変なこと言うなよ。
毒をもって毒を制す。
強いお薬使って今まで陽君がやってきた治療だってそうだもの。
毒の力は侮れません。
毒のあるスズランに迎えられる新しい門出。
はかなく散ってしまう桜よりずっと縁起がいいんじゃないかしら。
守ってよお母さん。
今度こそ。
愛美の力まで借りて娘2人が必死の思いでつないだ命。
必ず。
必ず守ってよ。
陽!
(陽)わぁ。
(陽)マスク外してもいい?
(諏訪)いいよ。
(陽)春のにおいがする。
春のにおい?お花や葉っぱや木や草や土や風のにおい。
(陽)メダカやミミズやチョウチョウや子犬や野良猫の赤ちゃん。
それに僕。
みんな生きてる。
よく頑張ったな陽君。
君の勇気が病気をやっつけた。
あっ。
うーん。
空気がうまいなぁ。
(陽)ママ。
貸して。
あっ。
うん。
はい。
思い出した。
これが窓から見るんじゃない本当の空の色なんだ。
早く早く。
これパパに見せるんだから。
パパ。
きっとびっくりするわよ。
陽が屋上まで行ったって聞いたら。
(愛美)何それ?はいはい。
パパ。
陽。
愛美?何やってるの?ここで。
あなた?えっ?いや。
そのう。
ひかりちゃんだ。
ひかりちゃん。
お兄ちゃんだよ。
(陽)ママ。
ひかりちゃん。
ああ。
うん。
わぁ。
ひかりちゃん。
よいしょ。
はい。
はい。
はいはいはい。
よいしょ。
よいしょ。
見て。
ひかりちゃん。
ちょっと見ない間にずいぶん大きくなったでしょう。
ごめんね。
さみしい思いさせて。
(陽)ホントはママはいつもひかりちゃんのそばにいてあげなきゃいけないのに。
陽。
ごめんなさい。
僕が病気だから昼間のママを取っちゃって。
でももう大丈夫。
僕ひかりちゃんのおかげでこんなに元気になったんだから。
もっともっと元気になって今度は僕がひかりちゃんのこと守ってあげるね。
宝物みたいに大事に大事にするからね。
愛美。
出てってくれない?この家から。
はっきり言って邪魔なの。
目障りなのよ。
あなたにうろうろされると。
2014/05/16(金) 13:30〜14:00
関西テレビ1
聖母・聖美物語 #34[字][デ]【愛の母子篇〜二人の母】
愛美(三輪ひとみ)は聖美(東風万智子)に対する憎しみを募らせるが、出産まで後僅かの愛美を前に聖美はジッと耐える。やがて愛美が待望の赤ちゃんを出産すると聖美は…。
詳細情報
番組内容
体の回復した愛美(三輪ひとみ)は、母屋を好き勝手に歩き回り、聖美(東風万智子)を苛立たせる。愛美は秘かに、新たに芽生えた思いを何としても叶えるつもりでいた。
星川(風間トオル)の娘、結花(諸江雪乃)が柳沢家を訪ねてくる。聖美が子供を生んだと聞き、お祝いの品を持ってきたのだ。結花は、愛美がひかりをあやしているところに出くわすが、病院からの帰りで、
番組内容2
消毒薬の匂いに包まれた聖美より愛美のほうが実の母親らしいと峻(谷藤力紀)に告げ、驚かせる。
聖美は、愛美が繁郎(原田龍二)に馴れ馴れしくしようとも、ひかりの母親としての体面を取り繕うために耐える。それをいいことに愛美は繁郎に対して、陽(平林智志)のことしか頭にない聖美とは仮の夫婦で、本物の夫婦・親子は自分とひかりだと思えばいい、と言い出し…。
出演者
柳沢聖美:東風万智子
森尾愛美:三輪ひとみ
柳沢繁郎:原田龍二
柳沢弘明:金子昇
柳沢波津子:丘みつ子
星川真輔:風間トオル ほか
スタッフ
企画:横田誠(東海テレビ)
原作・脚本:いずみ玲演
演出:藤木靖之
プロデュース:西本淳一(東海テレビ)
中頭千廣(TSP)
神戸將光(TSP)
齋藤頼照(TSP)
音楽:辻陽
主題歌:「炎の花」ハルカ ハミングバード(ユニバーサル ミュージック)
制作著作:TSP
制作:東海テレビ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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