(本山)野球は楽しい?
(亀沢)超楽しいよ。
俺の実家は南アルプスの向こうだぞ。
はっきり言って貧乏だ。
実家の商売がいよいよ立ち行かなくなっちゃって。
それでも両親は「卒業までは責任持つ」なんて言ってくれてるんすけど。
(田茂青志)初めからプライドを持ってる奴だけが勝てるんだよ。
お前達には強い気持ちでプライドを持ってもらいたい。
(亀沢)監督。
おうおはよう。
何だ?俺…。
やっぱり学校辞めることにします。
辞めます学校。
両親には言ったのか?まだっすけど…。
じゃあ話せ。
話したところで止められんのがオチですよ。
どんなオチでもいいから話すんだよ。
お前一人じゃ決められないんだから。
いえ俺は一人で…。
決められないんだよ。
親の承諾が必要なんだ。
えっそうなんですか?何でも一人で決められると思うなよ未成年。
言いづれぇな…。
(白尾)ハァ…。
あ?おい休むな!素振り行くぞ素振り!
(赤岩公康)ちょっと待て!俺達は昨日の死闘の疲れが…。
5回表で終わる死闘なんてねえよ!ほら早く立て!二度と負けたくなかったらな。
(岡留)よっしゃ〜!しゃ〜!おいおいおい…お前ら下でいいんだよ。
何で?俺が上から指導する。
(岡留)上から!?支配者か!
(江波戸)平等にやろうよ。
そうだよ早く…上れ!危ない危ない!
(岡留)上れ上れ!
(白尾)来んなって危ないよ!
(樽見柚子)んっ?増えた。
フフフ。
(樽見楓)お待たせ。
えっこれもうさすがに利益出てないですよね?
(楓)うちの経営に口出さないで。
いやでもこれですよ?それでも足りないぐらいよ。
敗戦を経てひと回り大きくなったあなたにはね。
いや胃袋は変わらないじゃないですか。
あ〜でもよかった。
またあの日みたいな顔して入って来たらどうしようかと思っちゃった。
何のことですか?覚えてないの?青志君が野球部辞めたあの日よ。
(谷内田)ここは君のいるべき場所じゃない
(楓)いらっしゃ〜い!
(楓の声)まるで人生棒に振ったみたいな顔してて何て声掛けていいか分かんなかったわ。
それは大げさですよ。
強くなったわね青志君。
まっあれから13年経ってますからね。
監督に言われた通りみんな思いっ切り振ってます。
空振りも少なくなって来たしスイングも良くなって来た。
(樫山)牛丸。
牛丸!
(牛丸)んっ?
(樫山)どこ見てんだよ。
見たことないチョウが飛んでたからさ。
練習中だぞ。
うん。
おい光安靴ひも。
(光安)えっ?靴ひも。
(光安)あぁすいません。
(江波戸)いいぞ亀沢。
気付いてないのか?
(部員達)えっ?お前達は準備不足だよ。
何の準備が足りないんでしょう?何に対してもだよ。
その証拠にお前達何か全体的にのんびりしてないか?きっちり準備をして時間が余った上にのんびりする分にはまだいいんだよ。
だけどお前達を見てると何にもしてないのにただただのんびりしてないか?そういう意味では亀沢。
えっ!?はい…。
緊張感を持って練習に臨んでるのはお前だけだった。
ありがとうございます。
(白尾)いいぞ亀沢!お前やるじゃねえかよ!ただ俺も『城徳』の卒業生だ。
のんびりがこの学校の校風なのは分かってる。
でもそれを勝負に持ち込むなよ。
ちゃんと気持ちの準備をして打席に立たないといちいち出遅れるんだ。
だからお前達のスイングはこう何か…みんな驚いたような感じになってないか?
