(テーマ音楽)
朝焼けの空に立つ九州桜島
山肌の至る所から煙を吹き上げてきた活火山です
噴火は年に800回以上を数え今は南側の昭和火口が盛んに活動しています
手前は鹿児島市の中心部
桜島へは鹿児島港からフェリーで向かいました
日中は10分から15分おきに運行し夜も休まず24時間桜島との間を結びます
桜島。
桜島が正面に見えますね。
うわ〜立派な山だ。
海から直接山がぐっと出てきてる感じがしますね。
桜島は2万6,000年前の大噴火で海の上にその姿を現しました
暖かいね風がね。
ほらあそこにイルカだよ。
どれ?あれほら。
あっほんとだ。
いたいた。
湾内にはイルカも住み着いています。
溶岩で出来た複雑な海底は餌となる魚が豊富です
港を出て15分桟橋に到着しました
4,700人が住む桜島。
溶岩流は繰り返し集落を襲いその度に人々は暮らしを立て直してきました
(噴火の音)
毎日のように起こる小規模な噴火でも地鳴りのような音が聞こえます
(噴火の音)
小学生はみんなヘルメットをかぶって通学
降り注ぐ灰は滑りやすく危ないためこまめな掃除が欠かせません
各家庭に配られる火山灰専用の袋で頻繁に収集されます
小高い丘にひらいた畑。
代々続くこの土地を守っている人がいます
上ノ下光子さん。
サヤエンドウサヤインゲンネギ。
火山灰が降る度に払い落とし育ててきました
手間をかけ実ったみずみずしい緑です
毎朝欠かさずに眺めるのがふるさとの山です
こっちの方が山になります。
あっ山が見えて…。
うわっきれい!きれいでしょ。
もう吹き出す時はほんとにきれいですよ。
灰は降るのは嫌だけど出した姿は何とも言えない。
こんなに近くて怖くないですか?怖くない。
もう慣れているから。
子守歌のようなものです。
はい今吹き出した!吹き出した!あれは小っちゃいけどな。
あれ小っちゃい?うん小っちゃい。
出る時は黒い煙が出るんですよ。
あれは白いからまだ。
サヤエンドウがたくさん採れた日は近所の人にお裾分けです
上ノ下さんはいつもこうして運びます
重たくないんですか?いやぁ大丈夫。
昭和30年代まで女性たちは溶岩で出来た坂道を水や作物を頭に載せて行き来しました。
冠を載せたような姿から「カンメ」と言いました
配って回るご近所さんは10軒以上になります
こんにちは。
みよちゃんいるの?いるの?・は〜い。
いるの?またね野菜があったから分けてやろうかと思って。
ありがとうございます。
2つに分けてあるからまた。
まだ食べられるから食べて。
ありがとうございます。
食べなさいよね。
火山の島で助け合う。
女性たちが積み上げてきた心です
黒い噴煙が立ち昇ると地元の人たちは「桜島が怒っている」と言います
100年前の大正3年。
20世紀日本最大の大正大噴火の傷痕です
火山灰は2m以上積もりました
ごつごつした海岸線はその時の溶岩です。
30億トンが流れ海に達しました
この海に繰り出し漁をしている親子がいます
漁師歴33年の磯辺昭信さん
高校卒業後一緒に船に乗るようになった息子の昭之さんです
春から秋海に潜りとげに毒を持つウニガンガゼを狙います
毒があるからなかなか手ではつかめないですけど。
手じゃ無理なのでこの籠に。
海の中で全部回収してくるんですけど。
これでウニを全部集めて。
かき集めて。
ある程度中にたまるので上まで来た時にこれで押し込む。
ガンガゼが生息しているのは水深5mから10mの溶岩で出来た岩しょうです
入り組んだ岩しょうには天敵となる多くの魚がいます。
身を守る毒のとげは30cmを超える長さです
大きさを確認し成長したガンガゼだけを取っていきます
籠に押し込み毒のあるとげの先端を落とします
潜水は一日8回に及びます
お疲れっす。
お疲れさまでした。
御苦労さんです。
ははっ。
毒のとげを持ち磯を荒らすやっかい者だったガンガゼ。
食用として桜島の産物にしたのが磯辺さんでした
磯部さんの加工場です。
ガンガゼは毒のとげを落としても殻が軟らかくて潰れやすく加工に手間がかかります
殻割りの道具も自分で作って市街地の飲食店やすし屋さんに売り込んだり。
10年かかってようやく軌道に乗せました
我々にとったらこのガンガゼっちゅうのは本当桜島にいる唯一の海の恵みと私は思ってますけどね。
それを有効に利用させてもらってる。
お裾分けみたいな?ですね。
