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KADOKAWAと経営統合 ドワンゴの社員から巻き起こった拍手と川上会長の野望
2014年5月19日(月) 07:00
出版や映画事業を傘下に抱えるKADOKAWAと、ニコニコ動画を運営するドワンゴは10月1日に経営統合する。漫画やゲーム、映画など日本のコンテンツを「ニコ動」というプラットフォームで発信・輸出し、クールジャパンのビジネスで勝ち残りを目指す計画だ。ただ、世界への道を開くには、もう一段、グローバル企業との統合が必要だとの指摘もある。その行方は――。
3年前から口説いていた角川歴彦会長
KADOKAWAとドワンゴの2社は従来から、濃密な関係を持っていた。2011年に資本提携しており、現在KADOKAWAはドワンゴの第2位株主で株式を12.2%保有する。
一方、ドワンゴもKADOKAWA株を2.7%保有持つ。人的にも、川上会長と佐藤社長は相互に相手側の取締役であり、「佐藤さんは創業の頃から付き合いで、ドワンゴの取締役としては僕の次に長い」(川上会長)という深い仲だ。
「3年前から、いっしょにやろうと口説いていた。ようやく、川上君という若い経営者を手にした」。角川会長はKADOKAWAの明るい前途を確信しているようだった。
社風も近く、共通点はサブカルチャー
両社は「社風も近い。共通点はサブカルチャーだ」(角川会長)という。確かに、今のKADOKAWAを支えているのはゲーム雑誌などだ。ドワンゴの「ニコニコ超会議」などの事業もコンテンツとして取り上げている。
「ザテレビジョン」や「東京ウォーカー」などの雑誌部門を育てた角川氏からすると、川上会長の経営の方向性は極めて腑に落ちるのだろう。
川上会長も「『KADOKAWAのコンテンツをドワンゴのプラットフォームで世界に発信する』という見方の報道があったが違うと思う。両社ともコンテンツを作り、プラットフォームを運営している。だからこそ統合はうまく行くと思う」と両社の共通性を説明した。
実際、この日の会見前に、ドワンゴ社内で開かれた社員総会では拍手がわき起こったという。
海外メジャーとのさらなる統合が不可欠
その後の記事にも、「グーグル傘下のYouTubeに挑む」「クールジャパンが世界へ」「角川会長が『天才』と呼ぶ川上氏」などという内容の“ご祝儀記事”も踊った。株価も両社とも値上がりした。
しかし、両社の統合だけでは、海外で成功するには役不足だろう。両社とも実績はそれほどない。海外メジャーとのさらなる統合が不可欠だ。存外、その時期は早いかもしれない。
“ジジ殺し”川上会長、ジブリとの関係が語る未来
今回、角川会長が川上会長を高く評価していることからも分かるように、現在46歳の川上会長は大物から可愛がられる“ジジ殺し”で知られる。
最も有名なのはスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーだろう。川上会長は見習いとして鈴木氏に弟子入りしており、実質的な仲人でもある。そしてそのジブリはウォルト・ディズニー・カンパニーと昵懇(じっこん)の関係にある。
川上会長をよく知るある経営者は「川上氏は以前から会社の業績や個人の金銭的なメリットより、社会への影響力や名誉への欲求が大きい」と指摘する。
ディズニーとの統合は会社の格として申し分ないうえ、同社の大株主と言えば、スティーブ・ジョブズ氏(現在は資産管理団体)がいる。「数年後、川上氏が選ぶ道はもう見えている」(関係者)。
【写真上】写真撮影に臨む新会社の経営陣、左からKADOKAWA社長の松原眞樹氏、KADOKAWA会長の角川氏、KADOKAWA取締役相談役の佐藤氏、ドワンゴの川上会長、ドワンゴの荒木隆司社長