(光安)それはあります。
実際ボールが来ると「来た!」って感じで。
打席にボールが来るのは分かり切ってるはずなのになぁ。
「来た」っていう受け身じゃダメなんだよ。
ピッチャーが投げる前に予測を立ててちゃんと準備をした上で打席に入ってボールを呼び込むんだ。
その後は守備と同じだよ。
ボールに向かって「来い」っていう気持ちだ。
準備だよ準備。
出遅れたら負けるぞ。
はい!ほら出遅れんな!
(岡留)準備だ準備!・出遅れんなよ・
(亀沢)いつ俺の話になるかと思ってひやひやしました。
じゃあお前はあいつらには黙っとくのか?あいつらのことだから知ったらまた妙なまねして来るし。
はぁ…。
俺は退学には反対だ。
だってご両親も卒業までは面倒を見るっておっしゃってるんだから。
辞める理由が分からんよ。
だからそう言っててホントは無理してんすよ。
無理してるんだったら無理してるって言うよ。
言わないんですってうちの親は。
お前の親は無責任だな。
違いますよ。
だったら卒業させてくれるよ。
まぁそりゃ多少大きな負担はあるのかもしれないけども。
責任ある大人はできないことをできるとは言わないんだよ。
差し出されたスネはありがたくかじっとけ。
ここから先はかじりません。
監督はプライドを持てって言ったじゃないですか。
それは野球の話だよ。
分かってます。
だから野球以上に強いプライドを持って挑んでるんです。
決断する機会はたった一度しかないんだから。
失礼します。
(増本)陸上部は決まりました?
(尾田)あっうちはダンスで。
ダンスか盛り上がりそうだな。
あっテニス部は?
(土屋)うちは無難に喫茶店です。
無難なもんですか。
うわ〜もたもたしてるとどんどん埋まって来ちゃうな〜!何なんですかさっきから!「何なんですか」って…。
これだもんなぁ。
(増本)文化祭文化祭!えっもうそんな時期…。
だってこないだ試験期間がようやく終わって練習再開できたのにチッ。
どうするんですか?野球部の出し物は。
えっ?じゃあ公開練習にします。
公開練習!?練習見せるの?それ誰が楽しいの?楽しくなくたって別にいいんですよ!そもそもうちは練習時間が少ないんだから。
(村山)田茂先生お電話です。
あっはい。
(璃子)監督!私達の連載『弱くても勝てた』がピンチです!それはあなたのピンチなだけであって俺は…。
だって谷内田健太郎特集になりそうなんですよ!谷内田?
(璃子)この間の対談記事で編集長がすっかり乗り気になっちゃって。
だって彼とうちの野球部は何ら関係がないじゃないですか!でしょ!だから私も…。
ダメですよ。
そんな記事断じて認めない。
スイーツは?えっ?スイーツ。
何言ってるんですか?互いに逆向きのものが平行に並んでおりこれがらせん状にねじれている…。
亀沢退屈か?いえ考え事で多忙です。
亀沢君。
妨害に屈せずプライドを貫くにはどうしたらいいか考えていたんです。
(白尾)『城徳』野球部のプライドだな!偉いぞ亀沢!
(田部)またかよ野球部。
プライドを持つのと意固地になるのは意味が違うぞ。
だったら監督だってバッティングに意固地になってます。
なってないよ結果が出なきゃ改める。
出なかったじゃないっすか。
おい亀沢。
そもそも1試合じゃデータ不足なんだよ。
(亀沢)でも俺の場合は1試合で決めなきゃなんないんです。
(白尾)崖っぷちの覚悟だな分かるぞ!いいか俺達は1分1秒時間を無駄にできない。
絶対に出遅れるなよ分かったか?はい!よしじゃあ練習開始!お〜!ゴー!出遅れるな!出遅れないでください!出遅れてる奴はいらねえからな!・出遅れるな!・・出遅れ過ぎじゃないっすか・
(志方)出遅れてますよ江波戸さん。
あ…ごめん。
おい行くぞ!おい江波戸!お前出遅れ過ぎだぞ!出遅れないでください!