感謝感謝ですよ。
昭之さんはもうずっと漁師で頑張るつもり?やっぱり好きなので。
もう駄目で漁師も辞めましたっていう事もちょっと負けた気がするので意地でもやり通したいですね。
一度やり始めたからには。
畑に出ていた上ノ下さんが暮らす集落です
この家で家族との時を重ねてきました
夫の重信さんは12年前に亡くなりました
3人の子供と7人の孫。
桜島を出て茨城や鹿児島市の中心部に暮らしています
子や孫からは桜島噴火のニュースが流れる度に電話がかかってきます。
「こっちに来て一緒に住もう」と言ってくれます
もう私は本当桜島の女ですよ。
もう桜島に育った以上はどこも行きたくない。
ほんと。
たまに東京とか行くでしょ。
いやいや1日ももう早く帰りたい。
おうちがいい。
上ノ下さんには大切にしているものがあります
夫重信さんからの贈り物。
結婚して20年がたった頃手渡されました
結婚した昭和32年は度々大きな噴火が起こりました。
指輪も交わさず畑に降った石や灰を取り除く事に追われてきました
「同じものを買ってきたからあんたもしてみなさい」って。
ペアで?ペアで買ってきました。
壇の中にいつもしまい込んでいるの。
いつも一緒。
お父さんと。
夫と共に桜島で生きてきた歳月を思います
桜島を離れてもふるさとへの思いを胸に人々は折りに触れて帰ってきます
週に2回フェリーでやって来る人がいます。
山鐵朗さんです。
桜島で生まれ育ち今は市街地に暮らしています
とめ置いている車で向かうのは実家がある黒神町です
火口に近い黒神町はこの10年で人口が半分近くになりました
山さんが生まれ育った家。
今は誰も住んでいません
母は市街地の病院に入院し妻と2人その近くに暮らしています
幼い頃いつも家から火口の表情を見つめていました
こっからこう見てですね父親母親に「逃げようよ」って言ったのを覚えてるんですわ。
そうですかその柱に?こっからね。
多分小さい時こういう状態だったと思うんです。
こういう状態で。
まだ小っちゃかったでしょうからね。
それをねほんと新鮮に覚えてるんですね。
「逃げよう」って言ってね。
「噴火を予測したい」。
高校卒業後桜島の火山活動研究センターに就職しました。
ここを拠点に各地の火山を巡り地震や火口の観測などに追われました
(山)どこも行くとこ行くとこもう…何て言うのかな灰まみれの世界って言ってもいいんだけども。
それが決して嫌じゃないんですよ。
やっぱり桜島があるからここへも帰ってきて彼らに合わせて彼らという山に合わせて生活できる幸せも感じてますけど。
山さんは去年観測所を定年退職しました。
今は桜島に通い祖父の代からの椿畑を守り継いでいます
かつて火山灰から畑を守るために植えた丈夫な椿
この時期灰やガスで枯れた枝を落とし油を採る実を大きく育てます
幹が火山灰に埋もれても枝を伸ばす椿があります。
大正大噴火を生き延びた老木です
100年実り続ける椿。
秋には香りのよい油が採れます
この木がある限り桜島に通い続けたい。
山さんの思いです
噴煙が穏やかな日。
人々は言います。
「桜島がほほ笑んでいる」
(テーマ音楽)
(テーマ音楽)2014/05/17(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「それでも火山の麓で〜鹿児島県桜島〜」[字]
鹿児島湾の中心、桜島。年に800回以上噴火している。毎日噴煙をみながら土を耕す農家。溶岩地帯が育むウニの漁。大噴火を生き延びた椿。火山と共に生きる人々を訪ねる。
詳細情報
番組内容
鹿児島湾の中心、桜島。大正の大噴火から今年で100年。今も年間800回以上噴火している桜島はふもとに生きる人々の暮らしを見守ってきました。60年以上耕し続けている畑から毎日桜島を眺め、噴火を子守歌だという女性。溶岩地帯が育むガンガゼと呼ばれるウニの漁に挑む親子がいます。火口近くの集落では、火山観測所で勤め上げた男性が大噴火を生き延びてきたつばきを大切に育てていました。火山とともに生きる人々を訪ます
出演者
【語り】山田敦子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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