(ナレーション)
平成17年京都市右京区に編入された京北
北桑田郡京北町という前の地名がしっくりくるのどかな風景が広がる
晩春の山里に点在する古刹と古社を訪ねる
周囲を山に囲まれた京北の春は遅い
京都の町中の桜が散った頃見頃を迎える桜がある
下熊田という集落にある…
延文元年西暦1356年高雄山神護寺の塔頭宝泉院がこの地に移され今に至っている
境内は春の深まりとともに桃源郷のような華やぎを見せる
遅咲きのソメイヨシノが彩りを添える…
弓削道鏡ゆかりの集落上弓削で歴史を重ねる古刹である
木彫りの像に紙を貼りその上に彩色が施された地蔵菩薩
後世に伝えるべき宝として京都市の文化財に指定されている
上中という集落にある古刹も晩春の華やぎに包まれていた
中道寺。
この寺は天平勝宝年間749年から757年の間に開かれたとされている
寛文12年嵯峨大覚寺の末寺となり昭和36年真言宗御室派に転じた
厳めしさと親しみやすさが同居する…
とご詠歌に歌われ信仰されている
本尊の阿弥陀如来を中心に薬師如来と十一面観音が安置されている
三体の仏は集落の鎮守の社八幡宮社でられていた
八幡宮社の祭神は応神天皇神功皇后湍津姫命
貞観元年1110年に創建されたという
本殿は三間社流造
本殿前の石燈籠に「寛永十八年」1641年の年号があることからその当時に造られたとも考えられている
かつての参道には樹齢450年の杉がそびえ立つ
昔も今も神の木に守られている
里の西に連なる山の中腹に古刹がある
曹洞宗の禅刹…
永林寺は康正2年1456年に開かれたとされている
本尊は千手観音
里を見晴るかし衆生の幸せを見守っている
古い民家が目を引く集落山国
天を指す杉木立を背に山国神社が鎮座する
祭神は大己貴命
因幡の白兎神話で知られる大国主命である
神社の創建は奈良時代にまでることができるという
創建の年が定かじゃないわけですけれどもご存じのように平安遷都794年にですねご浄財を政府の方から依頼をされました。
そのときにはこの神社は当然ございましたわけで…。
平安遷都の折桓武天皇は大内裏造営の木材を調達するため山国を御杣料地と定めた
神社には新たな本殿が創建され和気清麻呂が奉仕したという
先祖代々山国で暮らす…
村人たちの誇り山国隊軍楽保存会の顧問である
御杣料地となった山国は皇室との結びつきが強くなった
幕末朝廷が王政復古を宣言すると村人たちは勤王の志を持って立ち上がった
彼らは「山国隊」と呼ばれた
(川崎さん)岩倉具視に「山国隊」と名乗るように言われ御所の警備等に当たっておるほか34名が因州鳥取藩の一小隊ということで東征軍に参加をしております。
栃木県の壬生安塚の戦いでの幕府軍の戦いそれから江戸の上野の山での戦い等で7名の犠牲者が出ております。
江戸が一応安定しましたときに鼓笛による「維新マーチ」の練習を始めております。
有栖川宮が京都へお帰りになるときに他藩の藩士と共に軍楽を演奏して帰って来ております。
そんな祖先の功績を明日に伝えようと子孫たちによって軍楽保存会が結成された
勇ましい演奏と行進は毎年山国神社の祭礼で披露されている
また時代祭では維新勤王山国隊として時代行列の先頭を任されている
昭和58年黒田という集落の桜からとった苗木が大阪造幣局に植えられた
その親木が春日神社の百年桜である
樹齢360年
「百年桜」という名は桜の通り抜け100周年にあやかって付けられた
ありふれた老木にすぎなかったこの桜はそのときから村の宝になったのである
村人たちは年老い精気を失っていたその姿を憂い寄付金を出し合って養生を施した
その甲斐あって花びらが五枚の一重と八重が同時に咲く珍しいこの桜は艶やかによみがえった
頬をなでるそよ風に初夏のにおいが混じる晩春の京北
野辺の花で作った首飾りのような素朴な魅力を宿す山里である
保津川と高瀬川を開削した角倉了以をご紹介します
2014/05/18(日) 06:15〜06:30
MBS毎日放送
美の京都遺産[字]
「晩春の京北」
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32722(0x7FD2)
TransportStreamID:32722(0x7FD2)
ServiceID:2064(0×0810)
EventID:80(0×0050)