(江波戸)みんなしてそんなふうに言うから出遅れるんだ。
特に出遅れてなかったのに!・言い訳すんな!・・そうだ!・・光安に言われてんぞ!・もう何か極端なんですよね。
もうまずい遅れるな。
えっ?ちょっと出る。
えっ?ちょっと監督!
(坂崎)企画は悪くないと思うんですよ。
『東大』卒の監督率いる日本有数の進学校の野球部。
はいあの…これはただOBが監督になった…。
ワクワクします。
(坂崎)勝てればね。
これが強豪校なら勝っても負けてもニュースになる。
でも弱小校が負けたところで当たり前なんだよ。
すいませんね。
強いチームも弱いチームも両方あるのが高校野球です。
強豪校だけを指して「高校野球」というのは間違ってます!しかし高校野球と聞いて誰もがイメージするのは強豪校。
(璃子)峠監督。
(峠)我々『堂東学院』のようなね。
お騒がせしてすいません。
何いつものことですよ。
どうしてここにいるんだ。
君のように押し掛けたわけじゃなく呼ばれたのさ取材でね。
呼び出された…ともいえますよね。
何?あぁ…。
続きはグラウンドで。
いいかげんそのライバル面はやめろ!!あっ…。
失礼。
お騒がせしてすいません。
あっいや…。
でうちのチームのことを記事にするのかしないのかは別にどうでもいいんですけども問題なのは谷内田健太郎です。
そうそう谷内田谷内田!高校時代対戦してるんですって?おい利根それを書けよ。
私は『城徳』野球部について書きたいんです。
だからその『城徳』の監督の過去じゃないか。
な?あの谷内田がそんな弱小校と親善試合したなんて記事誰も読んだことないぞ。
やっぱり谷内田健太郎の記事じゃないですか。
話したくないですよね?あの試合のことは。
いや別に話したくないとかそういうことじゃなくて特に面白い話ではないってことなんですよ。
あぁ…じゃああの記事にするかは置いといて1つだけ聞いてもいいですか?何ですか?その試合ってホントに野球部を辞めるほどのことだったんですか?えっ?あっいや別に責めてるわけじゃなくて。
ただ取材すればするほど監督は野球が大好きなんだってことがすごく分かるからちょっと疑問だったんです。
分かる!赤岩君だってそうだよ!たった1試合ボコボコにされたぐらいで青志君が現れなかったらいまだに戻って来てなかったと思う。
そう申し訳ないけど「たったそれぐらいで?」って思っちゃうのよ。
実際私なんてうまく行くことのほうが少ないし。
まさに今も挫折しかけてる。
基本的に打たれ弱いのよ男は。
(璃子)男はねぇ〜。
いやちょっと待ってくださいよその流れでその話は…。
だってほら男俺一人しかいないんだから。
特に『城徳』の男はねぇ〜。
ちょ…だから。
基本エリート集団だしねぇ〜。
ちょっと…。
「挫折って何?」って感じよね。
ハハハ…。
フフフ…。
もう終わりますよ。
ほ〜らそうやって逃げる。
別に逃げてないよ。
でもあの挫折があって今の青志君がいるわけよね。
じゃあよかったってこと?
(楓)う〜んそれは本人にしか分かんない。
(赤岩晴敏)俺を恨んでんのか?また何かしたのか!?してないよこないだの試合だよ。
あぁ…何だ。
そりゃ…手加減されてムカついたよ。
けど手加減されても負けた自分にもっとムカつく。
はぁ…。
とにかく勝てばよかったんだ。
(亀沢の父の咳込み)
(亀沢の父)おう。
うん?それで?はっ?いや用事があるから帰って来たんだろ?何だい。
母ちゃんが戻って来たら話すよ。
(亀沢の母)俊一!あったよ物置に。
バット。
ちょうど送ってあげようと思ってたの。
ほら。
(亀沢の父)おぉあんな棒切れよりはマシだろ。
どう?俊一。
ありがとう大事に使うよ。
(亀沢の母)うん。
(亀沢の父)おかあちゃんまだ残ってる。
(亀沢の母)あ〜そうだね。
いいか難しく考えるなよ思いっ切り振り切れ!バットとボールじゃない。
物体と物体を正面衝突させるんだよ!ねぇ白尾君。
はっ?ちょっと志方のバッティング見てあげて。
おう!うちは10人しかいないんだからそんな補欠前提みたいなスイングしてちゃダメでしょ。
ですね…頑張ります。
とにかくギリギリなんだからうちは!!全員欠かすことのできない存在よ!
