NHK高校講座 世界史「古代インド〜仏教とアショーカ王〜」 2014.05.16

律令国家の体裁が整い…歴史の大海原を旅するキャプテン歴史アイドルの小日向えり。
世界中のさまざまなゲストと一緒にいざ船出しよう!今日はインドからお客様がいらっしゃいます。
どんな人かな〜?
(フランシス)入っていいんかな?こんにちは〜。
ようこそいらっしゃいました。
こんにちは。
ナマステ!
今日のゲストはインド出身のタレント…
日本に来て25年以上。
神戸をベースにラジオのDJやテレビのコメンテーターとして活躍しています
今日はちょっとでもえりちゃんにインドを知ってもらおうと思いましてやって来たんです。
インドといえば?やっぱりカレーですかね。
あとはターバンを巻いたり?なるほどね。
いるなぁこういうステレオタイプの日本人っていうのが多い!怒られちゃった!違いますよ。
もちろんインドといえばカレーなんですけど昔のインド……と思いましてやって来たんです。
古代インド。
はい。
今日はねえりちゃんの世界史の旅の強い味方になってくれる実はこんな方…。
アショーカ王です。
えっアショーカ王!私の名はアショーカ。
今から2,000年以上前インドで初めて統一国家を作った王だ。
皆さんは仏教がインドで誕生した事はご存じかな?現在仏教が世界三大宗教の一つとなり中国日本と各地に広まったのは私がインドで仏教を保護し熱心に広めたからだといえる。
今回私が紹介する時代は紀元前。
地域は…紀元前6世紀にインドで生まれた仏教はアジアに広まりおよそ1,000年後の6世紀日本に伝わった。
仏教はなぜインドに生まれどうやってアジアの国々に広まったのか。
今回は古代インドの歴史を伝えよう。
仏教ってすごく身近なものですけれども起源はインドだったんですね。
そうなんですよね。
ところでアショーカ王ってどういう事をした人なんですか?そうですね今から2,200年ほど前に今のインドのほとんどの地域を制覇して大帝国を作った人でもあるんですよね。
へぇ〜。
そしてあるきっかけでやっぱり平和がいいと強く思うようになった人でもあるんですけど……と言っても過言ではないんですけどね。
同じ時代日本では縄文時代から弥生時代にかけてなのでこんな感じです。
農耕してますね。
ねえ。
日本がこんな時代にインドではすごく広い土地をリーダーが出てきて治めてたって思うとすごいですね。
本当ですね。
ところで…それはね是非アショーカ王に聞いてみたいと思います。
うん。
それでは私がインドの歴史の始まりから語って聞かせよう。
紀元前25世紀ごろインダス川の流域から都市文明が始まった。
このインダス文明は紀元前15世紀ごろまでには消えたと考えられている。
その理由は諸説あるが謎である。
その後アーリア人と呼ばれる人々がインドの北西部に入ってきて新たな文明が作られた。
アーリア人は更に東のガンジス川流域に移動し紀元前6世紀ごろにはいくつもの都市国家が成立した。
そこではバラモンと呼ばれる司祭を特権的な地位に置く身分制度が生み出され農民や先住民などは低い身分とされた。
最下層の不可触民に至っては身分を持たず触れると汚れを生むとされひどく差別されるようになったのだ。
そうした身分差別に反対して生まれた思想の一つが後に私の心を捉える…創始者は…後のブッダだ。
シッダールタはシャカ族の王子として生まれ結婚して何不自由なく暮らしていたが人生とは何か死とは何かに悩み29歳の時家族も地位も捨てて出家した。