(白尾)おう!
(江波戸)亀沢。
(亀沢)あぁ。
行くよ。
おう。
さぁ積極的に意見を言え。
気楽なエンタメ系に走るもよし真面目な展示系で行くもよし。
俺のリサーチによれば模擬店系はあらかた出そろった感があるがかぶったって構わない!趣向を凝らせば勝機はある!あんな生き生きした監督初めてだ。
そこ静かに。
増本先生あの俺が提案した公開練習の案は却下ですか?俺達の練習見せるんですか?それはいいっすね!良くねえだろ!無理無理無理!さらし者じゃないですか。
ご覧なさいこのありさまですよ。
(岡留)だったらカフェとかどうだ?カフェはもううちにある!お前ん家のはカフェっていうか…。
亀沢君はさどうなの?えっ?俺はみんながやりたいやつでいいよ。
意外だな!お前が一番張り切りそうなのに。
バンドは?亀沢君吹奏楽部だったし。
バンドは今年多いぞ。
じゃあえ〜っと演劇!亀沢君主役で!何で俺が。
演劇は恥ずかしいな。
じゃあ裏方やればいいじゃん。
じゃあ僕も裏方で。
俺も裏方がいい。
じゃあ俺も…。
何でみんな裏方なのよ!となると亀沢の一人芝居だな。
(亀沢)嫌ですよ!!あ〜もう監督も黙ってないで何か提案してくださいよ!いや俺は野球部にいた頃の文化祭って覚えてないんだよな。
それはなぜ?だって俺は高2の春までしか…。
はい分かった!分かりました!あのじゃあ亀沢主演で演劇をやろう。
決まりね!決まりじゃねえよ。
まぁいいか。
よしそれで行こう。
(増本)よし頑張れよ亀沢!頑張らない!!・何やります?・
(白尾)そうだな。
(亀沢)いやだから話進めんな。
あのさ変な気回すなよ。
俺は別に野球部を退部したことを隠すつもりはないんだよ。
いやあいつらにとって監督はあの谷内田健太郎と対等な男になってますからね。
そんな男演じるつもりはないんだよ。
とにかくわざわざ言うことないですよ。
(三條)亀沢君に劣らず君も頑固だったからなぁ。
監督も負けてませんでしたよ。
そう教師と生徒の意地の張り合いだ。
当時の私の気持ちが分かったかね?分かったところで何も解決策は…。
そりゃあそう簡単には見つからない。
だってじゃああの時の君は私にどんな言葉を掛けられたら退部を思いとどまったと思う?
(江波戸)「女殺油地獄」。
(白尾)鶴屋南北か!近松門左衛門だ。
簡単に言うとストーリーはこうです。
油問屋の不良息子河内屋与兵衛がケンカだの借金だので両親から勘当される。
ところが両親はやっぱり息子がかわいくて向かいの油問屋の女房お吉に「与兵衛が来たら渡してくれ」と金を渡す。
それを聞いていた与兵衛は感動して借金返済を固く誓う。
でお吉はその金を渡してやるんですが返済額には全然足りない。
「じゃあ貸してくれ」とお吉に頼む与兵衛。
しかしお吉は貸さない。
怒った与兵衛はお吉を殺して金を奪って逃げて行く。
えっ終わり?救いがないな。
でもそれのどこが面白いんだよ。
(志方)見せ場は殺しのシーンなんですよ。
何たって油問屋ですからね。
油まみれになってツルツル滑りながらやるんですよ。
これをぜひ樽見さんにやっていただきたいなと。
嫌よ!そんなの!でも女子はお前しかいないから。
だから何?殺されちゃうんだよ?う〜っ!
(伊勢田)とはいえ興行的にはインパクトあるよな。
亀沢さんできますか?何で俺に聞くんだよチッ。
もっと他に何かあったろ?なかなか意見がまとまらなくて。
結局一番食いつきが良かったのがこれだったんです。
なぁ文化祭だぞ?お客を暗い気持ちにさせてどうすんだよ。
つうかこの油まみれのシーン教室でどうやってやるんだよ。
じゃあそこは監督がいい感じにお願いします。
監督の言うことなら誰も文句言わないんで。
だから何だよ?台本をお願いします。
えっ?お願いします!いやいやちょ…ちょっと待てよなぁ。
俺は根っからの理系だぞ。
いいじゃないですか監督もちゃんと参加して青春を取り戻してください。
おい。
えっ…。
えっどういう意味?
(白尾)ちゃんとボール拾った?全部。
亀沢もう上がりだぞ。
(江波戸)亀沢これからみんなでラーメン食べに行くけど。
今日はやめとく。
おい何でだよ来いよ!もういいじゃねえか。
亀沢また明日な。
また。
(白尾)行くぞ。
(江波戸)じゃあね。
(白尾)何ラーメン食べる?
(ドアベル)
(楓)いらっしゃ〜い!
(亀沢)あの…。
あっあぁ…ごめん1人?あはい。
(楓)座って。
(振動音)
(チャイム)何ですか?緊急事態って。
事情は後です。
とにかく中に入ってください。
はい。
(璃子)演劇の台本?締め切りは明日までなんですけどどうも筆が走らなくてでその時思い出したんですよ。
「あっプロがいた」って。
で何ですか?そんな難しいあれじゃないんですよ。
現代語に直してもらって内容をもうちょっとソフトにしてもらえればそれで…。
私は仕事を放り出して駆け付けたんですよ!原稿をイチから書き直さなきゃならないんです!そちらの事情もあるかもしれないけどお願いしますよこんだけ頭下げてんだから。
一回も下げてませんよ。
とにかくこれはあなたの連載にも大きくかかわって来ることだと思いますよ。
文化祭の出し物が?何の関係が?亀沢の退学問題です。
最近何か亀沢おかしくないか?金なかっただけだろラーメンぐらいおごってやんのにな赤岩が。
俺かよ。
いや今日のことじゃなくて試合のあたりからさ。
試合で目立てなかったから落ち込んでんだろ。
(江波戸)でも目立ちたい割には劇の主役嫌がってたよ。
そりゃ金に困ってる役なんてやりたくないよ。
ほらやっぱ金のことじゃねえかよ。
そんなんじゃないよ!え…じゃ何だよ?樽見何か知ってるのか?亀沢君は…。
(璃子)本人の意志は固いんですか?まぁまだ迷ってはいますけど正直分かりません。
面白い選手になりそうなのに。
利根さん。
はい。
手伝う気がないんだったら帰ってもらえます?勝手な人!いいえしばらくここで書かせてもらいます。
ここで?移動時間がもったいない。
じゃあさっさと書いちゃってくださいよ。
俺の親善試合の話書けばいいんでしょ?ええそうです。
えっでも書いちゃっていいんですか?書かなきゃ先に進まないんだったら仕方ないでしょ。
いいですよ別に。
監督は先に進めたんですか?俺が?好きなものを捨てた後にです。
本当はしたくないことをした後に。
それを答えてしまうと亀沢にどう接していいか分からなくなる。
(楓)ご両親には?まだです。
だったら私なんかに打ち明ける前に話さなきゃ。
でも楓さんは俺にとって小田原の母だから。
そんなやめてよ。
えぇ占い師みたいな…。
いや何か劇の主役をやれとか言われてるし。
このまんまだと文化祭までずるずる行っちゃいそうで。
でももう覚悟は決まってるんでしょ?