そしてブダガヤという地で瞑想に入りこの世の真理を得る事ができた。
35歳の時であった。
それ以後シッダールタは「悟ったもの」という意味のブッダと呼ばれる事になる。
ブッダは「人間の価値は生まれや身分ではなく清らかな行いによって決まる」という新しい教えを説いて回った。
それは身分制度に苦しむ人々や女性に支持された。
こうして信者が集まりブッダの死後その教えがまとめられた。
これが仏教として確立しインドの身分制度による差別意識を変えていったのだ。
今のインドでは身分制度ってどうなってるんですか?ひと言で説明するのは非常に難しい事ではあるんですけど真っ先に言いたいのは法律では完全に禁止されてますからそういったものはなるべくなくしていったほうがいいという方向に話が進んだらいいなと思うんですけどね。
仏教はインドで誕生したんですよね。
気になりますよね。
それは是非本人に聞いてみましょう。
アーちゃん。
ちょいと気安くはないか?サニー。
まっここからいよいよ私アショーカの時代の話になる。
仏教誕生からおよそ300年。
紀元前3世紀に私はマウリヤ朝の王子として生まれた。
私の子供時代父はほかの兄弟ばかりかわいがっていた。
私の事はかわいく思わなかったのかもしれない。
しかし私は大臣たちの後押しを受けてマウリヤ朝第3代の王となり兄弟を皆殺しにした。
邪魔者はみんな殺した。
そのころの私は……と呼ばれ恐れられていたのだ。
更に私は武力で近隣諸国を征服し…しかしその戦いで多くの犠牲者を出した事を振り返り私は心から後悔し始めた。
そして…。
仏教の僧侶の説法を聞き心を打たれた。
私は考えを改め熱心な仏教徒となった。
それ以降武力ではなく「ダルマ」による政治を行う事にした。
「ダルマ」とは仏の教えを取り入れた法である。
生き物をむやみに殺してはならない。
父や母に従い周りの人に礼儀正しく振る舞う。
他者を尊重するといった教えだ。
私は仏教以外の宗教を排除せず全ての人に共通する法であるダルマを広めた。
そのダルマの教えをライオンの彫刻を施した柱などに刻み各地に立てた。
更に人々が仏教の聖地を参拝しやすいよう道路を造り国土を整備した。
この世を去るその日まで私は仏教を保護し広めたのだ。
そして私の死後仏教はアジア各地に広がり中国朝鮮半島を経て誕生からおよそ1,000年を経た6世紀に日本にも伝わったのだ。
アショーカ王が仏教を広めたんですね。
そうですねはい。
昔から政治と宗教って密接な関わりがあるからもしかしたらアショーカ王も政治のために仏教を広めたのかもしれないですよ。
日本の歴史上の人物でもそれに似た人がいます。
聖徳太子。
彼も仏教を手厚く保護したんですけどやっぱり国を安定させるためっていう理由もあったんですよ。
まあそうかも分からないですよね。
そこでねVTRに出てたライオンなんですけど各地に立てたシンボルともいえる石柱なんですよね。
これがねよく見るとこのライオン…もう一つね。
これがゆくゆくは現代のインドの国章にもなったって事なんです。
国章になってるんですね。
はい。
丸いところありますよね。
ダ〜ン!インドの国旗にも使われているんですよね。
同じなんです。
ホントだ。
仏教もダルマの教えも世界のいろんな所に広めたアショーカ王がやっぱりヒーローですよね。
うんすばらしいですよね。
私もいつも胸にダルマの精神をとどめておきたいと思いました。