(楓)いいんじゃない?うん多分後悔しないと思う。
そう思いますか?昔あなたと同じ顔して店に来た生徒がいたけど今はケロっとしてるから。
あの頃とは正反対の確信に満ちた顔してる。
へぇ〜。
はぁ…。
利根さん。
はぁ…。
よし。
お疲れ。
あっお疲れ。
お疲れ。
えっと…あのさ…。
何だ?どうした?何?何?すごく助かるんだけど手伝ってくれるのはもういいよ。
何でだよ。
それはバイトを辞めるってことか?新天地に行くの?おい!いや…単にほら…悪いから。
そっか。
殺しのシーンはちょっと残酷だったからそこは与兵衛がお吉を縛り付ける程度にとどめといた。
それから油問題だけどそれはあの〜たくさんのボールがコロコロコロコロ転がって来て2人はそれに滑って転ぶっていうことにもうした。
何でボールが?いやそれはお吉の家は実は油問屋じゃなくてスポーツ用品店だったんだよ。
江戸時代ですよね?俺の専門は生物だよそんな時代考証は分からん!よしみんなこれでやってみよう。
・ああ・監督ありがとうございました。
(部員達)ありがとうございました。
まぁ頑張れ。
じゃあ予定通り主人公の与兵衛は亀沢ってことで。
(白尾)亀沢しかいないよ。
何で俺?主役が一番責任のあるポストだからさ。
だから俺なの?主役だったら途中で抜けるなんてことは絶対…。
・もうやめろやめろ!・はぁ…分かったじゃあまぁやってもいいよ。
(白尾)よし!
(樫山)あ〜よかった。
・よかった・出遅れんなよ!出遅れてないよ。
(白尾)樫山お前出遅れてんじゃねえかよ。
(岡留)おい江波戸お前出遅れてんじゃねえかよ。
(江波戸)ごめん…。
・出遅れてるぞ!・
(岡留)出遅れんじゃねえぞ!
(白尾)樫山お前も…。
(岡留)江波戸お前出遅れてんじゃねえか!
(樫山)白尾さんこそ出遅れてますよ。
じゃあラストシーンだけもう1回。
・はい!・はい!よ〜い!スタート!聞いたわね与兵衛さん。
聞いたとも。
俺はこれから真人間になって親孝行に努めよう。
さぁこれを。
ありがとう。
ん?いや…。
返済額にはちょいと足りねえ。
悪いがもう少しばかり貸してくれ。
ばかなことを夫が留守に…一銭だって貸せやしません!あっちょっと待て!お吉!何をするんですか!?あっ!売り物が!不義になって貸してくれ!やめてください!こら待て!あっ離して!離すか!離しておくれ!やめてください!金が貸せねえというんだったらこっちにだって考えはあるぞ。
誰か!誰か来て!
(江波戸)あと2日で本番か。
何か緊張して来たなぁ。
(亀沢)じゃあまたね。
またな。
また明日。
また明日!また明日!まるで最終打席だな。
あの原稿読んでいただけましたか?悪いこれからだ。
よろしくお願いします。
(坂崎)OK。
(江波戸)これが最後のリハーサルだみんな集中してやろう。
(部員達)はい!監督始めます。
本番のつもりでしっかりやれ。
はい!
(白尾)よし出遅れんな。
(拍手)
(白尾)血のつながりはねえとはいえ息子には違いねえ。
ばかなまねをと思うでしょうが頼みましたよお吉。
確かにきっと与兵衛さんにお渡しします。
ありがとうお吉エエ〜ン。
さぁお前。
はい。
エエ〜ン…。
はぁ…。
聞いたわね与兵衛さん。
聞いたとも。
俺はこれから真人間になって親孝行に努めよう。
さぁこれを。
さぁこれを。
(増本)ん?セリフ忘れたか?ちょっと早く受け取ってよ。
いや…。
それは受け取れねえ。
え?それは受け取らねえ。
早く受け取ってよ!
(白尾)与兵衛。
ちょっと何で戻って来んの?受け取りなさい与兵衛。
いらねえよ。
(白尾)与兵衛!いいって。
いらねえっつってんだろ!!なぁ与兵衛受け取れよ!おい受け取れよ。
受け取れよ。
受け取ってくれよ!受け取れ亀沢!亀沢!何だ?これ。
(白尾)受け取れよ!どうすんの?やれ。
(白尾)受け取ってくれって!あっ!
(亀沢)ハァハァ…。
そりゃそいつはありがてぇし喉から手が出るほど欲しいよ!!でも…でも…。
こういう気持ちになっても受け取んねえって最初っから決めてたんだ。
ずっと前から決めてたことなんだ。
(泣き声)ありがとなお吉。
親父。
お袋。
亀沢。
あ?何やってんだよ開けろよ。
開けません!
(光安)開けたくありません!もう終わりだよ…消せ!嫌です!消しません!ダメだ。
離せよ!!
(岡留)お前が離せよ!!亀沢君!お願いだから受け取って。
(泣き声)
(校内放送のチャイム)
(校内アナウンス:土屋)3年B組の亀沢君お母様からお電話です。
至急職員室に来てください。
亀沢君のお父さんは?もともと具合が良くなかったみたいだな。
大丈夫だからお前ら今日帰れ。
監督!大丈夫だ2〜3日で退院できるそうだ。
よかった〜。
でもあの…。
うん。
文化祭は無理だな。
じゃあやっぱり…。
カフェだな。
(樫山)牛丸!出遅れんなよ。
おう。
はぁ…。
亀沢ってさやっぱり辞めんのかな?何ともなかったっていっても親父さんのこと心配だろうしな。
この間劇で言ってたセリフが本心なのかな。
ずっと前から決めてたっていうあれですか?うん。
いつだったかあいつただの性格とか言ってたけど…。
だから目立ちたかったんじゃないのかな。
「だから」って?だから印象に残ろうっていうか初めからいつ辞めてもおかしくない…って思ってたんなら。
亀沢なりの準備か…。
いや分かんねえけど。
亀沢さん。
行くぞ!ん?待ってたぞ亀沢。
(亀沢)このたびはご迷惑をお掛けしました。
それと本日…退学届を提出しました。
分かったから早く来い。
はい。
違う違う違う…。
亀沢君はこっち。
えっ何で?大観衆の前で打席に立たせてやることができなかったから代わりに指揮者をやらせてやる。
相変わらず観衆はいないけどな。
小田原城徳高校校歌斉唱!ふぅ〜。
♪〜相模の海に茜さすところ♪〜そびえる山に高まりし♪〜あふれる希望よ♪〜輝く未来よ♪〜いざ吾等いざ吾等♪〜学びの丘より旅立たん♪〜あゝ春風切りて天翔ける♪〜あゝ小田原城徳♪〜我らが母校♪〜箱根の山に連なりし大地先人の知恵受け継いでみなぎる力よ萌え立つ明智よいざ吾等いざ吾等学びの旅路は遠かれどあゝ冬霧さいて踏み出さんこの次が楽しみね。
あゝ小田原城徳我らが母校2014/05/17(土) 21:00〜21:54
読売テレビ1
弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜 #6[字][デ]
退学を決意した苦学生・亀沢。だが野球部のメンバーには言い出すことが出来ずにいた。そんな中、文化祭が近づき、野球部は亀沢主演で劇をすることに。戸惑う亀沢だが…。
詳細情報
番組内容
家計のことを考え、退学を決意した苦学生・亀沢(本郷奏多)。
部員にも告げず学校を去ろうとする亀沢を、青志(二宮和也)は引き止めようとするが、亀沢の決意は固い。そして2人の話を偶然聞いてしまった柚子(有村架純)…。
そんな中、文化祭が近づき野球部は亀沢主演の劇をすることになる。
それぞれの思いを乗せて、亀沢にとって最後の文化祭の準備は進んでいき…。
出演者
二宮和也
麻生久美子
福士蒼汰
有村架純
中島裕翔
山