現代の日本にも古代インドゆかりものがあると聞いて東京都内のお寺にやって来ました
こんにちは。
こんにちは。
我々がふだん読んでいるお経の中にそのヒントがございますのでお聞かせ致しましょう。
お経の中に?はい。
早速お経を聞かせて頂きました
「乃至無意識界無無明亦無無明盡乃至無老死亦無老死盡無苦集滅道無智亦無得以無所得故」。
お経を聞いていて日本語…「衆生は無なれども」っていう分かりやすい部分と全然文字も読めない外国語なのかなっていう部分も出てきたんですけど。
(小峰)これが梵字と日本でいわれてるものなんです。
もともとインドである時期に使われていた文字なんです。
サンスクリットという言葉が昔インドにありましてそれを書写するために作られた文字なんです。
あっここに古代インドとのつながりが…。
はいそのとおりです。
出てきましたねぇ。
へぇ〜。
2,000年以上も前のインドの言葉がお経の中にありました。
続いてお寺に併設されている美術館である梵字を見せて頂きました
これ「あうん」と書いてあるんですね。
「あうんの呼吸」の「あうん」です。
実は私たちがふだん使っている日本語の中にサンスクリットが語源となっている言葉があるそうです
これは「娑婆」です。
「シャバに出たい」とかそのシャバですか?刑務所で服役を終えて出てきて「やっぱシャバの空気はうめえな」なんて言ってますけどもあのシャバ。
これ実は「サハー」というサンスクリットの言葉でこの世…現世の事を表す言葉なんですね。
「サハー」が「シャバ」になった。
そうです。
ほかにも…
地獄を意味する…
…というサンスクリットが語源だといわれています。
案外身近なところに古代インドとのつながりがあったんですね。
続いてやって来たのは滋賀県のお寺。
なんとここにはあのアショーカ王ゆかりの塔があるというのです
わ〜結構大きいですね高さ。
はい。
立派な塔ですね。
阿育王塔と呼ばれている石の塔です。
どうして日本にアショーカ王の塔があるのでしょうか
これは今から約2,200年前の…インドからはるばる…そうですね。
アショーカ王はブッダの遺骨を納めた塔をインド各地そして世界中に建てたそうです。
一説によるとその数なんと8万4,000。
そんなアショーカ王ゆかりの塔が日本にもあったなんて。
皆さんの周りでも世界の歴史とのつながりが見つかるかもしれません
サニーさんも仏教徒なんですか?あのね僕はキリスト教なんですよ。
これもインドではかなり少ないんですよね。
それはさておきにしまして…何でですかね。
それは私も分かりませ〜ん。
「分かりませ〜ん」。
急に外国人っぽくなりましたけど。
ハハハハ外国人ですよ。
じゃあサニーさん分からないなら先生に聞いてきますね。
おっ行ってらっしゃい!お座り下さい。
何でインドで仏教が衰退しちゃったんですか?いろんな説があるんですけれども大きく2つの要因に考えられます。
どういう事かと申しますと…それは王のための儀礼を行う。
ですから王にとってバラモンたちは非常に都合のよい存在になった。
それに対して王は土地を与えたり村を与えたりしてバラモンを保護します。
そうしますとバラモンたちは非常に力を持つ訳で人々の信仰を自分たちの中に取り入れて…ですからそうした力を持ったバラモンたちが仏教を攻撃した。
これが第一の外的な要因になります。
2つ目は内的な要因という事で大きく2つに分かれます。
1つは仏教を支持した階層というのはバラモンの身分的な考え方に対して反発を持ってた都市の商人たち。
グプタ朝のあとはインドは暗黒の時代といいまして商工業が非常に衰退していく。
そうしますと都市も衰退していく。
そうしますと…それから次の要因は僧侶の間で例えば出世したいとかより広い家に住みたいよりおいしいものを食べたいある意味では堕落っていいますでしょうか。
引きこもって…じゃあこういう外的な要因と内的な要因とが絡んでだんだん衰退していってしまったんですね。
そうですね。
では最後にその後の仏教の話をしよう。
私がこの世を去った後仏教はアジアに広まったがインドでは徐々に衰えていってしまう。
12世紀から13世紀のころにはインドでイスラーム教徒が多くの仏像や寺を破壊。
仏教の僧侶たちはチベットやネパールへ逃げてしまった。
その後多くの仏教徒がヒンドゥー教に吸収された。
ブッダもヒンドゥー教の神々の中に加えられている。
現在のインドは8割以上がヒンドゥー教徒で次に多いのはイスラーム教徒だ。
仏教徒は全体の1%にも満たない。
しかしその一方で仏教はアジアから更に世界中へと伝わり世界三大宗教の一つになったのだ。
えりちゃん古代インドの歴史はどうでしたか?アショーカ王って非情な部分と優しい部分があってギャップがあって面白い人だなと思いました。
それからね…そうなんですか。
ほかに何だろう?食べ物とか?人とか?カレー?それはつっ!それはどうなんでしょう?気になりますね。
じゃあ私もいろいろ調べてみます。
サニーさん今日はありがとうございました。
ありがとうございました。
バラモンを頂点とする古代インドの差別的身分制度に対してブッダは人の価値は身分によらないとし精神的な真理を得る事によって苦悩から逃れる事を説く仏教を生み出した。
武力によってインドの統一を果たしたマウリヤ朝第3代のアショーカ王は暴力を悔い仏教の思想に基づくダルマという法を広める事によって国を治めようとした。
仏教は王権と結び付いたバラモンの攻撃やイスラーム勢力による破壊によってインドで消滅したが日本をはじめアジア各地へと伝えられ世界の三大宗教の一つとなった。
2014/05/16(金) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 世界史「古代インド〜仏教とアショーカ王〜」[字]

歴史好きな「歴女」の部屋を、世界各国にルーツを持つ多彩なゲストが訪れ、歴史上の人物のメッセージを届ける…暴虐王から平和王になったアショーカ王とは?

詳細情報
番組内容
【司会】小日向えり【ゲスト】サニー・フランシス(DJ)【講師】水島司(東京大学教授)【学習ポイント】▽仏教の誕生▽アショーカ王の帝国統一と仏教▽仏教のアジア伝播とインドでの消滅【番組内容】▽2千年以上前に身分差別に異を唱えたブッダ▽暴虐王から仏教の保護者へ…インド人ゲストが語るアショーカ王▽現代日本で見られる古代インドゆかりの物は?
出演者
【講師】東京大学教授…水島司,【ゲスト】サニー・フランシス,【司会】小日向えり,【語り】奥田民義

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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